場と交流を提供するサービス
会員制サロンの付加価値は、その場に属することによる精神的満足とビジネス交流などの実利的な側面の両方があると思います。こうしたサロンの運営は難しく、大規模なサロンとなるとその数は日本でも数えるほどになると思います。
こういったサロンで求められるサービスレベルは高く、スタッフの人材研修や設備面の充実などが重要なことは言うまでもありません。いわばチェックインからチェックアウトまでの体験を徹底的にデザインする必要があります。こうしたメンバー管理を外部サービスにゆだねているところも多いとは思いますが、自前でのシステムでこそできる領域があるのも事実です。
今回のテーマは、こうした会員制サロンの顧客管理及びチェックイン/チェックアウト管理システムについてです。どのような機能を実装すれば、会員もスタッフも使い勝手の良いものができるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 会員カードでツケ払い対応
会員制サロンには様々なサービスが存在すると思います。飲食やコピー、電話対応など、各サロンによって方針はそれぞれだと思います。全てが無償のところであれば管理の必要もありませんが、有償のオプションがある場合は話は違ってきます。実費精算といえども、都度払いというのは利用者の心理的負担も高まりますし,対応するスタッフの手間や釣り銭準備など、細かい手間が発生してしまいます。
こうした細かい支払いを会員カードによるツケ払いにすることで、会員もスタッフも楽な方法を実現します。たまった金額は毎月の利用料引き落としの際にまとめて精算するようにし、利用の度の精算を不要にしましょう。都度払いと共存させる場合は現場に電子マネーやクレジットカードに対応した決済端末を置くなどの対応が必要になります。都度払いをなくしてしまうのも一つですし、そのあたりはサービス運営上の方針で決定すると良いでしょう。
Point.2 チェックイン時の一言をシステムがサポート
会員制サロンの場合、何かしらのかたちでチェックインを行うと思います。会員カードをスキャンする方法が一般的になってきています。システムはもちろんそういった会員カードのスキャンによるチェックインに対応しますが、これに加えて画面に様々な情報表示を行いましょう。
チェックイン動作をする際に親機にあたるパソコンに、該当会員の基本情報はもちろん、最後のチェックインや最近の利用履歴などを瞬時に表示するようにします。こうすることで、「お久しぶりですね」だとか「2ヶ月間どこか行かれていたのですか?」といった一言をサポートすることができます。そういったコミュニケーションを嫌がる顧客もいるため、コミュニケーションへの反応を登録できるようにするのも良いでしょう。コミュニケーションを望む会員にはより多くの声がけを行い、そうでない会員にはコミュニケーション量を調節していくことが可能になります。好みの情報に連動して、ちょうど開催している催事やキャンペーン、新商品の紹介をするのも良いかもしれません。
こうした接客トークはついついスタッフの力量に委ねられがちですが、不正確な対応は会員の満足度を下げるばかりです。スタッフが心地よい対応をできるように、システムが正確な情報提供でアシストするようにしましょう。
Point.3 顧客同士の情報を基にマッチングを提案
会員制サロンの付加価値の一つにビジネス交流があると思います。そのために会費を払っているという人も多いのではないでしょうか。活動的な人であればがつがつと積極的に交流を広げていきますが、あまりそういったことが得意でない人も存在します。こうした人達をうまくサポートするのが運営側の責任になってきますが、ここもシステムを活用することでスタッフの活躍をサポートしましょう。
会員登録時に基本情報として業種や得意なこと、期待する出会いなどをヒアリングし登録しておきます。さらにその後のやり取りの中でスタッフが見聞きした情報は随時システムに登録していくようにします。こうすることで会員毎の興味や強みが蓄積されていきます。最初の情報だけだとどうしても正確性が次第にあやしくなってきてしまうため、こうした追加前提の設計のほうがおすすめです。
あとは相思相愛の会員同士をシステムが自動的に提案してくれるようなマッチング機能を実装します。相思相愛でない場合も、マッチングの可能性を定量化して表示することで、媒介となるスタッフが動き回りやすくなる効果を狙います。あくまで自然なコーディネートに近づくよう、情報でサポートしてみてください。
会費以上の価値を継続的に提供できるように
会費ビジネスは会員数とその継続率が売上を左右します。新規会員獲得のコストは決して安くないだけに、いかに継続して利用し続けてもらうことができるかが肝になってきます。そのためにスタッフからシステムまで総動員して満足度を高めるべきです。
こういったサービスの管理システムはついつい守りの思想で構築されがちですが、攻めの姿勢で構築すべきです。会員満足度を高めるためにもっとシステムを活用するアイデアは出てくるはずです。長期的な財産になるシステム開発を目指してみてください。