Googleが一般に広く開放したGoogle Data Studio(グーグル・データスタジオ)や、AirBnbがオープンソース化した自社ツールなど、一般にBIツールと呼ばれるマーケットがにわかに活性化してきています。エクセルが使える人であれば、操作はより簡単なことも多く、データの準備とその抽出のやり方にさえ慣れてしまえば、敷居は低いと言えるかもしれません。

その操作性の高さや、集計をまるまる委ねられる利便性もあって、利用を検討している会社さんも多いのではないでしょうか。ただ一方で、データソースの準備など、それぞれに独特な部分が多いのも事実です。連携設定も一度行ってしまえば後は楽になりますが、慣れない操作を行うのは誰にとっても辛いものです。

今回はGoogleデータスタジオに代表されるBIツールとシステムをどう連携させ、ビジネスのPDCAフローを改善していくかについて考えてみたいと思います。いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 元データの取り込みは自動に

BIツールはどのようなツールであれ、分析対象となるデータがなければはじまりません。自社のシステムがある場合は、API的に必要なデータをBIツール側にわたすように増築するのも良いでしょうし、定期処理でファイルを書き出す方法でも良いでしょう。表示側はBIツールに委ねることができ、データを準備することにフォーカスできるのでこれだけでも効率的ではありますが、自動化できるのであればこうしたデータ準備すらも自動化してしまうのがおすすめです。

GoogleデータスタジオであればGoogleスプレッドシートをデータソースに使うこともできますし、AdwordsやAnalyticsといった、Google内の他のサービスをスムーズに設定できるので、非常に導入のハードルが低いのが特徴です。データの元と表示先が比較的直感的であるのも、こうしたBIツールの使い始めとしては使いやすい理由かもしれません。

こうした導入コストの低いサービスからはじめてみて、BIツールを現場レベルに浸透させるのも有効です。

Point.2 一覧性重視のレポート設計

BIツールは、全体感を把握するためのデータ表示に非常に向いています。そのため、細かいデータをつめこんだレポート画面を設計するよりも、まずは全体感をつかむためのグラフ等を用意したレポートを設計するのがおすすめです。

複数並べた上で、期間を切り替えながらそれぞれの推移をみたりといったことが非常に快適に行えるため、今までは月に1回だったレビューの頻度を、週次、日次といった頻度で行うことも可能になります。毎日やればいいというものではないですが、リアルタイムの数字をストレス無く確認できる環境があることは、数字意識を高め、継続的に数字ベースの判断を行うためにはとても重要です。

また、一覧性が高いレポートがあれば、打ち合わせ資料を作成する必要がなくなります。もちろん、データやグラフを見て、どう解釈するか、どうアクションをうっていくかを検討する必要はありますが、資料のうちの多くの部分をしめていたデータ・グラフ部分を作成する労力から解放されるのは大きなメリットでしょう。ついつい見たくなる気軽な状態が実現できればしめたものです。

Point.3 自社システムをシンプルに

ビジネス基盤として自社システムを構築されている場合、何かしらのレポート機能がついていることが多いのではないでしょうか。BIツールの導入により、この部分を別サービスに丸投げすることができるため、自社システムをシンプルにすることができます。データの出力や、データ面での連携機能さえ構築してしまえば、後はほぼシステム担当側での作業や負担が無くなるのはとても魅力的です。

たかが一つの機能ではありますが、グラフ描画やデータ表示、期間切り替え等に伴うインターフェースなど、レポート機能は想像以上にシステム担当に与える負荷が大きいものです。この部分をシステム担当から切り離し、マーケティングサイドの人間側で好きに管理できる体制になることで、会社全体としての効率性を高めることが可能になります。運用上の手間も軽減できるため、トータルで会社全体の運用負担は軽減されることが多いでしょう。

考えることに集中する

分析作業というの思っている以上に、考えている以外の時間が長いものです。その最たるものがデータの準備であり、視角化も同じぐらい大きな比率を占めます。

BIツールはこうした状況に対する一つのソリューションとして、今後も採用例が増えていくことが予想されます。得手不得手を見極めた上で、従来のエクセルや自社システムとの共存がはかられることとは思いますが、それでも大部分をBIツールに委ねることは可能と思います。

マーケティングサイド、システム担当双方にとって歓迎しうるBIツールの導入とそれに伴う社内体制構築を是非検討してみてください。