趣味から拡がるマーケット
一体何度目かはわかりませんが、コーヒーがブームです。大手カフェがものすごい勢いで出店を進めているため、その恩恵の拡がりは限定的かもしれませんが、店舗数の増大にともなって、コーヒー関連機器の引き合いも増えてきています。さらにはパワーユーザーと呼ばれる趣味がこうじた個人の需要もあり、焙煎機や業務用ミル・グラインダーといったもののマーケットが拡がっているように感じます。
とはいえ、コーヒーは世界共通のため、機材一つとっても欧米諸国のブランドや、中国製のものに差し込まれている現状もあります。国内の商社・メーカーも、自社の販売商品をより多くの人に知ってもらおうと必死で努力している状況ではないでしょうか。新規開店需要はもちろん、趣味がこうじて個人で購入するような人もいます。情報発信はますます重要になっていると言えます。利用者からすると、一部のマニア層を除き機材については気にしないのが一般的であり、コーヒーがおいしければいい、という曖昧なものなのでなおらさら難しいマーケット事情とも言えるでしょう。
今回はこうした焙煎機や業務用コーヒー機器、さらには個人向けの小型機も販売しているような商社・メーカーのホームページ制作について考えてみたいと思います。どういったポイントに気をつけて構築すべきか、早速整理してみましょう。
Point.1 体験会の開催と発信
本格的な機材になると、たとえそれがある程度家庭用を想定されたものだとしても高額になると思います。近所の家電量販店で電池を買うような気軽さでは買えないもののため、通常は十分な検討期間を経て購入されることが多いでしょう。この、検討期間の間に十分な接触をはかれるかが売上に直結します。
そこで、機材の体験会を積極的に開催しましょう。特に焙煎機のようなものは、使ってみないとわかりません。さらには好みの問題もありますし、使い心地を体験してもらうのは、他社製品との違いを感じてもらう上でとても重要です。対応するスタッフの人件費等、無料で開催するのが困難であれば参加費をとるのも良いでしょう。参加費をとることで体験会の内容をアップグレードすることもできるため、双方にとってメリットが出る場合もあります。自分が使いこなせるか、はもちろん、自分が狙った通りの味を出せるかというのも重要です。体験会だけでは期間的に身近すぎる場合には、一定期間の貸し出しを検討しても良いでしょう。
体験会の様子は参加者の同意のもと、積極的に自社ホームページやFacebookやX(旧Twitter)などのソーシャルメディア上で発信しましょう。そこに担当者のコメントを加えたなら、会社に対する親近感も醸成できますし、何より使っている人がいる、支持されているという証明になります。
自社商品だけでは集客力に不安であれば、納入先のコーヒー店の方に講師役をお願いするセミナーを絡めるのも良いでしょう。あとは同じコーヒー好きの目線で体験会を企画すれば、自ずから人は集まってくるはずです。ホームページ上でのこうした体験会の募集、レポートという好循環がまわりはじめると、自然とファンが増えていく効果が期待できます。
Point.2 要望ヒアリング会と商品開発
完璧に作り上げたつもりが、改善点が見つかる。商品開発とはこういったことの繰り返しだと思います。ずっと同じ商品を売り続けることはまれで、ほとんどがマイナーチェンジやメジャーバージョンアップを繰り返していくと思いますが、その過程にユーザーを巻き込みましょう。
具体的には定期的な所有者招待型のヒアリング会を開催し、そこでの会話内容も差し支えない範囲でどんどんと外部に発信していきます。いわば商品開発を公開型で行うイメージです。こうした施策は競合に盗み見られることを気にして躊躇しがちですが、あまりにセンシティブな情報は公開しなくて良いですし、大半の情報は自社製品ありきの論点なので、あまり競合には参考にならないことがほとんどです。もちろん、招待型では地理的に集まりにくいというような場合には、訪問型・取材型でもかまいません。顧客層にあわせて柔軟に考えてみてください。
現利用者には、商品がもっとよくなっていくんだという期待が持てますし、そうした真摯な取り組みをしていることが将来にかけての安心感につながります。また、こうした取り組み自体がメディアに取り上げられることも期待できますので、新しいユーザーの獲得にもつながります。業務用で使われていることがわかれば、導入を検討している層には魅力的ですし、それが有名店や人気店であれば尚更です。
新しいユーザーとの接点を得るための体験会に、現ユーザーとのつながりを深めるヒアリング会。この両輪でどんどんと商品を良くして、ファンを増やしていってみてください。
業務用と家庭用の狭間で
業務用、という言葉はいつか消えてしまうのかもしれません。ここまで言うとさすがに言い過ぎですが、丁度、業務用と家庭用の間に、大きな市場があらわれてきている気がします。
単価は大きいものの、数がでない業務用と、単価は中程度ながら、数がでるプロ素人向けの商品の両方をバランス良く獲得していくことが売上向上の一つのアプローチになるのではないでしょうか。そのための集客の要は間違いなくホームページであり、そこに絡めたコミュニケーション施策とあわせて、積極的なマーケティング活動を仕掛けてみてください。