力業ではすぐに限界の来るネットショップ運営
インターネットでお店を持つことは当たり前になり、さらに有力店では楽天市場やYahoo!ショッピングなど、複数のモールに同時出店することも一般的になってきました。こうした状況で受注や商品、在庫を管理しようと思うと、人力ではすぐに限界がきてしまいます。
商品を登録する作業一つとっても、お店の数が増えればその数だけ倍々に業務量は増えていきます。こうした背景もあって、TEMPOSTARやZAIKO Robot、ネクストエンジンのような、ネットショップ管理に特化したサービスが支持を集めています。一定規模以上の売上のお店に限定すれば、こうした業務管理システムなしに運営しているところの方が珍しいでしょう。
経営者を悩ませる月額費用
しかし、こうしたサービスの利用料は月額で軽く万単位になるため、本当にこれを導入して良いのか不安に思っている経営者の方も多いと思います。また、どうしても柔軟性に欠ける部分もあるので、自社の業務フローにうまく組み込むことができるか悩まれている方もいるかもしれません。今回はこうした悩みをどういう順番で解きほぐし、自社に最適な選択を行うべきかについて考えてみましょう。
社内に開発リソースはあるか
月額レンタル型のネットショップ管理システムの導入で比較対象になるのは、独自構築のシステムだと思います。独自構築といっても、AccessやExcelを駆使した簡易的なものから、本格的なWEBベースのシステムまで様々ですが、こうしたものは、社内もしくは外部に、継続的な開発リソースが存在する必要があります。
現時点で社内にシステムが組める人がいたとしても、その人がずっと会社にいるとも限りません。担当者が辞めた後に誰もそれを修正することができない事態は、まさに経営危機と呼べるほどのものになります。これは社内に限らず、外注でも同じです。外注先がずっとメンテナンスしてくれ続けるかどうか、また、その費用は納得のいくものなのかはじっくり検討しましょう。
ネットモールの仕様は数年に1回大きく変わります。また、軽微な変更であれば、年に数回ある場合もあります。こうしたことに継続的に対応していける体制を、安定かつリーズナブルに構築できる自信がない場合は、自社開発はあまりお勧めしません。月額費用を払うことで、こうしたリスクを低減していると考えるようにしましょう。
モールへの出店は横断的か
他にも、ネットモールへの出店が複数にわたる場合は、どうしても月額レンタル型のサービスを利用することのコストパフォーマンスが良くなってきます。モールの数が増えれば増えるほど、対応するための開発工数があがるため、自社独自にシステムを構築する場合、割高になります。
楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonマーケットプレイスと、多店舗展開の際に候補になるモールだけでもいくつもあります。さらに楽天市場内で複数ショップを開店したりと、事業の展開次第では複雑性はより増していくでしょう。こうした店舗管理を行いやすいのは月額レンタル型のモール管理サービスでしょう。新しいショッピングモールにも対応されていくことが期待できます。マルチチャンネルの強い味方と言えます。
究極的には自社システムが最強
ここまで月額レンタル型のサービスを推奨する内容になってしまいましたが、理想論を言えば自社システムに勝るものはありません。月額レンタル型のサービスはどうしても柔軟性に欠けるので、複数の店舗を効率よく管理できる、という域を出ません。
自社システムの場合はさらに一歩踏み込んで業務フローを自動化できるので、言ってしまえば仕入れ元から最新の在庫を自動でとってきて、そのまま自動で各店舗のデータとして更新する、ということができてしまいます。商品登録についても、自分たちが使うものだけに限定できるので、余計な情報を設定したりする必要もありません。業務のすべてをシンプルに保ち、結果としてストレスやミス、手間を大きく減らすことができます。月額レンタル型のサービスであれば、ここまでスムーズに自動化することは難しくなります。
そしてこうした独自の仕組みは、そのまま業務効率に直結しますので、人件費を抑えたり、出荷スピードを早めたりすることにつながります。それが究極的には競合に対する優位になってきます。
自社のやり方にフィットする、いいとこ取りを
月額レンタル型か自社システムか、これは必ずしも二択ではありません。月額レンタル型をベースにしながら、必要な機能だけ自社独自で構築するというのも、現実的な解決法です。このあたりはまさに自社のやり方をくまなく把握した上で、各方法のいいとこ取りをするのがいいのではないでしょうか。