時代の要請、介護タクシー

高齢化社会の到来と共に、介護関連のビジネスが盛り上がってきています。その中でも介護タクシーの業界は比較的元手も少なく、小さな規模から始められることから個人から法人まで多数の業者が入り交じる状態になっています。町中を走る介護タクシーやそれに類する車両を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

介護事業者や個人が介護タクシーを利用したいときに丁度良い場所に介護タクシーがいるとも限りません。自分達で充実した移動手段を持っている事業主であれば別ですが、移動手段を外部化しているところも多いのではないでしょうか。

今回は、そういった空いている介護タクシーを探している人達と、介護タクシー事業者をマッチングするサイトをテーマにしてみたいと思います。どのようなポイントに気を付けてシステムを構築すれば、利用者、そして介護タクシー事業者の双方が満足のいくマッチングが行えるのかについて考えてみましょう。

Point.1 介護タクシーの空き登録はスマートフォンで1ステップ

マッチングサイトの事業をどの規模からスタートするにしても、重要なのは空き介護タクシーの情報を充実させることです。そのためには、介護タクシー事業者への営業活動が重要なのは言うまでもありませんが、せっかく登録してもらえても継続的に空き情報を更新してもらえなければ意味がありません。情報の更新がなければ、一台も走っていない状態が続いてしまったり、最終の更新日が何ヶ月も前、といったサービス以前の状態に陥ってしまいます。こうなるとサービスとしての魅力がなくなってしまうので、利用者に愛用してもらえなくなるのは想像に難くありません。

そこで空き登録を可能な限り簡単にします。具体的には、スマートフォンで専用の管理画面もしくはアプリからログインし、「空いたよ!」ボタンを1クリックするだけ。スマートフォンのGPS機能を活用し位置を自動的に取得し、どこのエリアで空きがでたかを自動的にマッチングサイト上に反映します。空きがある介護タクシーには随時配車依頼が舞い込んでくる好循環が築ければ介護タクシー事業者にとってストレスのない最高の環境が構築できます。

Point.2 時間帯希望に対して入札可能に

利用者によっては、特定の時間、ペースで予め予約をしておきたい、というケースがあります。こういった要望にもシステムが対応できるよう構築します。予約を便利にすることでリピーターの獲得へつながりやすいので、ぜひとも取り組みたい機能です。気に入ればずっと定期的に使ってもらいやすい業態がゆえに、リピーター確保は経営上も非常に重要です。

具体的には、利用者が希望をだした予約枠に対して介護タクシー事業者が入札できるようにするオークション形式と、特定の介護タクシー事業者に指名で予約をお願いする指名形式の両方を選択できるようにします。こうすることで計画的な利用に対しても適切な配車が実現し、マッチングサイトとしての利便性が大きく向上します。予約はとったけどキャンセルが怖い、という場合には、先払いや、デポジットの支払いを求めるというのも検討の価値はあります。

Point.3 双方向の評価でユーザー間の自浄作用を

複数の介護タクシー事業者が入り乱れる中で、全体のサービスレベルを向上させていくために利用後の評価が蓄積・公開される仕組みを実装します。こうすることで介護タクシー事業者がサービス見直しの糧とすることができ、低品質な業者が自動的に排除される自浄作用が働きます。利用者の声ほど正直かつ信頼のおけるデータはないため、貴重な資産ととらえて積極的に収集すべきです。

評価をするというと仰々しく聞こえますが、あくまで双方向のコミュニケーションをとる場を設けるイメージです。ありがとうの気持ちも、次からこうしてねの気持ちも、伝わることで長期的には良い方向へ向かっていくのだと思います。レビューの形態は介護タクシー事業者の声も聴きながら改善していくのも良いでしょう。単純な星評価の他にも、コメントを書けたりするのも良いと思います。また、そのレビューをどういったタイミングでユーザーに求めていくかの設計も、レビュー数を増やすためには重要になってくるでしょう。

条件指定や情報充実など、可能性は無限

上記のようなポイント以外にも、介護タクシーの装備や定員などで絞り込みができたり、介護タクシーの位置情報を一定期間で自動的に更新したりといった付加機能も考えられます。さらに介護タクシー事業者の情報を充実させることも利用者の不安を取り除く効果があるでしょう。

空き情報の集積、情報の充実。どれも地味ですが蓄積されていったときに他には真似のできない資産になります。一歩一歩、たくさんの関係者を巻き込みながら進化していくために、システムができる役割は決して小さくありません。まずはお気軽にご相談ください。

開発スタッフのコメント
スマートフォンアプリは、作り込めば作り込むほどコストがあがります。一方で、機能が増えれば増えるほど、操作性は劣化する面もあります。利用者の年齢層を考えると、スマートフォンアプリは極力シンプルに割り切ってしまうのも一つの考え方です。特にサービス立ち上げ時はなかなか十分や予算やリソースを割り振れない場合も多いので、空き状況更新や、呼び出しといった、単機能なアプリにしてしまうのも一考の価値はありそうです。