堅実にリピーターを増やすカフェがある一方で、一つのヒット商品でとんでもない売上をたたきだすお店もあり、売上をあげる方法というのは本当に様々です。

とはいえ「ヒット商品なんていらない」と言う人は少数派ではないでしょうか。大なり小なり、自店の定番商品、人気商品を生み出すことができればと、心の奥底では思っている方が多いのではないでしょうか。売上貢献にも、そしてブランド向上にも資する可能性の高いヒット商品。あるに越したことはありませんし、一つのヒット商品があるからこそ、その後の展開が拡がるというメリットもあります。強い商品はそれこそ全国に対して、さらには世界に対して売れる可能性を秘めています。

そのヒット商品をどのように考えれば生み出すことができるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 自店のこだわりを煮詰める

ヒット商品といっても、関係のないものはブランド価値を高めませんし、そもそもヒットすることもありません。まずは、自店のこだわりが何で、その延長線上にどういった商品が考えられるかを突き詰めてください。

和菓子屋さんが単純に洋菓子を展開するのはあまり良い手ではありません。自店のこだわりが和にこだわらない創作性が売りなら無い話でもないですが、それでも和の枠内でもっと突き詰める可能性がないか考えるべきです。同様に健康にこだわっているお店が、明らかに身体によくなさそうなものを作るのも間違っています。ヒット商品の背景には常にお店のコンセプトが真っ当であることが要求されます。自店にとってはそれが一体なんなのか、商品開発がぶれないようにするためにもしっかりと明確化してください。こうしたことを考える中で、自店のブランドのようなものがおぼろげながら定まってくることが多いです。ヒット商品とブランドはお店の両輪であり、どちらもが相互に作用しながら築き上げられていくものです。

自身の経歴や、仕入れネットワーク、立地や歴史など、意外なところにヒントはあるものです。自分だけでは煮詰まってしまう場合には、より多くの人と議論するとアイデアに近づく場合もありますので試してみてください。

Point.2 流行る要素を必ず取り込む

良い商品を作れば売れるというのは誤解です。流行るものにはやはり流行る要素があり、それを確実に商品に仕込むことが重要です。

例えば商品の盛りつけ方やパッケージ等の見た目。最近はインスタグラムを筆頭に、ソーシャルメディアでの写真でのコミュニケーションが活発です。おいしいことよりも、見た目がかわいい、かっこいいことが優先されているように感じることさえあります。サイズや色使いもトレンドを取り入れられる部分は取り入れてみるべきでしょう。

今の時代に流行っているスタイルは何か。その流行に乗れる要素はきちんと抑えられているか。迎合ではなくあくまでも活用という視点で、良い商品である以上に流行る商品である仕掛けを忘れずに施すようにしてください。時代は常に変化しており、時代とは無縁では商品開発は行なえません。流行りに迎合するわけではありませんが、流行りの要素をスパイスのように意識してみてください。

Point.3 季節感は忘れない

「ヒット商品が年がら年中売れ続ける」

これはビジネス的には理想であり、売上も安定するので言うことはありません。事実、こうした特性をもった商品は存在しており、そこに憧れる気持ちはわかります。焼き菓子のようなものであれば比較的実現可能性は高いかもしれませんが、原材料の調達の問題や保存、保管の問題を考えると、通年で売り続ける商品というのはものすごく限られていることが容易に想像できます。

通年で売れ続けるもの、というのは最初のヒット商品を目指す際には封印すべき考え方です。まずは季節感を最大限に取り込み、季節による限定性や、バリエーションの豊富さを意識した方が、ヒットの確率は高まります。

例えば季節のフルーツを使った商品であれば、旬のフルーツを使うことでバリエーションをうみだせます。また、フルーツが変わったならまた買ってみようか、といった再購買促進にもつながります。ヒット商品というよりもヒットシリーズに近い考え方になっていきますが、季節感という武器を最大限に取り込んで、商品の魅力度・希少性をもっと高めることはできないか検討してみてください。

様々な軸でユニークになればなるほど商品は輝きます。お店のこだわりに加えて季節感という希少性が加わることで商品がパワーアップします。季節感に限らず、商品のユニークさ、希少性が高まる要素は積極的に検討してみてください。

商品開発に取り組めるチーム作りを

ヒット商品は作るまでも大変ですし、それがヒットした後に改善、新商品を作っていくことができなければ一過性のブームに終わってしまいます。大切なのは、こうした商品開発を継続的かつ創造的に行えるチーム作りです。

お店が忙しくなれば商品開発が滞るようであれば意味がありません。強いチーム作りを意識して、一発屋で終わらない店作りを目指してみてください。