観光客誘致の有効打
日本全国が、観光というキーワードに躍起になっています。国内にとどまらず、アジア圏やさらにはイスラム圏から人をなんとか呼び込もうという動きが活発です。インバウンド需要をうまく取り込むことができれば、従来の日本人観光客に加えての純増が実現できるため、地方自治体レベルでも、個別企業レベルでも、様々な取り組みが行われています。
計画的に予算を組んで着実に進めている観光地域はごくごく一部かと思います。たいていの地域はそこまでの予算や組合もなく、各旅館が細々とWEBサイトで情報発信を行っているのが現状ではないでしょうか。この状況はそう簡単には打開できません。
一つの鍵となるのは、低コストで運用できる観光情報サイトの構築です。ばらばらでの情報発信ではなく、地域や街単位でのブランディングを行う土台としてのWEBサイトを構築します。こうすることで、目的地としての認知形成を行い、消費者に直接アピールすることが可能になります。
今回のテーマはこうした地域の観光情報サイトの管理システムについてです。WEBサイトとしてどういったポイントをおさえ、裏側のシステムでどう工夫すべきか整理してみましょう。
Point.1 Wordpressを高度にカスタマイズ
情報サイトの土台は、理想を言えば独自構築をするのがベストです。必要な情報やどういった更新を行っていくかに最適化できますので最も効率がよくはなります。その一方で予算がある程度必要になりますので、「これから攻めるぞ」という状態の組合には重た過ぎる負担になります。
そこでWordpressを土台にすることでコスト低減を図ります。そのままの機能では観光情報サイトとしては不十分ですので、プラグインによる拡張や、独自に機能開発を行い自由度を高めます。定期的に更新が必要なページから作りっぱなしのページまで併せて管理できるようにし、ITに強くない担当者でも運営していける体制を構築しましょう。画像や動画のアップロードも行いやすくなっているので、Wordpressで十分に魅力的な情報発信は可能でしょう。
複数の担当者がいる場合には権限をきちんとわけ、あやまった情報更新が行われないようにしましょう。もちろん、集中的に特定の担当者が管理する場合には、その人にどういったかたちで情報を共有するかという問題が発生しますので、ビジネスチャットツール等の活用も視野にいれて柔軟に対応してください。
Point.2 地域の情報を全て集約したポータル化
地域の観光情報というのは色々なメディアに点在しています。観光ガイドブックに掲載されている情報は一部ですし、かといってタウンページは網羅性が高いですが情報の充実度が低くなります。
予算をかけられないとはいえ、地元だからこその情報の充実度は誰にも負けないはずです。例えちょっとずつであっても、地域の情報を全て網羅する充実したサイトを作っていきましょう。マニアックであればマニアックなほど個性が際立ちますし、一般的な旅行雑誌との差異化につながります。
飲食店の情報はもちろん、宿泊施設やおもしろスポット、公園やトイレなど、旅行者が気になる情報を全て網羅していきます。新しくできた場所や、無くなった場所もこまめに更新し、困った時には参照してもらえるサイトを目指しましょう。現地だからこそ、写真を実際に撮影したり、動画を充実させたりといったことも実行しやすいはずです。文章量以外にも情報というのは色々な種類がありますので、できる限りの取り組みを行いましょう。
Point.3 顔、にぎわいを見えるように
充実した情報が実現したからといって安心はできません。温度のない情報は何の魅力もありません。情報に温度を与えるのは人であり、人に勝るコンテンツはないと言ってもいいでしょう。
情報を充実させる一方で、その情報にはできるだけ地域の人を登場させましょう。旅館の情報であれば女将さん、飲食店であればシェフ、公園などのスポットであれば地域住民を登場させ、そこの場所にはにぎわいや暖かみがあることをしっかりアピールします。「普通」に思えることも、外部の人からすると「特別」であることもしばしばです。こうしたユニークな存在を何人発掘できるかが、編集者のセンスの見せ所ではないでしょうか。
有名なスポットがあることも重要ですが、それだけが全てではありません。人という最高の観光資源を活かすために少しずつでも充実させていきましょう。数を追うことはできなくても、積み重ねていく質で勝負してみてください。
地域の個性をどう紡ぎ出すか
圧倒的な個性を持った地域というのはごくごく一部です。そういった恵まれた地域は特に何もしなくても人が次々にやってきます。そういった地域をうらやましく思っている関係者の方も多いことでしょう。
ですが、全ての街・地域には個性があります。普通に思えることでも10個集まれば地域の性格や特色が見えてきます。情報を整理し、そこにメッセージを込めていく作業を通じてしか気付き得ないものだと思います。
コストの大小ではなく、しっかりと自分の地域と向き合えるかが一番重要だと思います。地域をあげての挑戦、応援しています。