困った時の情報源
いつやってくるかわからないもの、それが病気です。健康のために何かしようと思いながらもほったらかしで、病気になってはじめてあたふたする人も多いのではないでしょうか。健康な内は全く視界に入らないのが病院や歯科医院です。いざどこに行けば良い治療が受けられるのだろうかと途方に暮れる人も多いのではないでしょうか。
とりあえず大きな病院に行っておけば安心だろうというのも一理ありますが、紹介状無しの初診の場合は数千円の手数料をとられることもしばしばです。まずは身近なかかりつけ医を探して診てもらうというのが、現時点での政府が描く医療のあるべき姿のようです。
幸い、インターネットのおかげで昔よりも良いお医者さんを探すのは簡単になりました。とはいえ、評判の良い病院や歯科医院が必ずしも自分の症状に最適なところとは限りません。そこで必要になってくるのが、自分の症状にあわせて病院や歯科医院を紹介してくれる情報ポータルサイトです。最近ではGoogleマップの口コミも非常に件数が多くなっており、そのクリニックに通ったことのあると思われるレビューも多く閲覧できますが、医院向けにはわざと悪いレビューを書いてから脅迫めいた営業をかける業者がいるため、そのレビューの正当性にはどうしても疑問符がついてしまいます。
今回のテーマはこうした病院情報が蓄積されたポータルサイトのシステムです。自分の症状にあわせて簡単に良い医者が探せる機能を軸にしながら、どのように設計・構築するべきかいくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 フリーワード検索を柔軟かつ正確に
全国の情報が掲載されたポータルサイトにした場合、地図から探すや都道府県から探すといった機能を実装したとしても、どうしても目的の場所にいたるまでにクリック数ばかり増えてしまいます。クリック数の増加はそのままユーザのストレス増加や離脱率増加につながってしまうので極力避けるように導線を構築すべきです。
Google等の検索エンジンで慣れ親しんだフリーワード検索を中心にまず据えます。その上で都道府県や郵便番号、駅名や住所の一部など、ユーザーが入力しそうなワードを予測し、それに対して適切な検索結果が表示されるようにします。また、入力の途中でも候補を表示し選択することで入力できるオートコンプリート機能をつけることで、ユーザーのストレスを軽減すると共に、正確なキーワード検索を可能にします。
ユーザーが良いキーワードで検索してくれるとは限らないので、検索後に、もし類似、またはより精度の高そうなキーワードが存在する場合には、その提案を行うのも良いでしょう。また、キーワードの一部を変えたり、より広い検索にした場合にどうなるかなども、同じ画面上で提案できるとなお良いと思います。検索の精度をあげていく作業は骨の折れる作業なので、裏側の仕組み含めて根気よく取り組んでみてください。
Point.2 病院紹介ページは独自の切り口で双方向に
病院情報を掲載している詳細ページは、ユーザーが事前に知りうる情報の全てです。もちろん、自院のホームページを持っている医院であればリンクを掲載しておくことでそれなりの誘導はできますが、ポータルサイト独自の価値という意味では弱くなってしまいます。
ホームページでは調べにくい情報をユーザーの代わりに編集し掲載することで、ただのリンク集にならないポータルサイトとしてのコンテンツ力が高まります。具体的には院長が開業に至った背景やこだわり、患者さんへのメッセージなどを取りまとめたインタビュー記事を掲載したり、よくある質問を掲載してみたり、ユーザーからの質疑応答がサイト上で簡単にできるようにしてみたりと、ポータルサイト独自の価値を提供する方法はいくらでも存在します。
労力との兼ね合いが難しいところではありますが、永く価値のあるポータルサイトとして生き残っていくためには良質なコンテンツは避けては通れないパーツだと思います。編集チームを組織し、継続的なライティングが行えるようにするのをおすすめします。良質なコンテンツはSEO(検索エンジン最適化)対策としても有用なので、長期的に取り組むと多面点なメリットを享受できると思います。
Point.3 チャットサポートでリアルタイムに案内
運営上一番楽なのは、作ってしまったサイトをずっと放置しておくことです。これはこれで一つの戦略として正しくはあると思います。ただ、後発参入でユーザーの支持を獲得していくためにはサポートは手厚くすべきだと思います。
数あるサイトの中から幸運にもサイトに来てくれたユーザーが、何らかの理由で迷ってしまったりサポートを必要としたりした場合にみすみす見逃すのはもったいない限りです。問い合わせフォームがあればいいじゃないかという考え方もありますが、問い合わせをするというのは腰が重い作業ですし、何より回答が得られるまでに時間がかかりそうでユーザーとしては敬遠しがちです。
そこでライブチャットと呼ばれるサポート機能を導入します。特段、個人情報を入力しなくてもサポートスタッフとチャットができる機能で、聞きたいことを聞きたいときにさらっと聞けることでユーザー側の価値が非常に高い機能です。もちろん対応時間外はチャット機能はオフになりますが、対応できる時間内であれば簡単なサポートを行うことでユーザーの満足度は格段にあがるでしょう。
チャットであればコールセンターよりも低コストではじめられますし、テキストならではの調べながらの対応も可能になります。同時に複数人の相手ができるのも特徴です。スタッフの負担がそこまで上がらない可能性もありますので、まずは試験的にでも導入を検討してみることをおすすめします。
利用したユーザーが誰かに紹介したくなるインパクトを
このインターネットの時代、情報を提供するだけのサイトは山ほどあります。ポータルサイトである限り情報の量と質は重要ですが、そこから一歩抜きんでるためにはサポートが重要になってくるのだと思います。
運営コストはあがってしまいますが、利用してくれたユーザーがX(旧Twitter)やブログで紹介してくれれば、長期的には収支があってくる施策だと思います。本当にユーザーが求めているサービスを提供するという根本を、是非追求してみてください。