味わいマーケット

アイアン家具が好調です。使用感をデザイン上重視することも多く、経年劣化した木材を使用したり、わざと鉄にさび加工を施したりと、まさに「味わい」を追求しているジャンルと言えます。カフェ的なインテリアが流行していることもあり、そういった流れに伴ってアイアン家具やヴィンテージ家具が売れています。リサイクル的な文脈でも、廃材利用が良しとされることもあり、今まで以上にたくさんの場所でそうしたヴィンテージテイストの家具を見かけるようになってきました。大量生産はできないことが多いものの、むしろそれが希少性やオリジナリティの源泉となっていて、より愛されるという好循環になっていることが多いようです。

ただ、家具は様々なメーカーが販売しており、なかなかその違いは伝わりにくいものでもあります。うまく良さを伝えられなければ、大手ブランドや、大手のショッピングサイトにお客を奪われてしまうため、いかに自分達の良さ、個性を伝えるかに日々苦心されている方も多いのではないでしょうか。

今回は、こうしたアイアン家具やヴィンテージ家具を製造・販売している会社様にスポットを当て、どのようなネットショップやホームページを作っていくべきかについて考えてみたいと思います。早速、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 ディテール、ディテール、ディテール

神は細部に宿るとは良く言ったもので、家具ブランドの個性を表現するのはやはり、細部へのこだわり、ディテールに尽きます。もし、ホームページやネットショップ上で、こうしたディテールが伝わる写真を用意していなかったり、そうしたディテールの違いをしっかりと伝えられていなかったりするなら、それは大きな損失です。

きちんと言葉を書いている、という程度では意味がありません。業界関係者には伝わる表現でも、それが素人に伝わるかは別問題です。表面処理一つとっても、30文字程度でさらっと説明するのではなく、それだけで1ページ使って写真と文章でしっかり伝えるぐらいの充実度が必要です。

ヴィンテージものであれば当然そうですし、ヴィンテージ的な風合いを再現したものでも、一つ一つ表情が異なります。すべてを掲載することはできなくても、少しでもその風合いや質感を疑似体験できるように、写真や動画といったビジュアル要素も配慮してください。また、一般的な家具の基準で見ると傷や汚れ、ムラに見えるものも、ヴィンテージ家具においてはわざとだったり、味だったりということがあります。そうしたこともきちんと伝わるようなアングルの写真も忘れないようにしてください。

自分達のこだわりを伝えることは、そのまま自分達の違いを伝えることになり、さらには、競合の商品との差を明確にすることにつながります。あからさまに競合商品をけなすことは憚られるとしても、こうしたやり方であれば周囲の賛同も得られやすいのではないでしょうか。

Point.2 サポートの充実とアピール

アイアン家具やヴィンテージ家具ならでは、という面もありますが、家具を買った後のサポートをしっかりと訴求すべきです。もちろん、どういったケア方法をすべきかは情報提供すべきですし、万が一壊れた場合の対応や、どういった保証があるかも明確にすべきでしょう。お手入れに対する不安感を払拭することができれば、買うかどうかを悩んでいる人の背中を押すことにつながります。もともとの加工がヴィンテージだからといって、長く使い続けたいと思うのが人情です。

さらにお得な安心保証を準備することで、他との差異化につなげることも可能です。大手と戦っていくためには、いかに見込み客に安心してもらえるかが重要です。買う前、買った後両方で安心できるサービスを揃え、それをきちんと強い言葉でアピールするようにしてください。

Point.3 買い手との関係性を楽しむ

家具というのはとても長い期間使われるものです。売って終わりではもったいありませんし、長く使うものだからこそ、家具メーカーというのは買う前にも気軽にコミュニケーションできる存在であるべきだと思います。そこでもっともっと買い手との関係性を楽しむことを会社として心がけていきましょう。

具体的には製造現場の見学会を定期的に開催するのがお勧めです。また、受注生産型の販売方法であれば、買った後のまさに自分の家具が作られる様子を見られるように招待しても良いでしょう。どのような方法であれ、買い手と直接のコミュニケーションが増えれば増えるほど、そこには強い結びつきが生まれます。強い結びつきは直接的にリピートにもつながるでしょうし、ファンとなってくれた人は口コミで自社の宣伝役になってくれます。まさにいいことづくめです。毎週やる必要もありませんし、対応するスタッフの都合もあるでしょう。まずは四半期に一度や1年に1回などのペースではじめるのも良いでしょう。

会社の立地や製造工程等で、できるできないはあるとは思いますが、まずはできる範囲で良いので、顧客との関係性をどうやったら深めていけるか考えてみてください。ひとつの名物企画として顧客層に認知されるようになれば、ブランド化へ向けた貴重な顧客基盤になるでしょう。

暮らしとインテリアの大黒柱

家具が担う役割はとても大きなものだと思います。毎日当たり前に使うものだからこそ、質が高く愛着が持てるものであるほど日々の暮らしが豊かになります。さらに、インテリアは家具を中心に展開されるのでその役割はとても重要なものがあります。まさに、生活の要、大黒柱と言えます。

様々な選択肢が溢れる中で見つけてもらい、買ってもらうことは至難の業です。中小メーカーには中小メーカーなりの戦い方がありますし、大手には大手なりの戦い方があります。大切なことは自社のこだわりを研ぎ澄まし、しっかり伝え、買い手との関係性を育んでいくことです。その王道に寄り添えるようなネットショップやホームページを目指してみてください。

開発スタッフのコメント
IKEAやニトリのような大量生産型が市場を席巻している今、こだわり系のマーケットは、そのこだわりが十分でないと淘汰されてしまいます。商品にこだわることはもちろんですが、その商品を伝える場にも、同様のこだわりが必要ではないでしょうか。ホームページやネットショップ、それら、買い物客が目にするすべてがブランドを構成する要素であり、統一感ある作り込みが求められていると言えます。