家族の一員、ペット

昔から犬や猫を飼うことは一般的でしたが、犬であれば番犬という立ち位置から室内犬としてかわいがるなど、その接し方は少しずつ変化してきています。ペット関連のビジネスもどんどんと多彩になり、人間にあるサービスはペットにもあると呼べる時代がきています。

とはいえ、ペットの世話が必要なのはいつの時代も変わりません。旅行や出張時には家族や友人に預けるか、ペットホテル等の施設に預かってもらうしかありません。空港の近くを中心にペットホテルが増えているのはこうした背景があります。最近は訪問型や、個人宅で預かるようなサービスもありますが、ペットホテルが主流である時代はまだまだ続くことが予想されます。

今回のテーマはペットホテル予約サイトの管理システムです。どのようなポイントに気を付けて構築すればユーザーもペットも、そして管理者側も満足のいくシステムを構築できるのか整理してみましょう。

Point.1 ユーザー登録にあわせてペット登録も

ペットホテルが人間向けのホテルと違うのは、支払い者と利用者(犬等)が違うことです。そのため何も考えずにユーザー登録だけのシステムを設計してしまうと、肝心の宿泊する生き物の情報が大きく抜け落ちてしまいます。当たり前の話ですが、犬種によって大きさも、行動パターンも全く異なるため、ざっくりとした情報だけで予約を受け付けてしまうのはリスクでしかありません。

ユーザー登録をする際に一緒にするか、宿泊予約を行う際にペットの情報登録を促します。犬であれば何の犬種で普段はどういった食べ物を食べているのか、散歩の時間や一日のサイクルなど、ペットホテル滞在中のケアに役立つ情報を一通り入力してもらいます。すべてを必須入力項目にする必要はありませんが、より多くの情報をいれれば、それだけ対応がきめ細かくなるという期待をユーザーが持つでしょう。対応できないことまで取得する必要はありませんが、「できれば知っておきたい」情報は、入力欄をさりげなくもうけるようにすると良いでしょう。特別な事情があるペットオーナーも多いので、そうした細かい情報共有が簡単に行えるようにしておくことは双方にとってメリットが多くあります。

最初の入力時は手間ではありますが、一度情報を取得できれば長期間にわたりサービスの基本情報として活用できます。もしネット上での脱落率があがってしまうのが怖いという場合は、ユーザー登録だけをネット上で行い、実際のペット情報の登録はホテル現地で紙ベースで行うという方法でもかまいません。取得した情報はもちろん活用して意味があるものなので、そのペット情報を基に受け入れ準備やサービスメニューを組み立てるなど、現場で積極的に活用してサービスレベル向上につなげましょう。

Point.2 ユーザーマイページにカメラ機能を開放

愛するペットのことは出先からでも気になるもの。ユーザーにマイページ機能を提供し、その中の一つの機能として預かっているペットの様子を遠隔カメラで確認できる機能を実装します。

もちろん文字で「元気です」といった情報提供のかたちもありますが、何より動いている姿、眠っている姿を確認できることに勝るものはありません。運営上もカメラを接続して流しっぱなしにしておくだけですので、余計な入力・報告業務が発生せずに思っている以上に手間はかかりません。

常に映像を映していることに対して現場の反発やオペレーション上の不都合がある場合は、時間枠を区切っての機能提供や一定時間ビデオ撮影されたものをマイページ上で公開するといったかたちでも実現可能です。また、セキュリティもしっかりしておかないと、常に全世界に対して内部の様子が筒抜けといったことにもなりかねません。あくまでサービス利用者、そして、その時間帯に預けている人が、自分のペットのブースだけが見えるようにする、というのが理想です。預けるときも預けている間も安心してもらえるサービスとして競合との差異化につなげましょう。現場負担や機材導入の負担が大きい場合には、実験的な有料オプションサービスとして展開して様子を見るのも良いでしょう。

Point.3 ペットに対する活動報告をマイページに掲載

前項と同じポイントですが、預けている間の不安は払拭するにこしたことはありません。映像を通じての安心感に加えて、いつ何をしたかを細かく報告することでユーザーの不信感を払拭します。このレポートが充実したものであれば、預けた後の満足度が非常に高まりますし、無用なトラブルを防ぐことができます。また、リピーターになってもらえる確率も高まるでしょう。

預かり時に決めた散歩やえさなどのスケジュールを基に、実際にどのタイミングで何を行い、ペットの反応はどうだったかをスタッフが情報更新します。その情報をマイページ上で確認できるようにシステムを構築します。そうした情報更新の際に、過去の報告を参照できるようにしておくと、スタッフ側の情報登録の精度や配慮を高める効果が期待できます。

スタッフ側の手間を低減するために、よく使うコメント等は入力せずに選択するだけで報告可能なようにします。また積極的にスマートフォンやタブレットのような持ち運べる端末にもシステム対応し、ペットの世話をする現場で逐一情報更新ができるようにし、無駄な移動時間を無くし報告忘れのようなうっかりミスを防止しましょう。

需要を創造するハイレベルのサービスを

ペットを預けるという行為は、飼い主にとってはどこか引け目を感じる行為でもあります。もし初めて預けて再会したペットの様子がおかしかったら旅行や出張自体を今後躊躇するようになるかもしれません。

もし逆に、預けられていたペットがとても幸せそうであれば、引け目はなくなり、もっとアクティブに行動するようになるかもしれません。結果としてペットホテルの利用が増え、いわば需要を創造することにつながります。

ペットのケアという最前線でのレベルを高く維持するのはもちろん、ユーザーである飼い主さんの満足度も高めることが重要です。どちらが欠けてもいけないこのバランスを、システムを有効活用することで実現しましょう。

開発スタッフのコメント
ペットの様子は気になるけど、ずっと眺めていられないといったニーズに対しては、長い動画を短い動画にするタイムラプス動画の検討も有効です。カメラ含め、特殊な準備が必要にはなりますが、数時間の様子を数分のパラパラ動画のようなかたちで確認できるので、様子を報告する機能としては非常に有効です。ほどよい頻度で様子を確認できれば、預けている側の負担が少ないかたちで安心感を醸成することができるでしょう。