誰もが発信する時代の広告手法

WEBサイトやブログ、さらにはソーシャルメディアまで、個人が何かしらの情報を発信する時代になりました。そんな時代背景にあわせて成長を続けるのがアフィリエイトサービスです。既にアフィリエイト機能を提供するASPを利用して、自社の販促手段として活用している会社も多いのではないでしょうか。

ASPの利用ではなく、規模の大小はあれど自前のアフィリエイト機能を構築したいという要望も少なからずあるようです。独自だからこそ余計なマージンはありませんし、正確に登録ユーザーの情報を管理できるほか、会員情報と連動させることで強固な販促ネットワークを構築することもできます。細かい業務フローや条件やアフィリエイターの審査も完全にコントロールできるため、規模や運用するサービスが多いのであれば検討の価値があります。

今回のテーマはアフィリエイト機能・ASPサイトのシステム構築です。どのようなポイントに気を付けて設計し、システムを構築すればユーザーに支持されるアフィリエイト機能を実現できるのか、一つ一つ整理してみましょう。

Point.1 自社登録ユーザーが簡単に利用可能に

amazonなどもそうですが、自社でECサイトを運営していて、その登録ユーザーに対してアフィリエイト機能を開放するのが自前でアフィリエイト機能を構築する際の最も一般的なかたちかと思います。自社のファンである登録ユーザーをそのまま宣伝部隊にできることは効率も能率も良い形態です。

重要なのは登録ユーザーにスムーズかつ簡単にアフィリエイトを行ってもらう工夫を施すことです。いちいち専用の画面にいって専用のコードを発行するのでは面倒になってしまいます。ログインした状態であれば該当の商品ページ内にすぐにアフィリエイトリンクを取得できるボタンを表示し、自分が買い物をするときと同じ感覚、同じ導線でアフィリエイトリンクを取得できるようにします。Wordpressのプラグインのかたちで、こうした機能を提供するのも有効な施策の一つでしょう。

また、アフィリエイトの成果もお買い物と共通のIDとパスワードで確認できるようにし、何も迷わず気付いたらアフィリエイトができていたぐらいの簡単さを追求します。専用のツール提供はどこのアフィリエイトサービスも力を入れているところです。ベンチマークを設定し、それらの競合に負けないような利便性を実現するべきです。

Point.2 期間限定で設置してくれたことに対してインセンティブ

新発売の商品やどうしても売り切りたい商品など、アフィリエイトというかたちであれユーザーにどんどんと告知して欲しい場合があります。そうした場合にユーザーのモチベーションを高めるために、アフィリエイトリンクを設置したことに対して報酬を付与できるシステムを開発します。

具体的にはページの表示に対して報酬を設定するか、クリックに対して報酬を設定する方法が考えられます。どちらも期間限定でその報酬額を高め、ユーザーの重い腰をあげてもらう効果を狙います。不正と隣合わせではあるので、不正を未然に防ぐ仕組みは当然必要でしょう。インプレッションの測定もプログラム的なアクセスを排除できるように考慮するなど、特別な対応が必要です。

注文があってはじめて発生する成果報酬とクリックや表示に対して発生するプロセス報酬の両方をうまく駆使して登録ユーザーのモチベーションを高めましょう。もちろん、そのこまめな対応が面倒ではない仕組みづくりもセットで検討してください。

Point.3 不正防止は自動検知、自動通知を基本に

アフィリエイトを運用する側になるにあたって重要になってくるのが、不正行為の防止です。すべてのクリックや表示の正当性を人力で評価するのは不可能です。そこで重要になってくるのが不正行為検知システムです。

不正なかたちでのリンク読み込みや訪問者の意図しないかたちでの誘導などを自動で検知し、その行為を行っていると思われる登録ユーザーに対して自動で通知します。同時に、システムでは100%は断定できない怪しい行為を運営スタッフ側に通知し、システムと人力を組み合わせすることでさらに高いレベルの精度を狙います。

最終的には人の判断を機械学習により蓄積していき、AIによる判断で精度高く不正を検知できるのが理想ですが、誤検知率とのバランスで実践投入するかを判断するのが賢明です。万が一の誤検知に備えて、異議申し立てのような機能を用意しておくのも良いでしょう。一方的な禁止やペナルティは反感をかいがちなので、対話を主としたアプローチを大切にすることをおすすめします。

誠実に運用し、長期的な広告資産に

アフィリエイト機能を独自に運用するのは簡単なことではありません。正確誠実な運用が求められますし、実際に登録ユーザーに金銭的なメリットがなければ販促手段として確立するほどには成長しません。

時には広告費の増加を厭わない覚悟で報酬額を引き上げるなど、柔軟かつ大胆な対応が必要になってきます。その時に重要なのはトップの覚悟です。改善し続けていく姿勢と覚悟、それに使いやすく管理しやすいシステムが組み合わされば、アフィリエイト機能を将来的な成長エンジンに育成していくことができるのではないでしょうか。

開発スタッフのコメント
専業のアフィリエイターという存在も無視できませんが、こういったリファラル施策で重要なのは自分達の顧客であったりもします。既存の顧客データを基に。自然とそのアフィリエイト提案ができる仕組みを統合してしまうのもお勧めです。購入者にレビューをお願いするのに加え、このリンクでお友達が買えばあなたに○○ポイント入ります!といった、紹介した側にも紹介された側にもメリットのある施策を組み合わせることができれば、新規客の獲得と既存客のリピーター化を同時に実現できます。