1億総ポイントカード時代
ポイントカードが世の中に登場していくばくかの年月が流れました。現在では、旧来のポイントカードから、付帯しているタイプのポイントカード、カードとしての実体のないポイントカード、ポイントサービスまで、本当にたくさんのポイントサービスが乱立しています。
一人が持つポイントカードの種類も増え続け、一人で数十のポイントカードを駆使している人も少なくありません。スマートフォンをかざすだけのスタイルも増えており、大手チェーン店を筆頭に、毎度の「XXXXポイントカードはお持ちですか?」という確認を聞き飽きたという人も多いかもしれません。
その一方で、ポイントカードによって得た情報やポイントカードを絡めた施策など、有効に活用できている企業はまだまだ少ないのではないでしょうか。データ量も膨大なため意味合いの抽出に手こずり、結局は以前と同じようなキャンペーンにしか結び付けられていないということも多いように感じます。
今回は、ポイントカードの顧客情報をどう管理し、販売促進、マーケティングに活用していくべきかについて考えてみたいと思います。いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 何を買ったかを省力管理
POSシステムと連動しているポイントカードサービスであれば、高精度で顧客が何を購入したかが取得できます。ただ、ここまでの大規模連動を行っているところは稀で、実際はポイントカードはポイントカードだけで管理し、購入総額ぐらいしか連動していないところも多いのではないでしょうか。ただの割引ツールとしてしか機能していないところも少なくなく、その活用という意味では宝の持ち腐れになりがちです。
総額、だけでは、年間購入金額や頻度に応じた販売促進にしか結びつきません。理想的には分類のみならず品目まで取得することですが、具体的な品目までは無理にしても、「どんなものを買ったか」ぐらいは取得できる体制を整えるべきです。とはいえ、そのために人力や大きなシステム投資をするのも本質的ではありません。現場の負担やフローを考えながら、ポイントカードに追加で情報を記憶させることはできないかを検討してみてください。
Point.2 何を買ったかより、何を買いそうか
ポイントカードを保持している顧客がどういうタイミングで何を買っているか、という情報がわかれば、それをそのままマーケティング施策の立案に活かすことができます。
もちろん過去の購買履歴からその商品群のDMを送ったり、クーポンを提供したりすることはやるべきなのですが、過剰に過去に縛られていても新しい需要を生み出すことはできません。顧客は常に年老いており、定型的な買い物はさておき、イベント消費は常に未来の年齢を意識しながら行うべきです。
ポイントカードの類似購買パターンの客層の動きから、「次に何を買いそうか」という商品群が抽出できないか試してみるのをお勧めします。年齢や地域によって、顧客がどういう順番で何を買うかの法則が見えてくる場合があります。これは人力での分析では顧客数が増えるに従って破綻しますので、システムの人工知能を強化し、企画担当者のサポートができるようなデータ処理が行えるようにしましょう。データを多く集めれば集めるほど精度は高まりますので、集計分析、機械学習ができるデータ分析環境を整えてみてください。
Point.3 販促実行までを統合
行うべき施策が見えてきた際には、その顧客データーベースからCSV等のファイルで出力し、DM業者に送付したり、はたまたメールマガジンやSMS配信サービス等のインポートしている方も多いのではないでしょうか。
機能を分割し維持するのはメリットもありますが、もし販促活動を高度に自動化していくのであれば、販促対象の抽出から販促の実行までを統合していくことも可能です。分析、抽出から実行までがスムーズに流れるようになりますので、業務効率が大きく改善しますし、ミスも減るでしょう。さらにミスを減らすのであれば、データダウンロード自体も、認証を導入した上で、指定したデータを直接代行業者にダウンロードしてもらうのも良いかもしれません。
たとえばメールであればすぐに実装できるしょうし、ショートメッセージ(SMS)の送信も統合は用意です。郵送系の販促ツールとの連動は一工夫がいりますが、手動での抽出の手間を省くのはもちろん、スピードアップや人為的なミスの防止にも貢献します。このあたりは全体としてのシステム設計をどう行うかにも関わってきますので、ある程度統合していくことに障害がないのであれば効率アップのために検討してみてください。
限界を超えていく
ポイントカード施策は顧客に割引きやサービスを還元する原資も必要なため、長く続けているとコスト要因と捉えられがちです。ですが、ポイントサービスを高度に活用することができれば、より多くの還元とより多くの利益という相反する目的を実現できることがあります。
そのための高度なマーケティング活用、効率的な運用をサポートするのは間違いなくその屋台骨を支えるシステムです。もし「とりあえず」のポイントカード施策でとまってしまい、宝の持ち腐れになっている可能性があるなら、もっと他にできないか、追求できないかを考えてみてください。