ボランティアベース

サッカークラブや野球クラブなど、地域単位でのスポーツクラブが人気です。地域によって、その活動地域の広さや、運営形態に差はあれど、一部の企業運営のものを除き、基本的には保護者のボランティアによって成立しているところが多いのでないでしょうか。有料での習い事チームやクラブが増えてきているとは言え、一昔前ほどの勢いはないにしろ、それでも地域の野球クラブやサッカークラブの数を見ると、その裾野の広さはまだまだ大きなものがあります。

そんな場合に一部の人に役割が集中してしまうのが各種管理業務。活動費の徴収から、遠征のメンバー管理まで、細かく管理しはじめると、きりがないほど雑務に溢れています。スマートフォンアプリでなんとかやりくりしているところも多いと思いますが、一つのツールだけでは完結せず、人力によるフォローアップと組み合わせてなんとか回しているというのが実状ではないでしょうか。

今回はこうした地域スポーツクラブの運営をサポートするシステム構築で重要になる点について考えてみたいと思います。さっそくいくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 活動費徴収を自動化

お金周りの管理というのは面倒なものです。さらに不払い含め、回収漏れなどある場合にはなおさらです。この活動費徴収の面倒さからされるために、活動費徴収を自動化しましょう。

手渡しや銀行振込で行われているフローをシステム上でクレジットカード支払いにしてもらうことで自動化します。支払いエラーがあった場合にのみチェックすればよくなるため、毎月、お金の催促で保護者間がぎくしゃくすることもなくなります。

カード支払い手数料が発生しますが、月に5000円程度の活動費であれば銀行振込手数料より安い場合もありますし、手渡しの手間を考えると合理的な範囲におさまるように思います。月謝の回収ほどストレスのたまる作業もないので、こうしたものを自動化して、運営スタッフの精神的なストレスを緩和するのは非常に良い方向性だと思います。銀行絡みの書類のやりとりを減らせるのも、双方にとってメリットがあるでしょう。

Point.2 経理、報告を一元化

活動費徴収をシステムに統合すると同時に、遠征費のような都度必要な代金の回収も統合しましょう。クラブに入ってくるお金の流れと、実際に使用したお金の額をシステム内に登録することで、活動報告書をほぼ自動で生成することができます。報告書までは不要と思われるかもしれませんが、クラブの透明性を高めるにこしたことはありません。

さらに簡易的な経費精算機能をもうければ、立替払いをした人がその精算を申請できるようになります。そうすることで、細かいレシートを付き合わせながら会計係に負担が集中することもありません。何にいくら使ったかが報告書によって透明化されるので、クラブ全体でのお金のトラブルを未然に防ぐことができます。たいていのトラブルやクレームはお金周りで起こることが多いので、やりすぎと思えるぐらい、お金周りの機能はしっかりとしたベースを築くことをお勧めします。

Point.3 代替わりに対応

地域スポーツクラブは、子供の成長とともに、その運営を担う保護者も変化していきます。スムーズな代替わりができなければ、不明瞭なまま引き継がれていく謎の入出金や、引き継ぎ時のごたごたが起こりかねません。小学校卒業のタイミングや、引っ越しのタイミングなど、保護者の都合、子供の都合で、人の出入りは常にあると思います。

機能を最低限に絞ることでわかにくさを排除し、権限管理についても、期間と一緒に設定できるようにすべきです。また、OB・OGとはいえ、いつでもシステムにアクセスできるのはセキュリティ上リスクを抱えることになるため、OB・OG専用の権限をもうける等し、様々な属性の方が柔軟かつ引き継ぎ可能なかたちでシステムを利用できるようにすべきです。代替わりのたびに、引き継ぎで混乱したり、わからない情報が増えていくということは防がないといけません。

ボランティアに甘えない仕組みを

共働き世代が増える中、一部の人に負担が集中してしまう仕組みは長続きしません。それがボランティアベースでの活動であればなおさらです。仕組みをしっかりと整備することで地域の様々な活動が活発になり、地域活性化につながるように思います。

町おこしや地域行政の施策では、とかく設備整備に意識が向きがちですが、こうしたソフト面でのサポートにも大きな可能性が潜んでいます。地域スポーツクラブに限らず、地域活動を支援する仕組み作りを是非検討してみてください。

開発スタッフのコメント
定期的に顔をあわせるからこそ手渡しや口頭で、が当たり前になっているスポーツクラブの運営ですが、それが原因でトラブルになることも多いようです。こうしたスポーツクラブの運営管理システムを構築することで、地域スポーツクラブが抱える問題点を一気に解消できる可能性があります。連絡手段まで組み込むかは既存のLINE等のツールが強力なため判断がわかれるところですが、そうした保護者間で広く使われているツールとの連携もできれば、さらに利便性が高まるでしょう。