低単価高頻度市場

パソコンが普及したことにより一定量の需要が減少したとはいえ、未だに文房具/ステーショナリーのマーケットは大きく、色々な方向性に細分化されています。日常的に使うペンから高級品と呼ばれる筆記具まで、様々な価格帯の商品が数多く存在しています。

こうした比較的低単価の商品を幅広くラインナップすることが文房具通販の特徴と言えるかもしれません。同時に、インターネットは簡単に比較ができるため、競合との価格競争も激化していると思います。価格以外にも、この店で買いたいと思ってもらえるかも重要であり、単なる事務用品業者をこえた存在になれるかが肝と言えます。

今回のテーマは、こうした文房具/ステーショナリーを専門に取り扱う通販サイトの構築についてです。利用者の目に触れる表側がやスタッフが使う裏側にどういった機能をもうければよいのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 名入れサービスに柔軟対応

文房具には、名入れができるものが多くあります。高級ペンなどに刻印を施すサービスもあれば、ファイルやノートに社名等を印字できるノベルティグッズサービスを展開しているところもあるでしょう。

こうしたオプション設定/対応をスムーズに行えるようにすることで、高単価の受注や大量発注を確保できるようにします。通販サイト上ではオプションが選択できるようにし、選択してはじめて詳細を書き込める画面がでてくるようにします。こうすることでオプションを利用しない人に手間を強いることなく余計な転換率低下を防止します。

他にもオプション設定できるようなサービスがあれば、どんどんと各商品に展開できるようにしましょう。宝の持ち腐れではないですが、商品価値にサービス価値を上乗せしていくのは非常に有効です。大口での購入を増やす効果を見込むこともできるので 積極的にアピールしていってください。

Point.2 発送手段を送料無料を複雑に設定可能

文房具には小さいものが多いため、メール便などのコンパクトな発送手段での発送を受けているところも多いと思います。単品買いの場合も問題ありませんが、複数の商品を購入する場合など、メール便対応商品とそうでない商品が混在した場合に判定が複雑かつ難しくなります。

「送料は注文確定メールでお知らせします」といった人力対応を行うのが現実的な対応に思えますが、スタッフの手間がかかりますし、利用者も最終金額がわからない/決済できないという不満を抱えてしまいます。この状況を打破するためにシステムを柔軟に設計しましょう。同時に、ルール作りを明確化し、顧客も、そしてスタッフも迷わない発送ルールを作り上げることも重要です。

メール便、宅配便それぞれに送料無料ラインを設定できるのはもちろん、商品が混在した場合にどの配送手段になり、いくらの送料を受け取るかという設定を細かく行えるようにします。また、どちらも選択できる場合には利用者にその判断を委ねる機能も設けることで、システムによる判断と利用者による選択の両面から判断精度を高めます。送料を低く抑えることは競合との差異化にもつながります。正確かつ低価格な送料提案を行えるようにしましょう。

Point.3 消耗品の定期便サービス

ペンのリフィルやプリンタのインクなど、文房具と呼ばれる範疇には様々な消耗品が存在しています。消耗品はすなわちリピート商材なので、是が非でも継続注文を獲得できるよう全力を尽くしましょう。

こういった消耗品を定期購入するサービスを設定します。期間と数量を予め設定しておくことで、次の発送間近になるとお知らせメールが届き、問題がなければそのまま自動注文、発送という流れでサービスが提供されます。あまりに細かく発送してしまうと送料負担分が大きくなるため、どれぐらいの頻度、量で発送するかにあわせて、価格が変化するようにするとリスク回避になります。

複数の商品にそれぞれのペースを選択できるようにしておき、企業内の購買担当の負担を軽減しましょう。さらに定期便サービスの利用で割引率を大きくするなどの対応を行うことで利用促進をあわせて行うことも重要です。少額とはいえ、こうした売上の積み重ねが年間では非常に大きくなります。決して手を抜かず、取りこぼしのないように対策しましょう。

大手に飲み込まれない独自路線を

文房具/ステーショナリー市場にはとてもとても大きなガリバー企業が多数存在しています。そういった企業と差異化して生き残っていくのは並大抵のことではありません。しかし、取り扱い商品や密着度合いなど、方法がないわけでもないはずです。

システムは直接商品になるわけではありませんが、事業戦略の重要なパーツにはなり得ます。独自路線を明確に定義した上で、そこにシステムの力を上乗せすることで激しい競争に挑戦し続けてください。

開発スタッフのコメント
大手の通販会社が力を入れている分野でもあるため、普通のやり方をしているとどうしても客をとられてしまいます。自社の強みをしっかりと見つめ、そこにあわせて通販サイトや販売管理システムを進化させていくことが必要に思います。規模では勝てなくとも、かゆいところに手が届くサービスや、特定ジャンルでの強い品揃え等、立ち回り方はいくつもありえます。次の5年を見据えながら、積極的なIT投資を行ってみてください。