多彩なチャネルに対応する時代

宝飾店を取り巻く市場環境はここ数年で大きく変化してきています。従来の対面販売、外商販売はもとより、インターネット販売という新しいチャネルの確立、安い海外製品との戦いなど、マーケティングの4Pのすべてで従来のやり方を刷新していかなければ生き残れない時代が来ているように感じます。

マーケティング上の訴求点も年々多様化しており、高級感のみだった市場は百花繚乱と呼ぶべき状態です。エコをうたうブランドもあれば、社会的な意義を訴えるブランド、サポートを手厚くするブランドなど、本当に様々です。

その一方で、うまくこの新しい波に乗り、効果的な投資を行っている会社が大きく伸びているのも事実です。ピンチはチャンスとはよく言いますが、他が落ちる時期にこそ、その市場パイを奪いとるチャンスというのはあながち嘘ではありません。

今回は激変する宝飾業界で生き残るためのシステム構築を、どのようなポイントに留意して行うべきか、考えてみたいと思います。

Point.1 イレギュラー、貸し出し、ひたすら柔軟な出入庫管理

宝飾品は通常、一点あたりの単価が高く、在庫数や在庫スペースも少なめな場合が多いと思います。ですが、仕入れて売るという通常の流れ以外に、雑誌等のメディアへの貸し出しや、通常の仕入れ先以外からの仕入、紛失や盗難、傷等の不良で、日々細々とした修正が必要になってきます。

こうした管理がずさんだと、あるはずのものがなかったり、数量があわなかったりといった事態が頻発してしまいます。そのたびにスタッフ総出で探すということは避けるべきでしょう。一点あたりの単価が高いものが多いだけに、こうしたトラブルの影響度は他の業種よりも深刻です。紛失による経済的損害も多いので、なおさら仕組みで担保すべきです。

在庫数量だけを管理するのであれば、どのような理由でも在庫数を減らせば終わりですが、それでは経営の見える化はできませんし、改善のしようもありません。どのような理由かを簡単に選択し在庫数量を調整できるようにすることで、いつでもすぐに「なぜ増減したか」が追えるようになります。さらに集計機能を実装することで、現在の在庫や出入庫状況がわかりやすいかたちで表示させ、経営判断に役立てることができます。

Point.2 店頭ではiPadなどのタブレット端末を活用

従来ながらのやり方として、パソコンでかちかちと在庫の照会や登録、調整を行う機能は必須ですが、これに加えて店頭で接客しながら在庫管理ができるよう、タブレット端末での利用も想定して開発します。タブレットよりも小さいスマートフォン端末で業務を行っている場合には、さらに小さい画面を想定した開発も可能です。昨今は利用客側もこうしたタブレット接客に慣れているので、導入に際して大きな抵抗は起こらないと思います。

さらに各在庫を商品ごとに撮影しておき、店頭にない商品もお客様にイメージ提案できるようにすることで外商接客時の提案力が高まります。インターネット接続さえあればどこからでも在庫管理・商品管理システムにアクセスできるようにすることで、iPadひとつあれば接客から在庫照会、売上管理までできてしまうシステムが構築できます。

また、さらに一歩進んだ使い方としては、iPadなどのタブレット端末をPOSレジのように使うことも考えられます。販売記録を直接システム上に登録できるので、スムーズかつ正確でリアルタイムな在庫管理が可能になります。

Point.3 店頭、ネット店舗、外商の在庫を一元化

せっかく販売した商品も、実際には他のお店で購入されていて在庫がなかった、というケースがよくあります。お客様も店も誰もがみんな不満足なかたちですので、是が非でも避けなければなりません。毎日棚卸しをすれば良いという考え方もありますが、棚卸しは業務負担が大きな作業ですので、棚卸しの回数を最小限にしながら、正確な数量管理を行うことを目指すべきです。

店頭、ネット店舗、そして外商部隊の在庫をすべて同じシステム上で一元管理し、どこかで売れたものの在庫情報は即座に反映されるようにします。こうすることでどのチャネルで販売しても全てのチャネルの在庫状況がリアルタイムに更新され、売り逃しや売りすぎを防ぐことができます。販売はまだだが確保しておきたい、というケースが多い場合には、取り置きのような機能を実装するのも良いでしょう。

システムが生み出した時間で、高品質な接客を

在庫管理や売上管理は、システムでかなりの範囲自動化できますし、システムにやらせるべきです。人間はもっと高付加価値な接客という仕事に時間を使い、より多くの売上と、より高い顧客満足度を目指すべきだと思います。

パソコンやタブレット、実店舗やネット店舗、一見さんからお得意様、多種多様なチャネルや売り方が混在する宝飾店経営というビジネスですが、そういった諸々を一つにまとめてくれるのがシステムだと思います。「自分達のやり方は特殊だから・・・」とあきらめる前に、まずは一度お気軽にご相談ください。

開発スタッフのコメント
タブレットによる接客も一般化してきたため、ここに抵抗感のある人は少ないと思います。現場からパソコンレスにするためにも、タブレットだけで業務が回せる状態にできれば、設備・備品コストを抑えることができますし、同時にペーパーレス化も進めれば、余計なスペースをとっているパソコン機材一式を撤廃し、売り場をより有効活用することもできます。単に業務効率UPにとどまらない視点でシステム導入を検討してみてください。