定期収入の基盤
不動産業者、とりわけ、地域密着の「街の不動産屋さん」にとって、駐車場管理業務というのは金額は大きくはありませんが、定期的な収入を見込める事業の一つだと思います。ですが、1件1件の金額は小さく、かといって高付加価値が成立するモデルではないため、どうしても単価引き上げで売上を伸ばすことは困難です。いかに多くの数を、少ない人数で回すかが重要であり、そうした路線で取り組んでいる会社も多いのではないでしょうか。
そういった状況下で考え得るのは業務効率化です。売上を大きく伸ばせないのであれば、業務コストを削減することで利益を伸ばせないかを追求することが重要です。ですが、無理な業務コスト削減はクレームを生むだけです。システムを活用して、どのようなアプローチが可能か、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 空き照会の自動化
駐車場管理の大半は、いまだに電話でお問い合わせください、といった、旧来ながらの受付方法です。ホームページで空き状況を掲載しているところもありますが、最終的にはメールか電話でお問い合わせくださいといったパターンのところがまだまだ多いように感じます。
可能な限りリアルタイムの空き状況をインターネット経由で行えるようにすることはもちろん、そのまま申し込み、支払いまで行えるようにしましょう。毎月の引き落としは収納代行等を使っているところも多いと思いますが、カード払いを可能にするのであればそのまま月額自動引き落としのカード決済の設定も可能です。
どうしてもカード決済は決済手数料のために利益額が減ってしまうため敬遠されがちです。とはいえ、ユーザー側の利便性や、高度に決済代行をカスタマイズできる利便性は捨てがたいものがあるのも事実です。ユーザー側にとっても気軽ですし、システムとしても決済部分の入金確認を含めて自動化することができるのでメリットは大きいものがあります。
初期費用と収納代行がはじまるまでの間だけカード決済といった役割分担も可能ですので、スタッフが介在しない申し込みフローを検討してみてください。
Point.2 キャンセル待ち機能の実装
駐車場管理も、稼働率が重要なことは言うまでもありません。空きがでてから申し込みを受け付けていては、1〜2ヶ月のタイムラグによる損失が発生しています。これは発生させないために、キャンセル待ちの機能をもうけましょう。
具体的には、空き照会で満車という駐車場に対してキャンセル待ち登録ができるようにし、解約のタイミングが確定した段階でキャンセル待ちしている人達に順に自動でお知らせしていきます。実際の解約前に見込み客にアプローチできるため、うまくいけば空き期間が無く次の利用者に引き継げます。駐車場は家とは違い、ほぼ移行期間無しに引き継げるので、この方策による売上アップが見込めます。人気の区画であれば、即日うまることも珍しくないでしょう。
また、どれぐらいで空きそうか、次に空きがでるとしたらいつのタイミングかといった情報も、キャンセル待ち希望者には開示するのも良いでしょう。キャンセル待ちの人がいつまで待つかを判断するための材料を提供することで、待っている間のストレスを軽減することができます。
Point.3 空きと連動したネット露出
月極駐車場もインターネット経由で探されるケースが増えています。もちろん、満車時にわざわざネット広告を出稿する必要はありませんが、空きがある又は見込まれる場合は、その期間だけ検索連動型広告に自動的に出稿するようにしましょう。
「地名 駐車場」のようなキーワードに出稿することで、確実に見込み客に自社の管理駐車場の空きを伝えることができます。競合の駐車場情報はそもそもインターネット上に空き情報が出てこないことも多いだけに、少しの露出でも大きな効果を見込むことができます。数千円の投資ですぐに空きが埋まるとしたら悪くない投資ではないでしょうか。それがさらに効率化できれば、数百円の広告出稿で効果がでる場合もあります。これはリスティング広告の運用レベルに依存しますが、競合が少ない地域、キーワードであれば十分に狙える水準です。加えて、ホームページ上の情報発信も連動する良いでしょう。特定地域で駐車場を探しているユーザーの数はそれほど多くなくとも、そういった情報を提供しているライバルも少ないので、情報発信さえ担保していれば、見込み客の集客効果が期待できます。
インターネット広告への出稿はもちろん手作業でも可能ですが、数が増えてくる管理が大変ですし、検索連動型広告への理解が必要なので、スタッフの教育も必要です。ここは思い切ってシステムに委ねてさらに業務効率を向上させましょう。
地味な事業を攻める
駐車場管理は不動産業にとって、物件売買と比べるとどうしても地味な事業だと思います。コツコツという言葉が似合う事業かもしれませんが、だからこそ攻めることで駐車場オーナーへの提案力も向上しますし、何より稼働率向上は関係者全員が幸せになります。
昔ながらの方法では地味なコツコツ事業のままですが、攻めて工夫する余地はまだまだあります。システムを活用した業務改善、是非検討してみてください。