否応無しのグローバル化
かつて日本がそうであったように、縫製という産業は経済が成長する過程の比較的初期の段階で発展を遂げる産業です。そのため、発展途上国を中心に常に縫製産業が勃興し、それが日本の国内縫製産業を脅かすという構造がずっと続いています。中国なら誰でもそのパワーを知っていると思いますし、東南アジアの諸国もめきめきと存在感を増しています。安かろう悪かろうだった時代は過ぎ去り、海外の縫製工場のレベルも高まり続けています。さらに中国よりも南の国々に移行する流れもあり、このグローバル化とそのレベル向上の流れは止まることはないと思われます。
こういった世界情勢を背景に、日本国内の縫製工場は否応無しのグローバル競争にさらされています。単純な安さだけでは太刀打ちできないことが多いため、各社、いかに特色を出していくかで苦心していることと思います。海外ばかりに目を向けていると今度は国内での競争に負けてしまうという、非常にレベルの高い業界と言えるでしょう。
今回は、アパレル製品のOEM、縫製工場のホームページ制作がどうあるべきかについて考えてみたいと思います。ミシンは使えてもパソコンは苦手と言っていられません。どういうポイントに気をつけて制作、構築するべきか整理してみましょう。
Point.1 特徴は強く、強くアピール
日本人の性格か、縫製工場の社長さんにはそういう方が多いのか、ホームページを作ったもののメッセージが弱い場合があります。「何ができるか」は書いてあっても「何が優れているのか」については当たり障りのないことしか書いておらず、他の業者と比較したときに埋没してしまい、結局問い合わせに至らないというケースが多いように感じます。
これはただただ機会損失ですので、もったいないと言わざるを得ません。既存の取引だけで満足しているのであればそれでいいのですが、新しい顧客の問い合わせを求めるのであれば改善していくべきです。今までと同じ顧客、同じやり方でジリ貧なのであれば、新しいことにチャレンジすべきです。
「自社が何が得意か」「自社は他と比べて何が優れているのか」、こういったことをしっかりと洗い出し、強い言葉に翻訳していくことが重要です。取引先や同業者への遠慮をする必要はありません。多少、茶化されることはあっても、嘘でなければ何も問題ありませんし、遠慮していても売上はあがりません。
「現時点でそんな強みはない」という方も、落ち着いて考えてみてください。必ずあるはずです。当事者には見えなくても、第三者から見たら十分な強みであることはよくある話です。玄人基準ではなく素人基準で考えたときに、自社の強みは何でどういう言葉で伝えるべきか、しっかりと考えましょう。
Point.2 見せることをためらわない
ホームページはあるものの、文字と素材集の画像だけで、リアリティのないホームページがよくあります。これは顔が見えないばかりか、本気度、本格感が弱いため、数多ある競合の中で光り輝くことはできません。
本気でホームページ集客がしたいのであれば、社長自身、スタッフ、工場内部含め、どんどんと見せていきましょう。ぴっかぴっかの工場でなくても構いません。多少散らかっていても構いません。どんな人がどんな場所でどんな想いでがんばっているかが伝わることが重要です。人に見られることを意識すると、長らくほったらかしにしていた製造工程の見直しプロジェクトも動き出すかもしれません。むしろ、どんどんとそういった内部改革を進めていき、より強い経営体制を築く好循環が起こるのが理想的です。
何も最新の設備がないとだめなわけではありません。小回りのきく技術力であったり、サンプル制作のスピードだったり、色々な軸でアピールができると思います。自社の強みに自信がなければ、今お付き合いのある顧客に聞いてみるのも良いでしょう。その答えの中に、自社がアピールしていくための素材が眠っていることも多くあります。
Point.3 写真にお金を惜しまない
縫製工場であれば、製作事例として服や鞄といった写真を掲載しているかもしれません。どう見ても素人が撮ったんだなという写真は100歩譲っても効果はありません。最近はスマートフォンのカメラの性能も非常に高いものがあるため、機材の問題ではなく、気持ちの問題であることが多いと思います。
せっかくの自社の作品をきちんと撮影しないというのはもったいなさ過ぎます。毎回プロのカメラマンに頼むのは無理としても、照明やトルソー、背景に気を遣うだけで写真のクオリティはぐっと上がります。「そういうのは実物を見に来て欲しい」と思われるかもしれませんが、そもそも興味を持ってもらえなければ見にも来てもらえません。見に来てもらうためにもホームページ上の写真でぐっと惹きつける必要があります。一度撮影してしまえばずっと色々な販促物に使えますので、写真に時間とお金を投資することを惜しまないでください。
また、こだわりの部分や技術力の証明になるような部分は、必ずしっかりと紹介するようにしましょう。カメラマンに丸投げだと、服としてきれいには撮れているけども、縫製工場のアピール材料としては弱い、という状態になりかねません。きちんとした撮影前ディレクションを行い、アピールポイントが写真上に表現されるようにしてください。場合によっては動画で立体的に見せることも良いかもしれません。
忙しいからこそのホームページ集客
縫製工場の毎日はひたすら時間に追われる忙しいものと思います。営業マンがいないことが普通だと思いますし、社長が問い合わせ対応を担当していることも珍しくないと思います。だからこそ、24時間淡々と仕事をしてくれるホームページ集客の重要性が高まってきます。
一度良い物をつくれば、かなりの期間、同業者に対して優位を保つことができます。業界全体としてインターネット集客に力を入れていないところが多いからこそチャンスに溢れた業界であるとも言えます。この状況を活かすも殺すもあなた次第。是非ホームページ集客への投資を検討してみてください。