音を極める趣味

今でこそ一時の勢いはなくなった感はありますが、ピュアオーディオなどと言って、より良い音を求める市場というのは確かに存在しています。電気街にいけば当たり前のように音響機器の専門店がありますし、大きな家電量販店にいけば、専用のコーナーが設置されています。

小型オーディオプレイヤーの登場により、さらにはスマートフォンの高機能化により、音楽との接し方は大きく変わりましたが、それでもなお、愛好家によるマーケットは大きいものがあります。昨今のホームシアター人気も背景に、スピーカーやアンプ、さらにはデジタル機器との垣根があまり無いものまで、様々な展開を見せています。一方で客層の高齢化は進んでおり、ホームシアター需要も含めて若年層へのアピールに苦心しているところも多いのではないでしょうか。

今回のテーマは、こうしたハイエンドを中心としたオーディオ/音響機器ショップのホームページ制作についてです。どういったページにすれば良いのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 商品説明は深さを追求

インターネットで何でも買えるようになった今、品揃えだけでいくと他のお店に負けてしまうことが多いと思います。こうした中でもある程度の品揃えは必要とは思いますが、そこに勝負の土俵を求めるのはあまり良い方向性ではありません。

商品の品揃えよりも、何か一つでもいいので、思い入れや独自性のある商品に着目して、商品説明を充実させてください。家電量販店との違いは、一つ一つの商品に関する商品知識の深さだと思います。それをホームページ上でもしっかりと表現できるように掲載していってください。

また、主観による情報発信が有効なのも専門店の強みです。聴き比べと題して複数の機種のレビューを書いてみたり、また、その聞き比べ自体をイベントにしてみるなど、小回りのきく情報発信を充実させましょう。動画を撮影して、しっかりとした説明を行うのも良いでしょう。Youtubeチャンネルからの集客が増えていけば、自ずと来店客増にもつながります。余裕があれば、一つ一つの商品レビューを、文字と動画の両方で発信していくことが理想的です。

Point.2 イベントやお知らせはこまめに更新

オーディオ専門店は、なかなか待っていてもお客さんがわんさかやってくるという状況は作りにくいと思います。いかに鮮度の高い情報を発信して、足を運んでもらうかが決め手になるのではないでしょうか。

イベントの告知など、情報発信のツールは徹底的に充実させましょう。ブログに掲載するのはもちろん、メールマガジンを配信したり、X(旧Twitter)やFacebookに投稿したりといったことも有効です。複数のツールを管理するのが難しそうであれば、一カ所に投稿したものを複数のツールに同じように投稿してくれるサービスもありますので、そういったものの利用も検討してみてください。

メーカー主催のフェアはもちろん、小さいものであっても、試聴会や体験イベントもどんどんと開催していってください。告知手段は多いほうが効果的なため、ソーシャルメディアやメールマガジン、ブログ等、総動員して集客するようにしましょう。切り口も商品軸だけでは飽きられるため、ホームシアターのような用途軸や、新築、リフォームといったようなイベント軸など、どういったものがヒットしやすいかトライ&エラーを繰り返しながら模索してみてください。

Point.3 大きな輪を形成

オーディオ専門店ともなると、そこに集う人もまたかなりのマニアな人が多いと思います。こういった人たちはそれぞれ情報発信の場を持っていることも多いので、そういった人たちのサイトにリンクするだけにとどまらず、一緒に何かをする、という視点で企画を実行していきましょう。

たとえばお店でのイベントのレポートを第三者視点で書いてもらうことは比較的簡単にできるでしょう。また、常連さんでなくても、インターネット上で有名なオーディオマニアをイベントに招待することも検討してみてください。お互いの関係性も店が上だとか客が上だとかも関係ありません。詳しい人が詳しいことを話し情報交換するのが本来の趣旨になるよう配慮してみてください。特定のメーカー愛用者のミートアップなどの場を提供するのも良いでしょう。会場を提供することで、イベントの参加者に対して認知度向上や親近感アップの効果を期待することができます。

また、常連さんたちのリクエストを聞きながらイベントを企画するというのも一つです。店と客という関係を超えて、オーディオを楽しむ、という同じ目的のため、場作りとつながり作りに集中してみてください。

引きこもらずに外へ

趣味の世界のお店となると、油断するとついつい引きこもりがちです。わかる人だけがきてくれればいいというのは理想論ですが、そういったわかる人とつながるためにも、門戸は開放し、積極的に発信しなければいけません。

インターネットが無かった時代に比べ、今は声を大にしないとお客様に見つけてもらうことはできません。インターネットはあくまで手段ですが、それを有効活用することで、新しい次元にお店を進化させてみてください。

開発スタッフのコメント
オーディオショップの訴求点はどうしても高級感一辺倒になりがちですが、イメージだけで支持されるほど世の中は甘くないようです。品揃えとこだわり、購入後のアフターフォローへの期待など、専門店ならではの強さがきっちりと伝えられることが最低条件です。その上でユーザーコミュニティを巻き込み、ファンを拡大していくような取り組みをどんどんと企画し、発信、ファン化していく好循環を作り出してみてください。