回転数の引き上げ

店舗の売上げは、どうしても店のサイズと回転数に依存してしまいます。この状況を打破するためにテイクアウトの活用が望まれるわけですが、テイクアウトや取り置きの顧客もレジ精算に加わってしまうと、今度はレジがボトルネックになり、顧客満足度を大きく下げてしまいます。

この状況への有効なアプローチの一つとして、テイクアウトや取り置きの顧客に事前決済をお願いするという方法があります。事前に決済が終わっていれば、お店はそれを作り、渡すだけで済むため、決済のやりとりに伴う業務から解放されます。利用者もピックアップするだけで済むので、余計な待ち時間がなくなり両者にとってメリットがあります。店頭で提供している決済手段と同等のサービスを提供できるのであれば、導入される利用者側の抵抗もそこまで大きくない場合もあります。

この方法を実現するためのシステム開発はどのようにあるべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 ネットショップの転用はしない

なんとかしてレジの手間を軽減したいという考えから、既にネットショップを転用して、事前の決済をお願いしているお店もあると思います。コストや導入のスピードという点では有効ですが、利用する側からすると、住所の入力まで必須になっていることが多く、使い心地が良いものではありません。結果的に利用率が上がらず、ほとんど使われていないケースが多いのではないでしょうか。

どんな売り方をしても人気殺到のお店であればいいのですが、機会損失が大きすぎます。取り置きの決済であれば住所は不要です。名前と携帯番号、何より決済が正常に行われていることが確認できればそれだけで十分なはずです。専用のシステムにして必須項目を絞り込むことで、「使ってもらえる」仕組みに進化させることができます。

支払手段をある程度絞り込むことができれば、比較的小規模の開発でこうしたシンプルな決済機能を組み込むことができるでしょう。決済代行サービスの選択次第では、実店舗以上の決済手段を用意することもできるので、要件に応じて検討してみてください。

Point.2 支払い手段は客層にあわせて十分に

支払いを済ませるかどうかが、取り置き業務の効率性を大きく左右します。事前に決済が行えるようにシステムを準備すべきですが、支払い手段は客層にあわせて豊富に準備すべきです。

クレジットカード払いは全世代共通の当然のものとして、amazon paymentやLINE Payなど、時代の変化にあわせて対応すべき支払い手段を検討してみてください。支払い手段でひっかからないように、9割以上の想定顧客が利用できる状態を目指しましょう。それでもなお現金でのやり取りは残ってしまうかもしれませんが、運用をしてみてどれぐらいの利用率かをみて、お店としてどういった方針で支払い手段を受け入れていくかを検討するのも良いと思います。究極的には、現金の取り扱いをなくす状態を目指すというのも、あながち無い話ではない時代になってきています。

Point.3 取り置き確定を自動で出力

取り置き機能ために、人を1人貼り付けておくのは効率が悪すぎます。かといって店頭のパソコンで逐一取り置き状況を確認するのも手間がかかりますし、取り置く前に品切れてしまったという事態もあり得ます。

まず、担当者がスマートフォンを持っているのであれば、それに対してプッシュ通知としてショートメッセージ等を飛ばす方法が考えられます。また、プリンターと連携させ、取り置きが確定した時点で取り置き表を印刷してしまうのも有効です。プリンターに紙があるかどうかをチェックするだけで済むので、現場のスタッフの負担も最小限にすることができます。すでにタブレットが導入されているのであれば、そこに情報表示してしまうのも良いかもしれません。

また、注文者による引取についても、番号の割り振られたロッカールームのようなものを併用することで無人化することも可能です。そこまでの設備投資はちょっとという場合には、カウンターに番号札を貼って置いておくだけでも良いかもしれません。このあたりはどこまで無人化するかの線引によるため、どこまで人が対応するかはお店の方針にあわせて決定してください。

お店のサイズ以上の売上を

取り置きのスムーズさは、店にとっても顧客にとっても嬉しいことです。レジの行列、店に入るための行列、こういったストレス源を劇的に無くすための解決策として、取り置きシステムの導入は非常に有効です。

店舗のサイズや扱う品物、客層はもちろん、どのように引き渡すまで含めて、検討すべきこと、見なおすことができることは無数にあります。取り置き改善を契機に、店舗運営改善をおしすすめてみてください。

開発スタッフのコメント
電子マネーの普及が進んだことで、日本でも現金でのやりとりが減りつつあります。ただ、カード決済手数料などの問題で、現金にこだわる店舗も多いのも事実です。一方で、こうした現金以外の支払い方法は、事前の支払いが可能になるというメリットがあります。レジ業務を無くすことができれば相当にスタッフの拘束時間が減るため、決済手数料を払ってもなおメリットがある可能性がでてきます。カード決済の導入を敬遠されていた方も、これを機会に、カード決済と事前決済の仕組みを検討してみてください。