処方箋争奪戦

薬局間の競争が激しくなっています。医薬分業の流れから大手チェーンが跋扈する中、立地だけを気にして地域に密着していればよかった時代は、少しずつですが過去のものになろうとしています。病院前にはたくさんの薬局が並び、同時に郊外にはドラッグストア内の薬局も存在感を増しています。集客の必要性を嫌でも感じる市場環境になってきていると言えるのではないでしょうか。一方で、薬局に特にこだわりはなく、受診した先のクリニックで近くの薬局を聞いて、そのままそこでもらう、という人もまだまだ多くいるのも事実です。

とはいえ、何に手をつければ良いのかもわかりにくいのが調剤薬局の集客戦略ではないでしょうか。地に足のついた範囲で攻めの施策をうつにはどうすべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 ホームページは正確な情報を維持

調剤薬局のホームページの中には、何年も前に作ったきりで、開局時間も古いままのものも珍しくありません。これは作ったっきりでほったらかされている例ですが、そこまでいかなくても、情報の更新が滞っているところも多いのではないでしょうか。

何もブログやFacebook、X(旧Twitter)などで積極的に情報発信をすべきというわけではありません。当たり前のように、確実に情報を更新できるように、あらかじめホームページを構築しておくことが重要です。長期休暇時の案内や突発的な案内などが更新できるのはもちろん、変更がかかりうる箇所をあらかじめ想定して、ITに詳しくない人でも更新できる体制を整えておくべきです。

スマートフォンの普及もあり、ホームページは下調べの際に参照される機会も増えています。情報の正確性はもちろん、お店の良さがきちんと伝わるようなホームページであることは大前提と言えます。すぐに調べたい情報が見つかるという大前提をしっかりおさえた上で、その短い接点の間に好印象を与えられるようなホームページにしましょう。

Point.2 GoogleMapなどのローカル施策を充実

スマートフォンが普及した時代、「薬局、どこにあったっけ?」と探した時に確実に見つかることが重要です。もちろん今でも多くの人は受診した医院の近くの薬局に寄りますが、自宅への導線上に存在すれば、立ち寄ってもらえる可能性があります。

インターネット上でのSEO対策はもちろん、GoogleMapへの登録や情報充実など、地域密着前提での最適化の方法が存在します。こういった地味な施策を抜け漏れなく実行することで、確実な来客増を見込むことができます。店舗の認知度というのは、近隣住民に限ってもなかなか100%にはなりません。こうしたローカル施策の積み重ねで、認知度を確実に積み上げていくことが重要です。

地図で探す人にとって、地図上ですぐに見つからないのはこの世に存在しないのと同じです。ローカル対象の地道な対策はすべて行うのがお勧めです。

Point.3 細かい工夫とアピール

処方箋の薬を提供する、と書いてしまえばどこの調剤薬局も同じになってしまいますが、その実は薬局によって違いがあると思います。例えば品揃えや包装の仕方など、一見、普通でしょと思われることでも、しっかりアピールすることで、「この薬局、いいなぁ」と思われるポイントは作れると思います。こうした小さなこだわりが整理できていないのであれば、これを機会に整理することをお勧めします。

来局者に1枚のビラをいれるところからはじめるのがお勧めです。近くのクリニック受診の際はもちろん、少し離れたクリニックを受診した帰りに寄ってもらえるよう、しっかりとアピールすべきところはアピールしてみてください。また、ホームページでの発信も、「他ではなくこの薬局で」と思ってもらえるようなコンテンツを強化してください。スタッフ紹介も良いでしょうし、薬局でのこだわりや専門性のアピールなども良いでしょう。自店を分析した上で、その切り口についてはアイデア出しをしてみてください。

どんぐりの中で際立つか

どんぐりの背比べに陥りがちな調剤薬局の中で何を差異ポイントにしていくべきか。これはとても難しい問題です。正確かつスピーディーに業務を行う、というのが大前提になりますが、それだけではなかなか来局者に感動してもらえないのも調剤薬局の辛いところです。ですがそれはサービス業としての努力に意味がないということではありません。

できることは少ないからこそ、そのできることを高いレベルで行うことで大きな差がうまれます。立地や周囲のクリニックの分布、さらには競合薬局を頭にいれながら、できることからはじめてみてください。

開発スタッフのコメント
どこも同じに見える薬局も、どこも個性があります。もちろん、処方された薬がもらえる場所という意味では同じですが、少しずつ、贔屓の薬局がある人は増えてきているようにも感じます。立地を含めた利便性は変わらずとても重要な要素ですが、薬剤師の対応など、ソフト面の差異も同様に重要です。人材育成や採用といった側面も大きくはなりますが、そういった資産をきちんと発信する手段も重要です。ホームページに代表されるインターネット上での情報発信が秘める可能性は大きいものがあるだけに、最初の一歩を大きく踏み出すことをおすすめします。