自転車が見直される時代

環境負荷という守りの側面と、サイクリングという楽しさの側面。自転車が今、とても見直されています。都心部を中心に自転車で十分じゃないかと考える人は増え、自動車離れと同じようなペースで自転車回帰が起こっているようにすら感じます。自転車専用道や、自転車専用ゾーン設置の話題も珍しくなくなってきました。自治体レベルででも、自転車を軸にした観光強化や町おこしのような動きも増えてきています。

ひたすら楽を追求する電動アシスト付自転車から、スピードを追求するロードレーサータイプの自転車まで、多種多様な自転車が流通するようになりました。メンテナンスや関連商材まで含めると、その市場規模はかなりのサイズであることが容易にわかります。国内外問わずどんどんと新しい自転車が発売されており、世界レベルで自転車業界は活況にあるといえるかもしれません。

今回のテーマは、こうした自転車販売店のホームページ制作とその管理システムについてです。どういったホームページにすべきなのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 商品情報の積極掲載

自転車を探す場合、何でも良いから通学用自転車が欲しい、という場合と、どこそこのブランドの自転車が欲しい、という2パターンにわけられると思います。前者の人達は直接下調べなしにお店にくるので何の準備もいりませんが、後者の人達は事前の下調べ含め、インターネット上でのアピールが重要になってきます。

商品情報は可能な限りホームページ上に掲載し、こうしたブランドや型番で探している人達の目にとまるようにしましょう。可能であれば全商品掲載が理想ですが、それが難しい場合は単価の高いブランド自転車だけでも優先的に登録してください。それも難しいようであれば、ブログやX(旧Twitter)で特定ブランドの自転車の入荷情報を積極的に発信することで最低限の情報露出を担保するようにしましょう。

毎シーズン、たくさんの自転車が入れ替わるだけに、そうした商品情報のメンテナンスも後手にまわりがちです。ただ、集客場の重要な起点の一つですので、優先度をあげて取り組んでみてください。あわせて、取り扱いブランドの入れ替えも検討の価値があります。厳しい縛りがない限り、世の中のトレンドにあわせて取り扱いブランドを増やせるチャンスがあるのであれば、増やすことでチャンスが広がります。

Point.2 土台はWordpressで

情報発信が中心のホームページであれば、土台としてはWordpressがベストでしょう。もし仮にネットショップ機能もつけたい、という話であれば少し違う方法や、違う方法との組み合わせも検討する必要はありますが、ネットショップはネットショップで全国にライバルが存在する市場に参入することになりますので慎重に検討してください。

商品情報用のテンプレートや、お店紹介用のテンプレート、ブログ用のテンプレートとデザインを使い分けることで、効率的かつ簡単にホームページ全体を管理することができます。あまりパソコンに詳しくないスタッフでも情報を更新したり誤字脱字を修正したりできるのがWordpressのメリットだと言えます。

最初からECサイト前提でいくのであれば、カラーミーショップやShopifyといった選択肢も検討してみてください。その場合は、ショップをベースに、そこにコンテンツを集積していくという考え方のほうがシンプルに運用できる場合があります。ネットショップ運営もいずれ視野に入ることが多いので、最初からその前提で準備をしておくのも良いでしょう。

Point.3 整備日誌など、ブログ発信が肝

サイクルショップの業務は多岐に渡ると思いますが、自分達では何のことでもない普通を思える業務内容が素人目にはすごいと思うことがよくあります。たとえばパンク修理や自転車のくみ上げ、カスタマイズなど、実はいくらでも情報発信するネタは身の回りに転がっています。自転車も一つとして同じものがないぐらいにバリエーションに富んでいると思いますので、それぞれの事例の積み上げは長期的に重要です。

こういったことに加えて在庫の入荷や納品の様子など、可能な限り写真におさめ、熱意ある文章と共にブログに掲載してみてください。修理事例を掲載することで専門性のアピールになりますし、どういったところに注意しているかとあわせて記載することで仕事の質の高さをアピールすることにもつながります。仕事上のこだわりや、整備上のアイデアなども公開できる範囲で掲載すると、思わぬところからの集客につながるかもしれません。

毎日こうした情報を投稿することで活気のある様子を演出できますし、大切な自転車の購入からメンテナンスまで安心して任せることができそうと思ってもらうことができるのではないでしょうか。

近所にある、だけでは駄目な時代

街の自転車屋さんにとって最大の強みは「近所にある」ということでした。通信販売がここまで普及した今、この地理的要素に安住していては未来がありません。近所の店にいくよりも、家のパソコンから注文するほうがはるかに楽な場合もあります。

「近所にあること」に加えて、信頼できて技術も高いことが重要です。とはいえ、難しいことはありません。今の姿を積極的に発信していくだけでたいていの場合は事足りるかと思います。地理的強みと積極的な情報発信。この2つがこれからの時代を生き抜いていくキーワードのように感じます。

開発スタッフのコメント
自転車を売って終わり、という業態では、安さだけをひたすら追求した自転車ショップに太刀打ちできません。そうしたビジネスモデルに振り切るのも一つですが、目の前の顧客に販売した後も、メンテナンスや修理、さらにはカスタムまで付き添っていくのも一つのかたちです。いずれにしてもお店で待っているだけでは見込み客の増加にはつながりませんので、インターネット上での発信には積極的に取り組んでみてください。