夢を見せる場所

今も昔も、家というのは人生最大の買い物です。各地に点在する住宅展示場はまさにそんな一大決心前の下調べの場所であり、各住宅メーカーがしのぎを削る夢の国でもあります。各社の最新の商品が一度に見て回れる利便性と、何より実物に触れて座って確認できるというのが変わらず支持される理由でしょうか。

こうした住宅展示場も、従来のチラシや看板一辺倒の集客から、インターネット集客へ軸足を移しつつあります。その収益モデルからなかなか大々的な広告が打てないだけに、いかにネットを活用して費用対効果の高い集客施策を実行できるかが問われているとも言えるでしょう。インターネットならではの表現も行いやすいため、これからはますますホームページを中心とした販売施策が強化されていくことが予想されます。

今回は、こうした住宅展示場や住宅博のホームページ制作について考えてみたいと思います。どういったポイントに気をつけて構築すべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 見込み客とつながる仕組みを

FacebookやX(旧Twitter)、LINEにInstagramにYoutubeなど、既にソーシャルメディアを活用しているところも多いと思います。ホームページ上に情報を掲載しただけでは見てもらえるとも限らない時代に、より利用者が情報を得やすい媒体に情報を発信し、利用者に近づいていく努力は非常に大切です。

とはいえ、ただのイベント情報の配信や、「今日の○○」といった内容では拡がりがありません。せっかくの立地や商材の特性を活かして、利用者の興味をひく情報を発信していくべきです。例えば住宅展示場内部のイベントのみならず、周辺のイベント情報や新しいお店がオープンした情報を配信するのも良いでしょう。住宅展示場を主目的に来場してもらえるのがベストですが、ついでであっても目的地になってもらうことが重要です。利用者の興味を惹くためにもっと発信できるおもしろい情報・ためになる情報がないか、検討してみてください。

自社内でだけでは厳しい場合には、テナントの住宅メーカーにも打診し、おもしろい共同企画や、それぞれの住宅メーカーにとっても意味のあるコラボレーションができないかも検討してみてください。また、最新の家電や家具の話題、片付け・収納術の話題など、スタッフの興味やスキルに応じて、発信する内容を模索してみるのも良いでしょう。

Point.2 建て替えの様子をダイジェスト配信

住宅展示場であれば、定期的に建物の建て替えがあると思います。住宅展示場は本来完成品を展示する場所なため、建て替えがあまり大きく取り上げられることはありませんが、堂々と建て替え現場を眺められる機会はそうそうありません。

各メーカーが見学会を催している場合もあると思いますが、ホームページ上でもその建て替えの様子を連載形式で発信していきましょう。まさにそのメーカーの住宅を検討している人の興味を惹くことはもちろんできますし、住宅がだんだんとできあがっていく様を眺めるのは楽しいコンテンツになり得ます。過程を公開することで、できあがった時には「ちょっと見に行ってみようかな」という気持ちも誘発できますのでお勧めです。ちょっとした裏話なんかもおり混ぜながら、ひとつの物語を作り上げていくイメージです。

さらに建築中の見学会を開催するのも良いでしょう。普段は安全上の理由から立ち入りや区域を制限していると思うので、そうした工事現場を見学できるのは、これから家を建てようか考えている人にとっては心惹かれる機会になるはずです。

Point.3 メーカーより詳しいマニアックな情報発信を

住宅展示場は住宅メーカーではなく、あくまで場所を提供している場合が多いため、どうしても情報発信は後手にまわりがちです。ですが、住宅メーカーよりも第三者的な視点が可能で、そこに利用者の支持を得られる可能性があります。

具体的には、各メーカーの住宅に関して、中立的な視点でできる限りマニアックな記事を作成して掲載しましょう。凝ったページに仕立てるのも良いですし、ブログ形式でも構いません。柱の比較や耐震性、断熱性や収納などなど、来場者が気になるであろうポイントをカバーする記事を書いてみてください。基本的には各社とも力をいれたモデルハウスを建てることが多いでしょうし、ネタには困らないと思います。ただ、数を用意するのは難しい場合もあるので、記事の質にこだわる方向性が良いでしょう。

もちろん、どこか特定の住宅メーカーをけなすような内容や、恣意的な優劣をつける必要はありません。あくまで比較参照する際にどこもまとめていないような細かい部分を丁寧に記事にしていくことが各方面とのバランスをとりながら実現できるレベルと思います。まとめ記事として情報が非常に充実していれば、それだけでソーシャルメディアで注目されたり、SEOの効果が高まったりします。たかがブログを侮らず、良質な記事作成を意識してみてください。

もっと目的地になるために

住宅展示場には、身近なエンターテイメント施設になる可能性が溢れていると思います。家を買う前から、もっと日常の中に入り込めるような身近さ、有用性を、インターネットを活用することで強化できたとしたら、長期的なビジネス上の強みが形成されていくと思います。

淡々と更新するだけのホームページではなく、攻めの姿勢で運用していくホームページで、より多くの来場者に夢を与えてみてください。

開発スタッフのコメント
大手メーカーや中堅メーカーをまとめて見学できる住宅展示場の存在感はまだまだ強く、定期的なイベント集客のチラシを目にすることも多いのではないでしょうか。一方で、住宅展示場に行かない層も増えており、こうした層に対していかにリーチするかも重要になってきます。ホームページはこうした敬遠層に対しても有効な手段であり、展示場ならではの良さをアピールすることができれば、訪問のきっかけ作りの一つになることが期待できます。