身近なところにも押し寄せるIT化
パソコンやスマートフォンによる予約は若者だけのものと思っていたら大間違いです。身近な、どちらかというと年配の方が中心ユーザーである場所にもIT化の波は押し寄せてきています。スマートフォンの普及により、当たり前のようにインターネットに接続する時代が来たために、何もかもがインターネッとでできるのが当然、と思われるようになってきました。
ゴルフを練習する人にとってははずせない通称打ちっ放し。たくさんの打席が並ぶゴルフ練習場でも打席の予約ができるようにしようという動きが多くなってきました。行ってみたけど打席が空いてなかったというストレスや、自分の好みの打席が空いてなかったといった不満を回避できるので、運営会社的にも利用者にとっても満足度の高い仕組みです。ミスマッチを未然に防ぎ、また、稼働率の平準化にもつながる仕組みのため、各社ともに積極的に導入が進んでいます。
今回はこの、ゴルフ練習場の打席予約システムについて考えてみたいと思います。どのような点に注意して構築すれば、多種多様な利用者により多く愛用いただけるサービスにすることができるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 パソコンとスマートフォン対応は当たり前
一昔前であればパソコンのみへの対応でも良かったかもしれませんが、今はそれに加えてスマートフォン対応が必須です。常連さん以外にも打席の配置のイメージが湧きやすいように視覚化し、簡単操作で打席の指定から予約まで可能にします。一度も来たことのない人のために、館内のマップと連動したり、打席からの景色を閲覧できるようにしたりと他にも工夫は可能です。
予約が可能なのは前日までか当日の1時間前までかなどのルールは柔軟に設定変更できるように外部変数化しておき、設定画面でいつでも簡単に変更できるようにします。こうすることで方針変更の度にシステムを改修する必要がなくなり、長期的なコスト削減につながります。キャンセルもスマートフォンから行いやすいようにしましょう。あまりに直前の場合は電話連絡とするのも良いかもしれませんが、電話対応の手間が発生してしまいます。キャンセルの影響度によってはインターネットからの手続きで完結するようにしてしまうのも有効でしょう。
Point.2 会員証のIDと統一管理
既になんらかの会員証やポイントカードを発行しているゴルフ練習場であれば、予約システムを利用するための情報をそのIDと共通化し、あとはパスワードを設定してもらえば完了のようなかたちで予約システム登録へのハードルを下げます。名前や連絡先等の情報が必要であれば、登録後に設定してもらうフローで補完します。
こうした予約サービスはどうしても他の会員さんのIDが推測しやすくなるので、あまりに脆弱なパスワードはシステム上でエラーがでるようにし、強度の高いパスワードを利用者に設定してもらうよう促します。また、少しでも利用者の手間を省くためであれば、予め全会員分のパスワードを自動設定して、手渡しでビラと共に利用マニュアルと設定方法を渡すような導入も結果的にスムーズでお勧めです。常連さんでITに明らかに疎い人については、スタッフがフォローするなどの柔軟な対応を行うのも一つの方法です。
一方で、パスワードを忘れた、という方に逐一対応していると大変なため、メールアドレスを登録してもらい、自分自身でパスワードの再設定が行えるような仕組みもあるほうが望ましいでしょう。あまり来訪頻度の高くない会員の場合、来る度にパスワードを忘れているということもあり得るからです。また、パスワードレスの認証を検討するのも一つです。メールアドレスだけでログインリンクを発行するかたちにすれば、パスワードを忘れるということはなくなります。ログイン方式については一長一短があるので、最適なものをしっかり検討してみてください。
Point.3 複数拠点で使い回せるように
こういったシステムの導入を検討するようなゴルフ練習場は、複数の練習場を展開している場合があると思います。そういった場合にも対応できるよう、一つのシステムで複数の練習場の予約受付が可能なようにします。
もちろん利用者は共通のIDとパスワードで複数の練習場を一元管理できるので利便性が高まりますし、システム導入が1回で済むので投資も少なく済みます。各練習場ごとの初期設定はもちろん必要ですが、建物や打席数がそれほど頻繁に変更されるわけではないので、設定に伴う手間も小さなものと思います。まとめることのメリットを享受しましょう。
画面構成上も、間違って違う練習場の打席を予約していたということがないように、そもそものURLをわけてしまうか、自然と確認、チェックが行われるような画面遷移にしましょう。わかりやすく色やデザインをわけられるようにするのも有効です。
人は増やさず、利用者の満足度を高める
ゴルフ練習場のような設備ビジネスはいかに運営コストを抑えながら利用者を増やすかに尽きると思います。掃除やメンテナンスといった部分は人がしっかりカバーしながらそれ以外の部分は機械やシステムが自動運転する、そんな状態が理想ではないでしょうか。
一度導入してしまえば壊れることのない機械のように働いてくれるシステムを活かして、より愛されるゴルフ練習場を実現してください。