効率追求
人材不足が進展する中、正社員での雇用や正社員への変更が増えてきています。その一方で、アルバイトスタッフ、パートスタッフの重要性は変わっておらず、各社、時給を引き上げての争奪戦が行われています。インフレ傾向とも相まって、また、人材不足も今後も進むことが予想されるため、人を巡る争いはまだまだ続きそうです。
時給があがってしまった分をそのまま商品価格に転嫁できれば話は簡単なのですが、世の中そう甘くはありません。人件費増分のコストカット、効率化推進を行わない限り厳しいのが実状ではないでしょうか。値上げに対して世の中が寛容になりつつあるとは言え、競合との関係を考えるとなかなか簡単にはいかないというところも多いと思います。
今回はこういった時代背景の中、もう一段の業務効率化を推し進めるためのアルバイト・パートスタッフの勤務管理システムについて考えてみたいと思います。どういった工夫を積み重ねることができるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 シフト管理と完全統合
アルバイトやパートタイムといっても、決まった時間に働く形態であれば、労務管理、勤怠管理に複雑な処理や計算が必要になることが少ないため、業務効率化は大きな問題にならないかもしれません。ただ、月曜日だけ、や、3時間だけ、さらには、1日に2回出勤といった、イレギュラーな勤務形態が存在しうる、シフト勤務のようなものが存在している場合は、簡単にはいきません。
シフト管理であれば、何かしらのツールを用いてシフト作成やシフト共有を行っていると思います。そのシフト作成から管理、アルバイトスタッフの確認まで、オンラインで完結するようにしましょう。操作感にもこだわって、ストレスなく登録管理できることも重要でしょう。また、突然の欠勤等、変更に対しても強くしておくことで、あとはそのシフトと実績に基づいて勤務集計を行えるようにすれば、二度手間が必要なくなります。
集計したデータは給与側と連携できるような仕組みにしておけば、勤怠から給与支払いまでの一連の流れがとても効率化するのでおすすめです。
Point.2 タイムレコーダーからシステム打刻へ
既にICカードによる打刻が行われているような場合は例外ですが、タイムカードによる打刻の場合は、システム内に打刻用の画面をもうけてパソコンやタブレットで打刻が行えるようにしましょう。スタッフ番号での認証等をへることで、一人一台のIT環境がなくても、手軽に打刻環境を整えることができます。もちろん、代理打刻のような事態がないように、社内への啓蒙や注意喚起は必要でしょう。
打刻データはシフト内と照らし合わされ、自動的に遅刻、早退等が考慮されるようにしておけば、予定値と実績値の乖離に悩む必要はありません。また、通勤電車の遅れ等、考慮すべき事態による修正もかけられるようにしておけば、より現実に即した運用が可能になります。
IC打刻を行っている場合にはその打刻データを自動的に取り込めるようにすべきです。打刻は打刻、勤怠は勤怠と別になってしまうと、それらを統合して判断する手間が発生します。同じ仕組み上で統合して管理できる状態にしてください。
Point.3 労務管理の透明化
ブラック企業という言葉が一般化してしまうほど、就労環境への関心が高まっています。このような中で、透明化されない就労実態は企業にとって大きなリスク要因です。ある日突然過労死が起こったり、過剰労働に対して訴訟が起こったりすると、企業イメージに大きなダメージになりえます。
こうした就労実態を、出来る限り事前に把握できるよう、システムとして透明化、かつ、情報隠蔽されないように設計しましょう。意識づけももちろん大切ですが、サービス残業のあり得るパターンをシステムが判定し、関連部署へ通知やレポート表示する機能等、システムにできることはいくつもあります。手遅れになるまえに、自社の事情に応じた労務管理の透明化方法と対策の考案が必須です。
過剰な残業時間など、集計データからわかることも多くありますし、実際には残業しているのにそれが計上されていないといったサービス残業の問題もあります。こうしたデータに基づいたアラート機能を実装できれば、組織の不健康な部分を事前に把握することにつながるでしょう。こうした情報をもとに雇用監督者への啓蒙を行なっていくことで、より精度とモラルの高い組織を作ることにつながります。
スタッフが幸せになれるシステムを
労務管理というと、どちらかという人事がスタッフを監視・管理するためのツールという、どこか冷たいイメージがつきまといます。ただ実際は、スタッフが正当に働き、効率的に働くための補助ツールであるべきです。そのためにスタッフ側の負担を減らし、不正を未然に防止し、就労環境が悪化しないための防波堤になる、そうした役割が求められているのではないでしょうか。
労務管理は各企業の就業規則が色濃く反映されるため、なかなか市販のソフトウェアではかゆいところに手が届かないことも多くあります。多店舗形態や、多様な勤務形態にお悩みなら、独自システム構築を一つの選択肢として検討してみてください。