社会人への巣立ちを支援

毎年、リクルートスーツに身を包む若者を見ると「そういう季節になったか」などと感慨にふける人も多いのではないでしょうか。大学生活の後半のメインイベントである就職活動では、不安と希望に満ちあふれた若者達が慣れないながらも懸命に努力しています。採用活動の足並みが揃ったり揃わなかったりと、その時代時代の経済界の事情によって振れ幅はあるものの、日本ではまだまだ新卒採用が主流であり、各社ともに力をいれるイベントであることは間違いありません。

リクナビやマイナビのようなポータルサイトが大きな存在感を放つ一方で、独自のエントリーサイトを構築し、ポータルサイトではできないような特色のある採用活動を展開している企業も存在しています。採用活動は企業のイメージをアピールする機会と定義するとしたら、独自のエントリーサイトを通じたアプローチは至極合理的な活動と思います。

今回のテーマは、そうした独自での新卒者向けの採用ポータルサイトを構築する場合のシステムについてです。どのような機能やアプローチを行えば学生に対して効果的にアピールすると共に、採用担当者の負担を減らすことができるのか、いくつかのポイントにわけて整理してみましょう。

Point.1 各採用プロセスの出欠から評価まで一元管理

採用活動を行う中で、色々なプロセスがあります。その度に出欠をとると思いますが、その出欠を紙で印刷した参加者名簿で行うのを止め、システム上の出欠入力画面をノートパソコンやタブレット端末で操作することで行います。参加者には名前に加えてコードを配布するか、さらにはバーコードを配布することで照合の手間を省くこともできます。

また、グループワークや面接の評価もシステム上に入力、参照できるようにし、全ての情報が紙や担当者のエクセルやワードに散らばって管理できなくなるのを未然に防止すると共に、採用会議の現場での情報参照のスピードを高めます。社員によって閲覧できる情報を制限すべき場合は、入力者は自身が担当している学生の情報にのみアクセスできるようにすべきです。また、申し込み時に取得している情報の内、採用活動に必要な情報以外は見えないようにするなどの配慮も必要でしょう。

全てのプロセスの情報が応募者ごとに一元管理されることで、学生とのコミュニケーションの質も高まります。どういった悩みを持っているか、どういった強みが評価されているかなどの情報を採用に関わる全ての人間が共有することで、「自分のことをわかってくれている」という感覚を持ってもらえる可能性が高まります。

このように、まずは情報をしっかりと蓄積できるプラットフォームとしての機能を徹底的に追求しましょう。同時に、情報統制上のリスクをコントロールすることも重要です。採用に関連する情報は非常に個人的な情報を含むため、システムにアクセスできる人がすべてを見れるのは問題です。適切な範囲でどの情報が見れるかを制御し、無用な情報漏洩リスクを抱え込まないようにしましょう。

Point.2 オンライン上での質疑応答を可能に

採用活動を通じて、悩んでしまう学生はたくさんいます。その悩みが採用担当者側にくればいいのですが、競合他社に言いくるめられたり、自社のことをあまり知らない人に相談されて違った方向に導かれてしまったりするのは大きなリスクです。採用活動を通じてそういったことが起こらないほど深い人間関係が築ければ良いのですが、そううまくいくとも限りません。

そういった事態を回避するために、エントリーサイト上で採用担当者に気軽に質問ができるようにします。質問内容はマイページに蓄積され、まるで対話をしているかのようにコミュニケーションが深まっていきます。また、質問には共有していいかどうかを設定する項目を設け、質問をした学生の承諾がある場合は、応募者全体が参照できるような仕組みにします。

対話量は納得いく就職活動と強い相関があります。実際に会った場ではもちろん、オンラインの場でも積極的に対話を創造するような仕組みを構築しましょう。

Point.3 採用活動後も活用できるデータに

エントリーサイトを採用活動のためだけのものと定義するのはもったいなさすぎます。応募してくる学生にとっては入社するまでの唯一の接点になる場合も多く、ここでの印象やコミュニケーションが入社後にも色濃く影響します。当然、最初の研修のときの基礎材料にもなるでしょうし、最初の配属の際の能力適正にも情報として活かされると思います。

可能であるならその後の人事評価システムと統合できるようなフォーマットを設計しておくなどして、採用活動から入社後の評価までをスムーズに行えるようにしましょう。システムとしても必要であればデータのエクスポート機能を作るなどして移行をサポートします。

将来の土台になるような場の創造

社会人としての一歩をどうするのかは学生にとって大きな選択です。一方で企業にとってはたくさんの会社と比べられる中で、いかに優秀な人材を確保するかが死活問題です。そういった環境下で、採用活動に本気で取り組みしっかりとした仕組みを構築している会社は結果を残していると言っても過言ではないと思います。仕組みがありさえすれば良い人材がとれるというわけではありませんが、仕組みがあることで役立つことは間違いありません。採用活動を成功させるためのシステム活用、是非検討してみてください。

開発スタッフのコメント
こうしたサイトは学歴フィルタといったことが定期的に話題になります。一方で、採用活動を効率化する必要もあるため、学歴ではなくともオンライン試験のスコア等でフィルタリングしたい場合もあるでしょう。ユーザーから取得するデータは検索・絞り込みできるようにし、その検索条件を柔軟に設定できるようにすることで、採用活動の効率化を図ることができます。内部の採用基準にあわせた選考ロジックを検討してみてください。