コストリーダーシップの追求

インターネットの登場により、消費者が販売価格を比較することが簡単になりました。価格情報を専門的に掲載するサイトの登場もあり、一番安いところで買う、という消費者の数も急激に増えています。今にはじまった話ではありませんが、価格が安いというのは最もわかりやすく有効な戦略の一つであり、その戦略が効果を発揮してしまうほど、安いは正義であるとも言えます。

価格コムに代表される価格情報サイトは強く支持されており、そこに掲載している店舗間の競争も激化しています。赤字覚悟の価格で最安値を刻みあう様子はまさに競争主義の最たる例のように思えます。長く競争し続けている老舗もあれば、入れ替わり立ち代わりで新しい参入店舗がしのぎを削っている様を見ることができます。

今回のテーマはこうした価格比較サイトに情報を掲載している店舗の、価格管理システムについてです。競合よりも1円でも安く掲載し続けるためのシステムをどのように構築すべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 最新情報を取得し、最安値で自動入札

自店舗で価格情報を掲載している商品を全て人力でチェックするのは骨の折れる作業です。商品数が100を超えてくるともはやチェックだけでスタッフが何人も必要になってしまいます。それを1日に何度も繰り返すのであればなおさらです。

価格情報の掲載のある商品を登録しておくと、システムが自動で該当の商品の最安値をチェックするようにします。最安値を目指す設定の時は最安値を、2番手価格や3番手価格を狙うときはその価格がわかるようにデータを取得しにいきます。データの推移や変化がわかりやすいように関係者への通知機能もあると良いでしょう。

取得したデータを基に、自店舗の掲載価格更新も自動で行いましょう。ここをスタッフが手動でやっていては、発送業務など他の業務に時間をとられている間に競合に負けてしまうという事態になり、せっかくの価格チェックの意味がありません。

一定の設定範囲内で、最安値よりも常に安い価格で入札するようにCSVファイル等を作成し、価格比較サイトのルールにのっとった形式で価格データを送信します。このように価格チェックから価格更新までの一連の流れをシステムに任せることで、定期実行の度に最安値を守ることができるようになります。実行頻度は1時間おきや15分おきなど、任意の間隔で設定することが可能です。

自店の限界価格を超えた最安値が他店により設定されている場合は、値付け担当者にアラートメールが通知されるようにします。赤字覚悟でも攻めるべきかの最終判断は人の手にゆだねることで、精度と負荷の丁度良いバランスを実現することができます。自動ルール化でいいのであれば、ベンチマークとなる店舗より一円安く、十円安くといった設定も可能です。完全に自動化してしまうと歯止めがきかなくなるのでどこかでセーフティ的な制限は必要ですが、価格勝負をする上では自動化の程度を高めることは重要でしょう。

Point.2 在庫数や在庫期間に応じた売り切りモードも搭載

価格比較サイトに掲載している商品がシーズンものの場合、どこかのタイミングで売り切る必要がでてきます。最安値をとっていてもなかなか売れない場合には、売り切りモードを発動させることで在庫処分のスピードを加速させることができるようにしましょう。在庫が積み重なっていくと、次の売れ筋のための資金捻出に苦労してしまいます。早め早めにアクションを起こすこと重要なのは言うまでもありません。

どの商品を在庫処分対象にするかを管理するのは手間がかかる作業ですので、過去の売れ行き情報や在庫ごとの在庫期間や数量を集計することで「売れるペースをあげるべき商品」を簡単に抽出できるようにします。システム上に専用の画面を設け、画面上で確認できるようにするのに加えて、CSV等のファイルでダウンロードしエクセルで開けるようにしましょう。

これは早めに売り切った方が良いと思われる商品は売り切りモードに設定することで、最安値であっても少しずつ販売価格を自動的に下げていくことができるようにします。とはいえ、ずっと下げ続けていては利益が減るばかりですので、ある程度売れるようになってきた段階で下げるペースを落としたり、再び一定期間売れなくなるまで値下げを停止したりといった柔軟性をシステムに持たせておきましょう。

販管費削減をさらなる値下げの原資に

コストリーダーシップ戦略をとる場合、いかにしてコストを抑えるかが会社の競争力に直結します。仕入原価はもちろん、販売管理費を抑える努力を継続していくことが重要です。

システムの導入は一時的にコストがかかりますが、長期的には人件費を削減する効果が見込め、販売管理費の削減、さらには値下げ原資の確保につながります。最安路線でいくからこそ、システムというスタッフを最大限に活用してみてください。

開発スタッフのコメント
インターネットで検索すれば簡単に値段を比較できてしまう時代になりました。価格がすべてではないにしろ、強い影響力を持っているのは間違いありません。人件費を極限までおさえることが安売りへの近道のため、人である必要がない作業は徹底的にシステム化することをおすすめします。競合との勝負は業務効率で決まるといっても過言ではありません。洗練されていてかつ効果的なシステムを模索してみてください。