日本人の大半が抱える腰痛。もはや国民病とも呼べる腰痛を筆頭に、整形外科的アプローチを必要とする需要は衰えることを知りません。一方で、身体の治療・リラクゼーションという競合環境は激化しており、医療機関だから、という理由だけでは、客足が遠のいてしまう可能性すらあります。
医院からすると何の根拠もないような施術を行っているようなお店にも、それに満足している客が一定数いるのが事実です。商圏内の人間の数が限られている以上、そうしたお店の存在も無視できません。医療機関への抵抗を感じる人たちも存在しているため、こうした店舗はこれからも無くなることはないでしょう。
日々進化する施術や設備、さらに変化する競合環境をふまえ、どのようにホームページ制作、リニューアルや、インターネットを活用した集客施策を考えていくべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 古びた印象は敵
地元の人たちに愛されて数十年、という整形外科であれば、そもそも集客の必要はありませんが、新規開院や、これからもっと患者さんを集めていきたいというのであれば、その見え方にも気をつける必要があります。
医療も例外ではなく、新しい、ということはそれだけで魅力的に映ります。とはいえ、医院の改装ができない場合もあるでしょうから、せめてホームページ上での見え方や低予算で可能なことに手をいれるべきです。歴史があるということは顧客の蓄積という意味では意味がありますが、建物も設備も古くなることも意味してしまいます。
暗い写真が使われていたり、あまり整理整頓せずに撮影がされていたりといった細かいミスが多いのも事実です。また、低予算で可能なクリーニングや、細かいリフォームをするだけで改善するケースがあります。医院紹介の写真がパッとしないと、医院の印象自体が野暮ったい感じになってしまいます。
素朴なホームページはホームページで存在価値がありますが、必要以上に寂しく見えるホームページにする必要はありません。少しのお金で最大効果を意識して、医院の見え方にも気を遣ってみてください。
Point.2 ここに通い続けたいと思える専門性アピールを
腰痛を一口にいっても、その治療のアプローチも増えました。鍼灸院、整骨院は以前からありますが、最近ではペインクリニックが医療機関かつ保険のきく治療として整形外科の領域に侵食してきています。
局所麻酔を中心に組み立てるアプローチは体感しやすい効果があるため、うかうかしていると患者さんを奪われてしまいます。筋肉や骨格の専門化としての知見を最大限にアピールし、ペインクリニックに負けないアピールを行っていく必要があります。従来ながらのアプローチだけでは周りに取り残されてしまうリスクがあります。
治療方法や疾患への考え方をできるだけ多く掲載してください。牽引療法を否定はしませんが、トリガーポイント注射やマッサージを取り入れた治療等、昨今、整形外科でも頻繁に行われ支持を集めている治療法も増えてきています。サービスメニューをやみくもに増やせばいいわけではありませんが、「ここに任せておけば多様なアプローチで改善に向かう」と思ってもらえるだけの専門性の深さと広さをアピールしてみてください。周囲で指示を集めている業態から、積極的にヒントを得て取り込んでいくぐらいがちょうど良いと思います。
また、MRIを導入するのはさすがに費用がかかりすぎますが、診察の際の武器もしっかりアピールしてください。エコーなど、患者側にも見える化できる機材はその活用法も含めてしっかりアピールすると良いでしょう。もちろん、攻めの姿勢でMRIを導入してしまうのも、競争優位に確実につながるので検討の価値はあります。
Point.3 待ち時間解消へのアプローチは必須
患者さんの平均治療単価を考えると、なかなか完全予約制や予約優先制にまでは踏み切れないとは思いますが、インターネットでの順番待ち予約や、部分的な予約制など、待ち時間を減らすための工夫はできるはずです。そのためのツールはたくさん登場してきていますので、後はそこに医院側が投資するかどうかだけです。
整形外科領域の病気は、継続しての治療が必要なことが多いため、「通いやすいか」というのは想像以上に重要なポイントです。もし、今の患者さんが定年後の人たちばかりであるなら、通いにくさゆえに労働世代を逃している可能性があります。「時間が読める」ということはそれだけで大きな価値です。完ぺきな予約管理はできなくとも、数多あるツールをうまく活用して、待ち時間解消の方策を検討してみてください。周囲にお店が多い立地であれば、待ち時間をインターネットで確認できるようにすることで、外で待つことも可能になりますので、なおさら意味があるでしょう。
背比べがはじまった21世紀に生き残るには
乱暴に言ってしまえば、昭和の時代は整形外科クリニックに大きな差はありませんでした。それが平成になり、21世紀になり、意欲的な整形外科はその専門性やサービスを磨き、広い範囲からの集客を実現しています。もちろん、そこに評判が伴うため、医院経営としても安定しています。
背比べがはじまった今、現状に満足するというのも、ライフスタイルとしてありだと思います。ただ、少しでも規模や質を高めていきたいと考えているのであれば、必要な集客投資やその領域への努力は怠るべきではありません。良いサービスも知られなければ意味がありません。パソコンやスマートフォンに抵抗のない次の世代の取り込みも視野にいれ、インターネット活用した攻めの体制を是非検討してみてください。