循環型社会のビジネスチャンス

インターネットの発展と共に発展してきたリサイクルマーケット。今までは地域の紙媒体でしかマッチングが行われなかったものが一気に全国の欲しい人とマッチングされることになり大きなマーケットが出現しました。オークションサイトがその先陣を切り、売りたい人と買いたい人を今この瞬間もマッチングしていますが、一方でただ買い取って欲しい人、ただ買いたい人、というのが存在するのも事実です。

オークションサイトの登場以降、リサイクルショップが軒並み消えていったわけではなく、使い分けの中でむしろ存在感を増していっています。そしてリサイクルシップの集客の主戦場自体もインターネット上に移行しています。買取を積極的に行う一方、その販路は多様化しています。店頭はもちろん、インターネッと上で通販、さらにはヤフオクやメルカリに出品したりと、その事業開発の柔軟性とスピードは目をみはるものがあります。

今回のテーマはそういったリサイクルショップのポータルサイトを支えるシステム構築についてです。たくさんのリサイクルショップに登録してもらい、ユーザーに対してマッチングや様々な機能提供を行うサイトをどのように構築すればよいのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 オープンリクエスト機能で利便性UP

ユーザーのニーズは「早く、高く売りたい」もしくは「早く、安く買いたい」に二分されると思います。リサイクルショップ情報が掲載されているだけのポータルサイトではこうしたニーズは満たしにくいので、オープンリクエスト機能を実装することで解決を図ります。

オープンリクエスト機能とは、「こうしたものを持っているけどいくらで買ってもらえるだろうか」という見積もり依頼を、サイトに登録しているリサイクルショップに投げかけることができる機能のことです。逆に、「こういうものをこれぐらいの値段でこれぐらいの個数欲しいんだけどできるだろうか」という購入リクエストも可能にします。我こそはと思うリサイクルショップはそのリクエストに対してオファーを行い、交渉がスタートするというイメージです。

さらに、一対一のマッチングでは、ユーザーの販売希望数や購入希望数に満たない場合も考えられますので、ユーザーは複数のリサイクルショップからのオファーを統合管理できるようにします。20個の購入依頼に対して5個と15個のオファーが来た場合にストレスなく交渉から購入までできるように配慮します。UI(ユーザーインターフェース)の見せ方も重要でしょう。たくさんの情報が押し寄せるように表示されるとそれだけで離脱してしまいかねないので、段階的な表示や、表示する情報を絞るなどの工夫が必要になる場合もあります。

もちろん、単体の店舗では数が揃わない場合や、十分に魅力的な価格を提示できない場合もありえます。そうした場合には店舗を横断した買い物体験ができるようにするのも一つの方法です。ポータルサイトとしては一歩踏み込むかたちにはなりますが、買う側としては嬉しい機能になるでしょう。

Point.2 相場調査機能で下調べを可能に

いくらでもいいからすぐに売りたい・買いたい、という人は一部だと思います。まずはどれぐらいの価格になるのかを調べた上で本当に売るのか買うのかを検討する人が多いのではないでしょうか。こうした下調べを簡単に行えるようにすることが、サービス利用のハードルを下げることがあります。

見積もりベースのサービスはどうしても透明性が低く、利用のハードルが高くなりがちです。そこで過去の取引実績や一般相場を基に、商品に対しておおよその相場を提示する機能を構築します。こうすることでユーザーが事前に自分の持っているもの・欲しいものの価格を知ることができ、サイトの利用率向上や、最終的な納得度向上につながります。

また、買い取る側にとっても貴重な情報源になる可能性があります。膨大な商品のすべてで買取実績を持っている業者はまれです。実際にはいくらで売れるかを調べて回答したりしているものですが、その際の基礎資料として業者側に情報提供することも可能です。無料で提供するも良いでしょうし、有料プランの特典として、こうした情報源へのアクセスを許可するといったサービス設計も良いでしょう。

Point.3 コンシェルジュサポートも充実

どれだけリサイクルショップが登録されていても、ユーザーの要望を満たせない場合があります。こうした場合に何もしないという消極的運営も一つの方法ですが、あえてコンシェルジュサポートのような充実したユーザーサポートを行うことをお勧めします。近年はチャットでのサポートも一般化し、利用者側も抵抗なく利用してもらえる素地ができあがりつつあります。電話対応のコストが大きすぎる場合にはチャットツールなどの導入も検討してみてください。

マッチングサービスはどれだけ取引が行われるかが肝です。サイトにたまたま来てサービスを利用しようと思ってくれた人をみすみす逃すのはもったいなさ過ぎます。マッチングができなかった場合の導線にコンシェルジュサポートを露出させ、電話やメール、さらには途中で脱落してしまったユーザーの掘り起こしを通じてサービス利用率向上を図ります。

サポートコストはかかってしまいますが、見込み客をポータルサイト側で握ることになるので、サービスの存在意義が高まります。無茶苦茶な要望を寄せてくるユーザーも中にはいるかもしれませんが、顧客満足度をあげるための接点の一つとして検討してみてください。

安心感と信頼感がビジネス基盤

いくらリサイクルショップの登録数が多くそのことをアピールしていても、信頼を失うようなサービスレベルでは長続きはしません。数を追いかけたい気持ちも至極当然のものですが、協力してくれるリサイクルショップや顧客対応スタッフの教育も含め、一歩ずつ確実に進めていくことが重要です。

大切なのは安心感と信頼感。少しずつ積み上げていくからこそ、やがて競合が真似をできないレベルに達するのだと思います。永く愛されるサービス作り、応援しています。

開発スタッフのコメント
サポートの充実、といっても配置できる人員に限りがありますので、よくあるご質問の充実や、チャットボットによる自動対応なども検討すべきです。何でも人による対応をすればよいという時代ではないので、顧客サポートだけ別のサービスを使うなどの柔軟な構成にしてしまうのも、システム全体の規模を過剰に大きくしないという意味ではお勧めではあります。