定期的にやってくる面倒なこと

自動車を保有している限り、車検から逃れることはできません。新車ばかりを買って車検を迎える前に乗り換えているような人は一部かと思います。現実的にはディーラーにお任せするなり、自分で探して手配するなり、車検を何度か通して乗り続ける人が大半ではないでしょうか。

車検を通してくれるところを自分で探す人にとってインターネットは貴重な情報源です。近所の車検屋を比較するにしても、情報があまりないのが実状です。インターネット広告に熱心な業者も多く、検索連動型広告や、ディスプレイ広告、さらには追跡していく類の広告まで、あの手この手で車検需要を取り合っています。

安くても数万円、高ければ数十万円になってしまう車検費用をなんとか安くしたいと考えている人はたくさんいます。こうした需要をうまく取り込めれば定期的かつ大きな金額のビジネスになるだけに、取り合いになるのも納得です。

今回のテーマはそうした車検を自分で手配して安く済ませたい人のためのサービスです。どのような機能を実装すればユーザーと車検サービスの提供企業の双方が満足のいくサービスにできるのかいくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 簡単な項目入力で見積もり取得

車検サービスを探している人にとって、まず重要なのは価格です。自分の乗っている車で車検を通すと一体どれぐらいかかるのかを簡単な項目入力で見積もれるようにします。車種や年式、走行距離や各種消耗品の交換状況を入力することで1分で見積もりが取得できるようにしましょう。

とはいえ、思わぬ欠損で見積もり金額と実際の金額がずれることもありえます。見積もり金額が最終支払い金額のような見え方をしてしまうと、思わぬクレームの基になってしまいます。あくまで概算金額であることや、最終的な金額は作業にかかった際に確定する旨をしっかりと伝えるようにしましょう。

また、あまり車に詳しくない人にも配慮するために車種や年式、走行距離といった主要項目だけ必須入力で初期表示しておき、後の詳細条件はわかる場合のみ入力するといった導線設計が理想的です。もちろん、リピーターで過去に利用歴がある場合には、入力の手間を大きく省けるようにするのがベストでしょう。

Point.2 地図検索で簡単一覧表示

車を持ち込む側からすると家から近いに越したことはありません。自宅の住所の一部や郵便番号から検索ができるようにし、地図上にわかりやすくプロットします。プロットされたアイコンをクリックすると詳細が見られるようにし、地図から直感的に探して比較することができます。どのルートでいけば行きやすいかも、地図上での表示であれば一目瞭然です。自宅の近くでなくても、勤務地の近くであったり、よく使う駅の近くである場合など、探し方は人それぞれです。できる限り柔軟な探し方ができる画面設計が理想的です。

同時にお気に入り機能を実装することで、気になった車検屋さんをまとめて比較することができるようにします。大きく探して後から絞れるようにすることでユーザーの使い勝手を最大限高めましょう。絞った後に比較しやすい専用の画面を設けるのも良いでしょう。

Point.3 代車のラインナップや有無もリアルタイム表示

車検のために車を預けている間は代車を利用することが多くなります。サイト上に掲載されている車検屋さんの代車のラインナップや貸し出し状況を確認できるようにしましょう。こうすることでいつ預けるのが最適か、また、乗りたい代車がたまたまあった場合にはそこにお願いするといった行動も生まれてきます。

もちろん、代車がそこまでアピールできる車でないことのほうが多いとは思いますが、しっかりとした写真を掲載しておけば、自分の車にもきちんとした対応をしてもらえそうな印象づくりに役立ちますので、軽自動車でも小型車でも、写真映りにはしっかりと気を遣ってください。画像登録枚数の上限もできるだけ高く、また、動画も掲載できるようにすると、より魅力的なプレゼンテーションにつながります。

サイト上に掲載している車検屋さんには、スマートフォン等で簡単に代車の貸し出し状況を管理できるようにします。さらに積極的な取り組みをしたい場合は、車検の予約申し込みを管理する機能や決済機能も開放し、業務の基幹システムとして使ってもらうことも可能です。システムの開発コストはあがってしまいますが、がっちりとステークホルダーを囲い込むことができ、長期的な競合優位性にもつながります。

ローカルの積み重ねがグローバル

こういったマッチングサービスの良いところは、小さい規模からでもスタートできることです。全国展開はしているけど各都道府県1個しか登録がない状態よりかは、特定の市区町村でしかサービスが利用できないけどその充実度はすごいほうが成長の可能性を感じます。

サービス対象地域を増やしていく活動は地道なものですが、一度成功パターンができてしまえばそれを横展開していくのみなので難易度はそれほど高くないはずです。まずはしっかりと最初の地域で愛されるサービスを作り上げ、全国展開への足がかりにしてください。

開発スタッフのコメント
ITが活用されていない業界だからこそ、できることがあります。逆転の発想ではありますが、自社のみならず、関係する会社全体で使ってもらえる仕組みを作ることが出来れば、長期的にはそのシステム自体をビジネス化することも視野に入ってきます。自社だけでカバーできる商圏には限界があるので、全国各地にパートナーシップを結んだフランチャイズ的な展開もおもしろいかもしれません。