レッスン形態の多様化が進み、大手チェーンの音楽教室以外にも、小規模教室や、個人でレッスンを行っている方まで、音楽産業の裾野が大きく広がっています。一方で、商業化に成功した一部の教室以外は、なかなか売上もあがらず、どこかの学校等との深い関わりを持っていない方にとっては、集客に苦労する時代と言えるかも知れません。
かといって広告に頼り過ぎたり、雇われ講師としての教室運営も収益性に問題があります。理想的には独自の集客方法を確立したいという人がほとんどではないでしょうか。ただ、同じことを考えている講師は日本中にいくらでもいるので、どのようにしてそういった競合となる方達と差異化するのかが重要になります。
個人教師のマッチングサービスはとにかく価格競争になりがちなのでそこから脱したいという人も多いと思います。今回は、こうした個人レベルでマンツーマンレッスンや小さな教室を運営している音楽の先生が、いかにして生徒数を増やしていくべきか、いくつかのポイントで考えてみましょう。
Point.1 メインターゲットを明確化する
ピアノにしろ、バイオリンにしろ、ある程度のレッスン経験があれば、生徒の年齢や属性は特に問題にならずに教えることができると思います。だからといって、自分のプロフィールやホームページに誰でもOK、というのは逆効果です。
自分がどういった層を主に相手にしたいのか、また、活動している地域ではどういった層の需要が大きいのかにあわせて、自分のメインターゲットを考えてみてください。
例えば、子育て世代ばかりの街や、教育熱心な親が集まる進学校が近くにあるのであれば、子供をメインターゲットにすべきでしょうし、子育てを終えた成熟した大人が数多く住む地域であれば、大人からはじめる、といった切り口で大人をメインターゲットにすべきでしょう。ある程度の需要が見込める範囲で、できる限り絞り込むことをお勧めします。自分のスキルや生い立ち、好き嫌いを考慮していくと、自ずからその範囲が見えてくることも多いです。
もちろん、競合関係もあるので多少の調整は必要とは思いますが、今自分が住んでいる街、商圏がどのような状態かを意識しながら、メインターゲットを定めてみてください。そしてそれにあわせて自分自身がアピールする内容もあわせるべきです。音大志望の人が相手であればそういった実績が中心でしょうし、大人の初心者相手であれば、むしろそうした初心者に教えるスキルのアピールが重要です。大切なのは相手にあわせてきちんと最適化することです。
Point.2 アピールする導線を用意する
音楽の先生の中にはパソコンやITに疎い方がいるかもしれません。今の時代、何かを探すとなると間違いなくインターネットです。インターネット上に自分を知ってもらうための導線を用意していないのは致命的です。
Facebookを熱心にやっているのであればそのページを受け手にするのも一つですが、やはり教室としての「しっかりした感」をアピールし、集客のことも考えると別でホームページを持つべきです。プロフィールやサービスメニュー、問い合わせ先等、シンプルでも構いませんが、特色や強みが明確に伝わるような内容にしましょう。
同時に、親しみやすさを感じられる見せ方を心がけてください。プロフィール撮りのために撮影した勝負写真を載せるのは否定しませんが、どうしても親しみ感に欠けます。すました顔より笑顔のほうが良いでしょうし、教室の雰囲気にあった服装であるべきでしょう。演奏者としての自分と、教育者としての自分に求められるイメージは異なります。教育産業で戦っていくのであれば、教育者としてのイメージ作りも意識するようにすると良いでしょう。
Point.3 広告を恐れない
口コミだけで生徒がどんどんと増えていく、というのが理想的ではありますが、それはなかなか難しいと言わざるをえません。仮に多少の口コミがあったとしても、常に新規の生徒さんを集める仕組みを用意しておくべきです。近隣の住居にポスティングをしている、という人は多いと思いますが、そうしたアクション以外の投資も検討してみるべきでしょう。
例えば広告。インターネットでピアノやバイオリンの先生を探している人に対して、自分のホームページが表示されるようにするリスティング広告と呼ばれる広告は、少ない費用ではじめられてお勧めです。広告というのはうまく使えば、使ったお金以上に返ってくるものなので、必要以上に恐れる必要はありません。
一度生徒になれば一定期間以上の月謝売上が見込めるので、広告予算を多少大きく設定しても元がとれる場合もあります。広告というものを過剰に恐れず、生徒数が自然と積み上がっていく仕組みづくりに投資してみてください。
大手に負けないアピールを
自分で直接生徒を見つける難しさは、誰よりもあなたが知っているかもしれません。ですが、あきらめるのはまだ早いです。
音楽教室業界はまだまだ昔ながらのやり方や勢力が強い業界です。この中できちんと自分の強みをアピールすることができれば、特定の地域に根付いた生徒の継続確保は不可能ではないと思います。なんとなくわからない、なんとなく怖い、という気持ちを一旦おいておいて、ビジネス視点でもっと何が出来るか、何をすべきかに思いをはせてみてください。