同じ通りに複数の歯科医院が乱立していることが、歯科医院の競争の激しさを物語っているのは有名な話です。コンビニエンスストアを超える密度で商圏内の人口を奪い合う一方で、自由診療と保険診療の両方の売上アップに頭を悩ませている歯科医師やスタッフの方も多いのではないでしょうか。
集客に積極的な医院と消極的な医院はわかれることが多く、集客をすれば良いという単純な話でもありません。マーケティングに成功するかどうかは、自院がどういった戦い方をしたいか、していくかに大きく影響されます。もちろん、周囲にどういった競合があるかの影響も受けます。街の性格や、立地、そうしたすべてを総合的に考える必要があります。
今回は、こうした歯科医院/歯医者のマーケティングについて考えてみたいと思います。新規患者を獲得しながらも、しっかりと既存顧客の満足度を高め、定期的な診療によって医院側、患者側の満足度を高めていくにはどうしていくべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 ターゲット層にあわせた最低限の医院作りを
歯科医院と一口にいって、その雰囲気や客層など、多種多様です。地域密着の長年やっている、という歯科医院と、都会にある自由診療中心の歯科医院は見た目も雰囲気も全然違うことは皆さんも体感的に納得できることではないでしょうか。
大切なのは、狙うターゲット層にあわせて、おさえるところはおさえるべき、ということです。どんな医院でも立地や評判が良ければある程度の来院は見込めるかも知れませんが、それだけでは安定かつ長期的な成長は見込めません。あくまで、商圏あっての歯科医院です。周辺の人口動態を踏まえながら、商圏の中で大きな需要または満たされていない需要をターゲットにして、そこにあわせて医院を作り上げていくのが基本になるでしょう。
誰も古びた歯科医院に最先端の審美歯科を期待しません。内装や外装をひたすらゴージャスにしろという話ではありませんが、何を売っていきたいか、誰に売っていきたいかにあわせて、医院作り自体もしっかりと見直すことも必要です。サービスメニューの拡充や新しい機材の導入、院のリニューアルなど、場合によっては必要になることもあるでしょう。
Point.2 歯科医師以外のスタッフ強化を
歯科医院の満足度は、歯科医師の能力に依存するところは大きいですが、実際はそれ以上にトータルでの満足度に左右されます。どれほど腕の良い施術が行われたとしても、受付のスタッフの対応が最悪であればその患者さんが定着することはないでしょう。
日々の業務の中で、スタッフ教育まで手が回らないという歯科医院も多いと思います。良い人を採用してください、しっかりと教育しましょうと言うのは簡単ですが実行するのは難しいのも事実です。現実問題として、良い人を安く雇用することは無理難題と言えるかもしれません。
そこでお勧めするのは、人件費をかける、という最も原始的かつ基本的なアプローチです。例えば時給を100円あげたとしても、8時間で800円増です。20日勤務として16000円のアップですが、より優秀な人が雇え、スタッフ教育にかける時間を節約できるのであれば有効な投資ではないでしょうか。実際は100円アップではなく300円アップという場合もあるかもしれませんが、トータルの費用対効果で見れば決して高くない場合が多いはずです。
安く人を雇って育てる、というアプローチも否定しませんが、育てている間に辞めてしまうことも考えると、はじめから良い人を採用するほうが安上がりであることはよくあります。歯科医院全体のパフォーマンスを高めるために、人材投資をしっかりすることを検討してみてください。
Point.3 ホームページはしっかりと作り込む
ホームページのない歯科医院というのは少なくなってきましたが、作りっぱなしや、とりあえず、というものもまだまだ多いです。スマートフォンの普及によって、「行く前に調べる」という行動は当たり前になってきています。歯科医院の比較も簡単なので、いかに来院前の比較で競合医院に勝てるかが重要なのは言うまでもありません。
ホームページは情報量、情報の質、そして雰囲気作りの全てにこだわってください。子供をメインターゲットにする場合でも、若い女性をメインターゲットにする場合でも、ホームページの雰囲気というのはとても重要です。スマートフォンで読みやすいホームページにするのは当然のこととして、院長やスタッフ紹介、施術メニューのわかりやすい紹介など含め、抜かりなく構築することをお勧めします。
一度診察を受けてしまうとなかなかスイッチしづらいものでもあるので、最初に選んでもらえるかが重要です。定期的に競合のホームページはチェックするようにし、第一印象で負けていないか、負けているならどう改善していけるかを検討するようにしてみてください。情報のカバー度にも気をつかってください。ホームページに情報が掲載されていないことは対応できないと思われてしまいます。サービスメニューとして対応できることは、例えば一言でも記載し、競合院に負けない充実度を目指すべきです。
リピート化はWin-Winへの一歩
歯科治療は、継続的かつ定期的に通うことが重要なことの一つです。もし貴院のサービスに満足し、今まで治療から遠ざかっていた人が半年に1回通い続けるようになれば、医院にとってもプラスですし、患者さん本人の口腔内健康にとっても大きなプラスです。
大切なのは歯科医院全体、そして、来る前含むトータルで満足してもらうこと。そのためにメリハリをつけた投資と、現実的かつ費用対効果の良い意志決定を行ってみてください。