ギャップの存在
インターネットが世の中をつなぎ、人も金も物もグローバル化が進みました。その一方で、特定の地域でしか販売されていないもの、特定の地域以外は高いものが存在するのも事実です。
並行輸入のマーケットは引き続き大きな規模を誇り、amazonや楽天市場等、販売チャネルの伸長とともに、その競争も激化し続けています。アメリカや中国からの輸入品を実際に買われた経験がある方も多いのではないでしょうか。日本に直接発送するお店も増えてきており、海外から日本への商流はまだまだ増え続けることが予想されます。
今回はそんな並行輸入品販売をいかに効率化し、いかに精度高く運用していくか。そのためのシステム構築についていくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 売り続けられる体制作り
発売直後の商品だけに特化しているといった、プレミアム狙いの場合はあまり関係ありませんが、売れる商材を見つけた後は、いかにしてそれを効率的に売り続けていけるかが売上を拡大する上で重要です。
都度、人力によって仕入れ元を探したり、というのはとても手間がかかる作業です。仕入れ元の在庫チェックから出品、在庫数管理までシステムで自動化しましょう。
具体的には、商品ごとに仕入れ元を登録しておけるようにし、その仕入れ元として登録されたURLをもとに、システムが販売可能在庫数を算出。その数量を随時、amazonや独自ショップ、楽天市場店等に反映していくというものです。在庫を持つ場合にはその在庫数も考慮できるようしておけば、取り寄せ販売と即日出荷の販売を組み合わせて管理することも可能です。
もちろん、売れた分の数量も取り込むことで、売りすぎ、売り逃しを減らすことができます。今まで顧客対応にかかっていたコストも大きく軽減できるのではないでしょうか。また、ショッピングモールとの連携に、在庫・受注管理システムを利用している場合には、そうしたシステムとAPI連携や、ファイル連携が行えるように作るのも良いでしょう。システムを使い分けることで、コンパクトな工数で独自システムを構築できる場合があります。
Point.2 今、の把握
並行輸入の場合、物が大きな距離を移動するため、配送の管理一つとっても色々なところに予想外のことが起こりえます。配送遅延はそのまま顧客満足度の低下につながるため、それをいち早く検知できる体制を整えましょう。到着予定日を過ぎてはじめて未発送であることが発覚するといった状態は避ける必要があります。
例えば仕入れ元からの発送や、日本への発送、そして顧客への配送と、それぞれを追跡番号をもとに自動で現在地取得をできるようにしましょう。今、予定通りなのか、そうでないのか、また、このままだと予定納期に遅れそうなのかをシステムが判定できるようにしておき、購入者への連絡を先手先手で行えるようにすべきです。
究極的にはそうした配送予定連絡も自動化できますが、顧客へのコミュニケーションのどこまでを自動化すべきかは予算と方針によるところが大きいため必須ではありません。うまくルール化できない場合には、自分たちの判断で対象顧客にメールを送るほうがいい場合もあります。自分たちの事業モデル・規模にあわせた自動化のレベルを模索してみてください。
Point.3 当たり前に使いやすいこと
事業規模が大きくなるにつれて、各種作業を担うスタッフも増えていくと思います。そうした方が皆パソコン操作に卓越しているわけではありません。むしろ、人件費をある程度に抑えようとすると、あまりITに強くない人が中心になると想定したほうが良いでしょう。
システム全体を通じて、いかに導入・研修期間が短くても使えるようにするか。業務システムではユーザーフレンドリーであることは軽視されがちですが、業務効率を高める意味でも、誰でも使いやすいことにはこだわるべきです。誰でも使いやすいものはシンプルであることが多く、操作効率が高まりやすい傾向もあります。
シニアのスタッフがストレスや迷い無く操作できることが一つの尺度になります。実際にシニア人材を活用する場面も珍しくないだけに、誰にとっても使いやすいことは競争上の優位になります。どんな人材でもうまく活用できるようにし、事業自体の安定度を高めてください。
スピードと精度
並行輸入の商材は刻一刻と変わっていく、変化の激しいジャンルでもあります。システム自体がボトルネックにならないように、汎用的かつ拡張可能なかたちで実装すれば、事業を支える大きな強みになります。
エクセルや市販のツールで戦っていることに限界を感じ始めたのであれば、独自システムの構築はお勧めできる選択肢です。事業規模を倍、さらには一桁大きくするためにも、新たな強み獲得を検討してみてください。