より早くオンデマンドに
アパレル商品のトレンドの移り変わりがどんどんと激しくなっています。シーズン毎の入れ替えだったものが、今や週単位での変更など、一部のファストファッションブランドが先行するかたちで、トレンドへ素早く追随する動きが止まりません。同時に業界全体の多様化を進んでおり、細かいニーズに素早く対応する重要性が高まっているとも言えます。
消費者の興味は多様化し、ますます少量多品種を効率よく管理する必要が出てきています。売れ残りはセールで売れば良いという発想では決して収益率は改善しませんし、何よりセールで売り切るのにも骨が折れる時代になってきています。いかにオンデマンドに近づけながら、販売ロスと過剰在庫を最小化するか。簡単なようで難しいこの課題に真正面から向かい合っていかないといけない時代になってしまったと言えます。廃棄ロスの存在は持続可能な社会という観点からも、消費者受けのよくないポイントになってしまいます。
今回はこうした流れの速いアパレル・服飾商品を取り扱う卸や貿易商社、メーカーの販売在庫管理、発注管理システムについて考えてみたいと思います。どういったポイントに気をつけてシステムを構築すべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 受発注から物流までを統合管理
既に物流と連動するかたちで独自のシステムを構築されているのであれば問題ありませんが、未だに各システムが分断されているようではどうしても効率はあがりません。また、画面が使いにくいだとか、今のタブレット等の端末環境では使いにくいといった場合も注意が必要です。
完全刷新や新規の場合は非常に話は簡単です。店頭で使う端末、バックオフィスや倉庫で使う端末や使い方を定義し、最適な画面構成や機能を各使用者に割り当てるかたちで仕様を詰めていきましょう。発注や取り寄せなど、物を移動させる処理は全てオンラインで完結するようにし、取引先にもIDとパスワードを発行しオンラインで注文等を行ってもらうようにするのがベストです。いまだにFAXが主役ということはさすがに無いとは思いますが、メール添付でのやりとりや電話でのやりとりなどは徹底的に減らしていくべきです。
もし取引先が自動発注の仕組みを持っているのであれば、それに対してシステムを解放できるように構築しましょう。セキュリティを担保しながら、外部のシステムと連携する仕組みを構築することができれば、今の重要な取引先との強固な関係構築につながります。なかなかシステム連携までは踏み切れない企業が多い中で大きなアドバンテージになるでしょう。システム間の自動連携が難しい場合には、ファイルベースでの定期的な反映処理で連携するかたちも検討できます。
Point.2 FAX連携や取り込みも考慮に
取引先の関係上、どうしてもFAXでのやりとりを無くしきれない場合もあるでしょう。そういった場合でも効率化の道をあきらめる必要はありません。FAXを自動的にシステムに取り込むように構築することでデータの一元管理ができますし、手書きでないFAXであれば、ある程度の精度でOCR取り込みすることも可能です。
また、システムからFAXを発信することも可能ですので、一つのシステム上でメールやFAX等、取引先に応じた受注確認の連絡や在庫返答を行うことができます。「あそこはメール、あそこはFAX」といった具合に業務が混在しないため、ミスも減りますし、何より事務効率が上がります。理想的にはこうした会社にもシステム利用に参画してもらい、直接データを変更したり、発注、受注のやりとりを行なってもらうことです。段階を踏む場合はこうした相手にあわせる対応も検討してみてください。
昔ながらのやり方も拾いながらも、確実に本来あるべき姿へのステップを踏み続けていくべきです。
Point.3 将来の拡張性を担保
今後、システムがあるべき姿はめまぐるしく変わっていく事が予想されます。外部のポイントサービスと連携する可能性もあるでしょうし、一部の物流を外部に委託する可能性もあるでしょう。こうした場合に柔軟にシステムを拡張していけるよう、あらかじめ構築の段階でしっかり設計しておくことが重要です。
外部とのサービスとの連携を想定した作りにしておくことで、経営上の意志決定をスピーディーにサポートすることができます。1年、半年、1ヶ月でも惜しいご時世では、このスピード感がとても重要ではないでしょうか。未来を予測することは困難ですが、ある程度の予想はつきます。そうした不確実性も考慮しておくことができるにこしたことはありません。作った瞬間から進化、発展しないシステムは世の中に溢れているため、作った後も育てていく意識と予算確保を忘れないようにしましょう。
筋肉質なシステム投資を
よほど大規模なメーカーや商社でない限り、十分な予算規模を確保するのは難しいと思います。必然的にシステムはシンプルに、コストパフォーマンスの良いものであるべきだと思います。
最初の段階では余計な機能を作り込むことはせず、必要に応じて拡張していけるシステム、いわば進化していくシステムこそが最適と考えます。商品のトレンドもそうですが、常に変化していくことが求められる業界だけに、変化に強い筋肉質なシステム構築を是非検討してみてください。