男の戦闘服、スーツ
職場でのビジネスカジュアルや、クールビズ、ウォームビズが普及につれて、絶対にビジネススーツを着なければいけないという風潮は薄れてきました。職種上や立場上スーツが必須な人もいるとは思いますが、世の中全体のトレンドとしてはスーツ減少の傾向を強めているように感じます。
この状況下でスリープライススーツに代表されるコストパフォーマンスの良さを追求する業態とパターンオーダーやフルオーダーなどに代表される逸品もの路線に二極化しはじめている気がします。前者は既にある程度の勢力図が確定したように思いますが、後者はまだまだ大小入り乱れて覇権を争っているような状態でしょうか。ニッチな業態がでては、少しずつマーケット全体が変化していきそうな様相を呈しています。
今回のテーマは、こうしたパターンオーダーやフルオーダースーツを手がけるお店のホームページ制作及び顧客管理システムの構築についてです。効率的でミスのないオペレーションを実現するためにどうすべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 オーダー例を積極的に掲載
パターンオーダーであればある程度の金額の目安はつきますが、フルオーダーとなると検討もつきません。こうしたお客様の不安を払拭するのがオーダー例です。写真入りで仕上がったスーツを掲載し、どうしてそういったスーツ製作に至ったかの背景とともに工夫したポイントを掲載しましょう。
スーツに関する悩みは十人十色ではありますが、そこまでバリエーションがあるわけではありません。オーダー例を10、20と掲載していく中で、「自分と一緒だ」と思えるオーダー例を見つけるお客様が増え、オーダースーツの良さを体感してくれる可能性が高まります。種類が多くなりがちな生地の、活きたサンプルとしても使えます。
完成したものの写真を掲載するのはもちろんですが、どういったところが既製品と違うのかがわかりやすい図解があるべきです。こだわりや違いをうまく伝えることができれば、技術力の高さをアピールすることにもつながりますし、フルオーダーの良さを伝えることにもつながります。
Point.2 製作工程をマイページで確認可能に
オーダースーツというのは、買ってすぐに持って帰れるものではありません。採寸にはじまり、仮仕立て、そして最後の仕上げと多少の調整などを経て完成します。こうしたプロセス管理をお客様がマイページから確認できるように、顧客管理機能をお客様に開放しましょう。オーダースーツのプロセスの中での現在位置がわかれば楽しみは膨らみますし、スケジュールに対する不満や不安も軽減することができます。
文字情報だけでは味気ないので、できれば途中経過の写真もあるとさらにリアリティが増すでしょう。縫製前の生地の状態でも、少しずつできあがっていく様子を眺めるのは楽しいものです。ステップごとに自動的に通知を受け取れるようにするのも便利でしょう。
Point.3 サポート通知も定期的に
オーダースーツはできあえのスーツに比べるとどうしても高くなってしまいます。ただ、お客様はそれに見合う価値を認めているからこそ成り立つわけで、お店側としてはその期待に応える必要があります。
オーダースーツは納品して終わりではありません。納品してからのアフターサポートも通常のスーツ販売と差異化すべきところではないでしょうか。
具体的には、まずスーツを作ったお客様を顧客管理システムを使って定期的に抽出しましょう。メンテナンスのコツを配信したり、修理や修繕の必要がないかを尋ねるようにしましょう。そこからコミュニケーションが生まれたなら大きな前進ですし、実際の修理や修繕で満足して長くスーツを愛用してもらえれば次のオーダーにつながっていきます。また、困ったときにすぐに連絡できるような動線を用意しておけば、修理フォローもスムーズに行えるでしょう。
目の前の仕事に追われているとなかなか納品後のお客様のフォローまで頭が回らないかもしれませんが、その抽出やアラートはシステムで自動化することで運用の手間も低減することができます。こうしたアフターフォローの知識も、嗜みの一つとして楽しんでもらえる可能性があります。自分の体型にあったスーツ、という物質的な価値だけではなく、オーダースーツという体験自体を楽しんでもらえるように工夫してみてください。
オーダーの肝はコミュニケーション
オーダースーツで一番大切なことはコミュニケーションだと思います。品質はもちろん重要です。素材や縫製の技術、イメージ通りに仕立てる技術は当然のこととして求められます。その上でお客様とスーツを作るプロセスの中でコミュニケーションをとり、その後生涯にわたってコミュニケーションをとっていけるかどうかが顧客基盤の安定度を左右します。
スーツを入り口にはしますが、最終的にはファッションアドバイザーとして生涯のパートナーになるべきです。そのために必要な基盤を、ホームページやシステムを活用して構築してください。