お客様は待ってられない
世の中の商品には、型番商品と呼ばれる価格が決まっているものと、オーダーメードや時価のもののように価格が変動するものにわかれます。価格が固定の場合はそのままサイト上に掲載すれば話は早いのですが、価格がお客様の要望によって変動する場合は目安を掲載して「お問い合わせください」としているところが多いのではないでしょうか。
お客様にとってもまだ買うかどうかも決めていない商品の問い合わせをするというのは心理的に大きなハードルになりますし、価格を伝えるだけの問い合わせ対応のために、スタッフの手間も大きくなってしまいます。「だいたいの価格がわからないならやめるか・・・」といって、他のサイトを見に行ってしまうユーザーも多いのが事実です。
そこで今回は、オーダーメード商品に代表される見積もりが必要な商品の価格を自動で算出し提示する機能・システムをテーマとして取り上げます。どのようなポイントで構築すればお客様とスタッフの両方が満足できるシステムにできるのか考えてみましょう。
Point.1 見積もり単価をいつでも簡単に変更可能
こういった費用見積もりのシステム開発でやってしまいがちなのが、一度設定した単価を簡単に変更できない、というものです。材料費やその他コストが変動する度に開発会社に依頼せざるを得ず、コストも時間もかかってしまいます。挙げ句の果てには見積もりシステム自体をメンテナンスしきれなくなって、1年かそこらで使えなくしてしまう場合もよくあることです。
解決方法はシンプルです。費用見積もりの際の変数にあたる単価や算出ロジックを、プログラム内部にデータとして持つのではなく、データベース上に保持し、スタッフ側の管理画面で簡単に変更できるようにすることです。最初の構築時の工数は少し大きくなってしまいますが、長く柔軟に使えるシステムのために必要な投資だと思います。
世の中のインフレ・デフレの影響や、為替の影響、原材料代、燃料代など、自分たちの力ではどうしようもない変動要因がいくつもあります。こうした変動に振り回されないためにも、あらかじめ変動を考慮した仕組みにしておくことをおすすめします。理由がある値上げは柔軟に行っていくべきなので、システムがその足枷にならないようにしてください。
Point.2 見積もり計算から次のアクションまでの導線設計
自動見積もり計算機能の最初の目的は、ストレス無く見積もりを計算してもらうことです。そのためには適切な説明を適切な箇所に配置し、どこにどういった数字を入れるかをわかりやすくすることはもちろん、Javscript等を使って操作を補助することも重要になってきます。たとえば見積り金額の計算結果一つとっても、いちいち「計算する」というボタンをおさないといけないよりは、内容の選択にあわせて自動的に金額欄が更新されるほうが喜ばれるでしょう。UI(ユーザーインターフェース)はリッチであればリッチであるほどユーザーにはメリットが大きくなりますが、同時に工数が増してしまいます。予算と便益のバランスをとって、最適解を見つけるのをおすすめします。
さらに、計算された価格に対してなんらかのアクションをとってもらうのが何より重要ですので、見積もり結果を保存する機能や見積書として印刷する機能、さらにそのまま注文や問い合わせができる導線をしっかりと整備します。加えてどの段階でお客様が脱落してしまったかを後から捕捉できるように計測しておき、転換率を上げるための分析と改善を行い続けていくことも重要です。
アクションを誘発するためにどういった情報表示を行うのが適切かは、運用しながら気づくことも多いと思います。A/Bテストなど、定量的に測れる部分は測り、試行錯誤を繰り返していくことをおすすめします。
Point.3 閲覧環境に依存しないテクノロジーを採用
自動見積もり機能というと、かつて一斉を風靡したFlashのようなインタラクティブなものが見た目の派手さからか好まれることが多いようです。ただ、そのFlashも使われなくなり、環境や時代の流行に依存するテクノロジーを採用するべきではありません。
昨今、Javascriptの表現力も高まっていますし、他にも端末を選ばずに利用可能なテクノロジーというものが増えてきています。スマートフォンでもパソコンでも、WindowsでもMacでも、EdgeでもSafari、Google Chromeでも、お客様の使い勝手を犠牲にせずに誰でもいつでもどんな端末からでも利用できるようにすることがとても重要です。
画面サイズは特に難しいところで、パソコン主体に画面を構築してしまうとスマートフォンで見づらかったり、逆にスマートフォン主体で構築するとパソコンで間延びしてしまうことはよくあることです。共通画面で実装するのが安上がりではありますが、どちらもユーザー体験を最大限に高めたい場合には、パソコン(ある程度幅の広い画面)用と、スマートフォン(幅の狭い画面)用にわけて開発してしまうというのも一つの方法です。
最終的にはサイト全体視点での改善を
自動見積もり機能はサイト全体の一機能に過ぎません。その機能を作り込むことも重要ですが、そのページへどうやってお客様を誘導するか、はたまたそもそもサイト自体にどうやって誘導してくるか、こういった全体視点も重要なのは言うまでもありません。
一つの機能開発が全体の見直しに最適なタイミングであることはよくあります。これを機に自社のビジネスモデルを見つめ直し、手直しできる箇所はあわせてリニューアルしてみるのはいかがでしょうか。システム開発以上にマーケティングにこだわってきた当社が何かお手伝いできることがあればと願います。