つながりという提供サービス
今も昔も、ファンクラブというのは芸能人やアーティストにとって重要なものです。ビジネス的な観点で言えば重要顧客の囲い込みでありマーケティング対象ですし、ファン形成という意味では重要なインフルーエンサーの人達です。直接的な会費という収益をあげる事業でもあり、アーティストや事務所にとって、なくてはならない存在と言えます。
インターネットの普及により、ファンクラブの形態は少しずつ変化してきています。ファンクラブサイトは当たり前になってきましたし、会員IDとパスワードでログインし、ファンクラブメンバーだけが特定のコンテンツや機能を利用できるという形態も一般的になってきました。ファンクラブを運営するためのプラットフォームサービスも存在しており、そうしたサービスの活用を検討されているかもしれません。
今回のテーマはこうしたファンクラブサイトを管理するシステムについてです。どういった機能を実装すれば良いのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 支払い手段は豊富に準備しスムーズな課金を
ファンクラブの客層は老若男女幅広く存在しています。特定の層、とりわけ成人を対象とするサービスであればクレジットカードの選択肢を用意しておけばある程度ことたりますが、クレジットカードを持てない年齢層や抵抗のある年齢層が含まれている場合には十分な対応ができません。
そこでクレジットカードや銀行振込といった支払い手段に加え、プリペイドカードやウェブマネー、ビットコインなどで支払えるように対応します。また、定期課金が可能な支払い手段に関しては自動引き落としの設定ができるようにし、支払いの手間をなくしメンバー継続率を高めましょう。入金確認を手動で行っていては運営が回らないので、こういった他の決済手段を導入した場合も、入金確認から、入金がなかった場合の退会処理まで、自動化できるようにしましょう。
単一価格のファンクラブであれば良いのですが、複数のプランがあったり、オプションなどの選択肢があったりする場合には、決済手段を準備するのも複雑になりがちです。混沌としないようにうまく整理しつつ、対象顧客層が便利に使える決済プラットフォームを実現してみてください。
Point.2 段階的なメンバー制度の実現を
最も主流なファンクラブサイトの形態は、ファンクラブメンバーとそうでない人を分けるだけのものです。ファンクラブメンバーであればサイト内の利用に関しては差がないものがほとんどではないでしょうか。
通常はこういったメンバーかそうでないかの識別でことたりますが、さらに複雑な会員制度を運用することができません。メンバーの中でもプレミアムメンバーやゴールドメンバーが存在し、それぞれでアクセスできるコンテンツや特典が違うといったことを実現したい場合には、メンバー制度を段階的に設定できるように予めシステムを設計しておく必要があります。
ベーシックメンバーには特定のページへのアクセス権が無いが、プレミアムメンバーにはアクセス権があり、かつ、チケット販売にも優先的に購入操作ができる、といった類の違いづくりです。納得感のある差がうまく作れるのであれば、より上位プランへの誘導する流れができ、客単価の向上につながります。
段階的なメンバー制度が実現可能になれば、メンバー年会費に差をつけ、特典に差をつけることでさらにメンバー当たりの単価を向上させることができます。メンバー間でコンサート等のチケットのとりやすさを変えてみても良いかもしれません。あまりに過剰な段階制は反感を招きますので注意が必要ですが、ビジネス的な観点からは取り得る施策が増えるためお勧めします。
Point.3 サイト内コンテンツの更新とソーシャルメディアの連動を
ファンクラブサイトに加えて、今ではブログやX(旧Twitter)で発信していることが多いと思います。こうしたメディアをファンクラブサイトの更新通知や宣伝に使わない手はありません。アーティスト自身のアカウントでこうした情報を発信している場合も多いと思いますが、どうしても抜け漏れがあったり、事務連絡的な発信を好まないアーティストも存在しています。
とはいえ、毎度更新の度に手動で通知を行うのは手間ですし漏れが発生してしまいます。ファンクラブサイト内のコンテンツを更新した際には一定のルールに従ってソーシャルメディアにも通知を行うように予めシステムに機能実装を行います。ファンクラブサイトを管理するスタッフの労力を少しでも減らす工夫ですが、やっておいて損はないと思います。
コミュニティ運営はあくまで慎重に
ファンクラブサイトの運営は何より慎重さが重要です。ファンクラブが何か失敗をしでかすと、重要顧客を一気に失う可能性を秘めています。その一方で、たくさんのビジネスチャンスに溢れているのも事実です。
あくまでファンの満足度を高めることを念頭におきながら、攻めるところは攻め、守るべきところは守ることで、質の高いコミュニティを形成していくことは十分ですし、ビジネスとの両立も可能だと思います。