個性の時代
結婚式やパーティーなど、何か一ひねりしたいときに候補にあがるのが生演奏やショーの要素ではないでしょうか。現在は多種多様な人材を派遣してくれるサービスが増え、よほど特殊な技能を持った人でない限り、インターネットで探すことができると思います。テレビに出るような大物であればタレント事務所のような窓口を経由することになるとは思いますが、そこまで、という場合には、そうした一芸を持った人はマッチングサイトに登録されていることも多いものです。
その一方で、価格競争が進み、いかにしてコストをおさえるかに事業者が躍起になっているのも事実ではないでしょうか。派遣する人材の質にこだわりながらも、その裏方業務をいかに効率化できるかが、事業としての収益性を左右するといえるかもしれません。また、様々なアーティストに登録してもらえる魅力的なマッチングサイトである必要もあります。
今回はこうしたミュージシャン、演奏家や、芸人、その他アーティストを派遣する企業の根幹を支えるシステム構築について考えてみたいと思います。いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 案件入札制への対応
利用希望者から問い合わせや申し込みがあった後に、提携関係にあるアーティストに電話やメールなどで個別連絡しているとしたら、効率化の余地があります。もちろん、小規模のうちはそれがベストの方法ではありますが、ある一定以上の人数との調整が発生するようになってきているなら、そろそろ案件入札制へ移行すべきです。
具体的には、申し込みがあった際にどういった案件かが自動的に登録されるようにし、その情報が提携アーティストに通知されます。アーティストは自分がどういった案件の情報を受信したいかを選択できるようにし、自分に関係ない・興味ない情報がこないように配慮しましょう。
その日程、条件で出演したいのであれば入札できるようにしておき、期日になれば運営側がどの方に発注するかを確定してマッチングが完了する仕組みです。必要に応じて、最低入札価格で競わせるのも一つですが、提供されるサービスの質とのバランスが難しいので慎重に検討してください。ある程度の指名ができるようにしておけば、運営側で誰が応募するかをコントロールしやすくなります。指名の場合は費用を少し高くし、おまかせマッチングの場合はそのままの費用でいけるようにするという価格設定も良いでしょう。
もし、応募がなければ人力での依頼・お願いが発生するのは避けられませんが、条件さえあえば基本的には自動でマッチングの下準備が完了するのは業務効率化に大きく寄与するはずです。
Point.2 需給バランスを価格に反映
こうしたイベントごとに左右されるものは稼働率が大きく上下します。いっそのこと、その稼働率を価格に反映してしまうのも一つの考え方です。そうすることで繁忙期は忙しいのに利益が大きくならないという状況を防止することができます。
ちょうどホテルや飛行機の代金と似たような考え方ですが、空いているアーティストが多い日は多少の割引きや、また、複数人を依頼した場合のボリュームディスカウントがきくといった工夫です。当然、アーティストのスケジュールと連動させる必要はありますが、そこまでしなくても、曜日や時間帯等、簡単な設定で算出させることも可能です。
どうしても稼働率が落ちがちな平日の集客強化のために平日限定のキャンペーンとして展開するのも一つです。稼働率や曜日設定等、価格設定・管理を柔軟かつ効果的に行えるように設計してみてください。
Point.3 申し込みから振込まで自動化
運営側の事務作業として、意外に大きなものが振込手配、確認、そして細々とした連絡です。一つ一つが小さな作業のため見逃されがちですが、積もり積もると相当な時間を費やしていることも珍しくありません。運営側の負担をへらすことができれば、スタッフの人数を小さく保ち、収益性を改善できる可能性があります。
申し込み確認から振込依頼、事前連絡までを、自動化、または一括送信等で手間を低減しましょう。代金支払いも銀行振込以外にクレジットカード支払いを導入すれば、利便性向上ならびに入金確認の手間が減るのでお勧めです。くわえて、アーティスト側への支払いも可能な限り自動化しましょう。関与する人や会社が多いと、その金額の割り振り方が複雑になりがちですが、一度ルール化できてしまえばシステムに落とし込むことができるので、長期的な効率性を考慮して取り組むべきでしょう。
手動での対応は人的ミスをうむもとですので、積極的に自動化・システム化することをお勧めします。
顧客対応にもっと時間を
業務効率化でういた時間は、顧客対応に費やすことができるようになります。今まではどちらかというと問い合わせ対応に消極的だったなら、空いた時間でより早く、より丁寧な問い合わせ対応を行うようにしましょう。チャット対応や、LINEでの問い合わせに対応するのも一つでしょう。
人間がやるべきこと、人間がやるほうがよいことは人間に委ねるためにも、システムに任せられることはどんどん切り出すべきです。精度と温度、この両方をもつ事業者がこの先、生き残っていくように思います。