再びあたるスポットライト

フットサルコートやフィットネスクラブなど、民間の運動施設が増え続けていますが、同時にその利便性を見直されているのが市区町村が運営する公共施設ではないでしょうか。立地や設備が非常に優れているのに利用料が非常に安いことが人気の秘密ですが、今後ますますその人気は高まっていくことが予想されます。

その一方で、体育館やテニスコートといった公共施設の予約方法は旧来の電話や窓口のみの自治体も多く、運営者にとっても利用者にとっても負担の大きい利用管理の仕組みになっています。人気のある時間帯等は抽選になることも多く、そのオペレーション全体が利用者にとっては負担や時間的拘束の強いものになっている場合も多いようです。公共施設においても効率性が求められる時代、いつまでも人力に任せた力業の運営では厳しいものがあります。人材不足も加速していますので、強い意味のない労働集約的な業務は効率化をすすめるべきでしょう。

今回はこうした公共施設の予約管理、利用管理システムについて考えてみたいと思います。どのように構築すれば利用者にとっても、運営者にとっても便利で効率の良いシステムにできるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 モバイルファーストとユーザビリティの両立

スマートフォンの普及はインターネット利用へのハードルを下げ、今では年代を問わずインターネットを利用する際の端末として不動の地位を築いています。老若男女、様々な人が利用する公共施設でもこういったスマートフォンに代表されるモバイル端末への対応は必須と言えます。しかも、今後もこの傾向は続くことが予想されます。ホームページや予約サイトの利用率もすでにスマートフォンが逆転しているところも珍しくないと思います。

スマートフォンで使いやすいように画面を設計するのはもちろんですが、画面が小さいことを考慮して、文字サイズを大きく変えられる機能の実装など、ユーザビリティの両立にも配慮しましょう。目の悪い人向けの音声読み上げ機能などへの対応なども検討する価値があります。モバイルファーストという言葉遊びだけに終わらず、本当の意味で多種多様な利用者にとって使いやすいシステムを目指してください。

Point.2 プッシュ型の確認やリマインド

もし今、事務職員が前日に予約確認の連絡をしているのであれば、そこはメールやショートメッセージのような自動通知に代替することで効率化を目指しましょう。さらに厳しく運用するのであれば事前にクレジットカード決済をしてもらい、直前のキャンセルの場合はキャンセル料を強制的に徴収する方法もあり得ますが、そこまでは難しい自治体も多いと思います。まずは出来る限り職員による連絡を減らす方法を検討すべきです。

メールアドレスや携帯電話番号を登録してもらえる場合は簡単に実現できますが、固定の電話番号しかない場合が少しやっかいです。その場合でも相手にあわせた内容で話す自動音声での確認連絡は可能です。そもそも事前確認の連絡がどのレベルで必要かを含め、しっかりとした議論が必要でしょう。

督促連絡を減らすことができれば、職員の負担は確実に減ります。また、地味ながら電話料金の削減効果もあるため侮れません。支払い手段としての銀行振込もそうですが、どうしても手動対応を消し切らない手段は、業務改革の過程で本当に必要なのかを再検討してみてください。シンプルにすればするほど、業務効率は高まります。

Point.3 各種統計やデータ化を自動化

予約管理、利用管理をシステム化することで、今まではエクセルで手作業で作っていた資料の作成を不要にすることができます。データは全てシステム上に蓄積されるため、利用率や利用者集計データといった資料を自動で生成することができます。1年、また、毎月の報告書作成が現場の重荷になっている場合は、これだけでも運営効率の向上につながります。

さらには空き状況も自動的に生成することができるため、「いついつは空いていますか」といった問い合わせ対応もスピーディーに回答できますし、何より、利用者が自分で調べることができるようになります。自分で調べてもらえることができれば、対応する時間も必要なくなりますし、利用者にとってもあれこれ好きなだけ調べながら日程を検討できる利点があります。このような、データを一元管理することによるメリットを最大限活用してみてください。

自治体もIT活用が不可避

10年前に比べると、自治体のIT活用は大きく進みました。とはいえ、まだまだ個別具体的な業務ではIT活用がなされていない例も多く、大きな予算を組みにくいため延々と放置されていることも多いようです。

ITの活用、システムの活用は運営する職員も利用者も双方を便利にしてくれます。シンプルなシステムでも十分な効果を発揮してくれます。公共施設の稼働率を高め、より充実した住民サービスを実現するためにも、システム構築を是非検討してみてください。

開発スタッフのコメント
各自治体が健康増進の目標のもと、公共施設の貸し出しには積極的です。施設の老朽化はよく話題にあがりますが、その施設を運用するシステムの老朽化はあまり話題にあがりません。施設といったハードウェアも大切ですが、運用効率や利用者満足度を高めるためにはそれだけでは十分ではありません。システムというソフトウェアにもしっかりと投資をすることで、利用者も運営者もハッピーな状態をより簡単に築けるのではないでしょうか。