激戦区
カフェやレストランという業態は言うまでもなく食ビジネスであり、景気の影響を受けにくく、安定したビジネスと表現されることがあります。ですがその実は競争が激しく、収益性がすぐに悪化しやすい難しいビジネスでもあります。実際に開業もとても多い業態ですが、廃業がとても多い業態でもあり、簡単には成功できません。
夢という文脈や多角化という文脈でカフェやレストランをオープンしたものの、思うように収益があがらずに苦しんでいる方も多いと思います。食材にかかるコストを抑えるか人件費を抑えるかの二択を迫られたときに食材に手をつけてしまうのは負のスパイラルへの一歩でしかありません。食のクオリティが下がってしまうと遅かれ早かれ、お客様の支持を失うことになりかねません。
そこで今回は、カフェやレストランが競争力を高めるためにシステムを使って何をすべきか、どういったシステムを構築すべきかについていくつかのポイントで考えてみましょう。
Point.1 スタッフ、シフト管理をクラウド化
ある程度のスタッフ、とりわけアルバイトスタッフを抱えていると、毎日のシフト管理に非常に時間をとられます。店長の業務の大半がこのスタッフにまつわるところじゃないかと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。この部分にまずシステムで切り込むべきです。
具体的には、スタッフに希望シフトを申請してもらったり、シフト表の作成を行う機能をシステム化して、人が介在せずに希望の受け付けからシフトの割当までを行えるようにしましょう。もちろん、欠員や過剰がでることが多いと思うので、調整リクエストや、手動での修正が簡単に行えるようにするとさらに管理の手間が減ります。
また、突発的なシフト変更希望もシステム上で受け付けるようにし、管理者への即時通知や、その空き枠に入ってもらえる人がいないかを尋ねる一斉送信機能を実装するようにすれば、シフトの穴を埋めるためにあちらこちらに電話をかけまくるという店長の負担を軽減することが可能です。リクエストに対して受諾すれば、そのままシフト管理に反映され、人事労務管理まで一貫して調整されるようにすれば、その後の事務処理の効率も高まるでしょう。メッセージをやりとりする機能も統合できれば、すべてのコミュニケーションがシステム上で完結するのでより効率的になるでしょう。
Point.2 予約台帳をシステム化
「かかってきた電話に応対し、紙の予約台帳を見てやりとりする」これが一般的な飲食店の予約対応と思います。これは誰でも導入がしやすく、また、アナログならではのスピード感がある方法ではあります。ただ、この対応だと将来的な分析がしにくいことと、食べログやOpenTableといった外部の予約仲介サービスとの連携が難しいという問題があります。手入力で両方の予約を反映させるように作業するというのは現実的ではありません。
そこまで凝ったものではなくても、予約台帳をシステムで管理するようにすることで、こういった諸問題を一気に解決することができます。最初はタブレット、またはパソコンでの操作に慣れが必要ですが、一度慣れてしまうと自店の席配置なども加味した上で予約を管理できるので、席効率の向上や予約状況の分析が容易になります。
データ化さえできれば、それを活かして何をするかは色々な可能性が膨らみます。予約状況が一定数を下回ったらアラートを通知するでも良いでしょうし、逆に、一定の率を上回った場合には自動で予約受け付けを停止して、常連さん用に席を確保しておく、といったこともできるでしょう。
Point.3 電話応対をアウトソース
これは予約台帳をシステム化した上での発展的な提案ですが、電話応対をアウトソースしてしまうという方法も検討する価値があります。忙しい時に限って電話が鳴る、というのはよくある話で、その電話応対に人がとられると現場が混乱し、かといって電話をほったらかしにしておくと未来の売上が消えていくというジレンマがあります。
こういった事態を解消するために、共通のシステムで連携する電話応対部隊をつくるというのがお勧めです。電話代行会社の中にはこうした対応をしてくれる会社もあるので、未来の予約受付に関しては全てそちらに委ねたり、営業時間等の簡単な対応なども委ねたりできるようになるだけで電話応対にとられる時間は大きく削減されます。
もちろん、今この瞬間の店舗でしか回答できないような内容は電話の転送もできるので、電話をかけてくる人に無用なストレスを与えることもありません。電話の本数を絞ることで現場のスタッフの負担は確実に下がるため、システム化により外部スタッフとの連携が可能になった場合にはおすすめします。現場スタッフの電話応対の負担度合いや、得意不得意も含めて検討してみてください。
気合いと根性はコスト高
カフェやレストランといった飲食店は、なかなかシステムに詳しい担当者もおらず、また、投資して効率をあげるというよりも、気合いと根性で何とかするという風潮が強いように感じます。趣味でやっている1店舗だけであればそれで良いのかもしれませんが、多店舗展開をされるのであれば投資も十分に回収できると思うのでシステムに働かせる、という視点を持つことは重要ではないでしょうか。
今日来るお客様も、未来のお客様も、そして働く従業員も皆がハッピーになるような店作りのために、システムが担えることは多いと思います。お店のコンセプトや方針にあわせて取捨選択をした上で、システムの活用を是非検討してみてください。