中抜きモデルのインパクト

家具の中でも高価な部類に入るソファ。かつては高級品だったものが、コストカットのたゆまない努力によって幅広い価格帯で提供されるようになってきました。しかも安かろう悪かろうではなく、中抜きや大量生産によるコストダウンで、質を維持しながらの価格低下だけに驚くべきことです。

店舗を持たないネット専業ショップも登場し、価格競争は激化する一方です。同時にデザイン面での競争も激化しており、安いだけではなくデザインも良質でなくては生き残れない時代になったと言えるかもしれません。ハイブランドの高級品や有名デザインのリプロダクト品も人気ですが、専門店のオリジナルソファもたくさんの支持を得ているようです。

今回のテーマは、こうしたソファ市場で日夜戦うソファ専門店の通販サイト制作及び販売管理システム構築についてです。どのような機能を実装すれば自社の競争力につながるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 レイアウトシミュレーション機能を提供

ソファのような大型商品の場合、どこに設置するか、また、本当に設置できるのかが利用者の気になるポイントだと思います。こうした不安を解消するために部屋の広さを選択した上でソファを配置できるレイアウトシミュレーション機能を提供しましょう。

このシミュレーション機能にこだわりだすと3DだとかCGだとかといった話になってきますが、そこまでやると費用がとてもかさみます。部屋が何畳かにあわせていくつかの図面を用意しておき、その図面を選択して気になっているソファをマウスでぐりぐりと動かして配置できれば、開発コストを抑えながら利用者のイメージを膨らませることができます。システムとしてはソファのサイズさえ保存されていれば全商品に適用可能なので、スタッフの運用コストを考えても現実的です。3Dでスキャンできる仕組みも増えてきているのでそういった方向に詳しいスタッフがいるのであればモデリングにチャレンジしてみるのも良いでしょう。

さらに追加で投資するのであれば実寸サイズの平面型紙を作成し、希望者に郵送で送付することも検討の価値があるかと思います。自分の部屋に紙を広げてみて、壁との距離や動線確認が行えるのは大きな差異化要因になります。加えて、最近はVRやARで、家の写真に家具を重ね合わせて表示させるような仕組みの利用も増えてきました。費用はかさみますが、より大胆な投資を行うのであれば検討の価値はありそうです。

Point.2 保証管理も同一システムで

ソファのような大型商品の場合、長期の保証をつけている場合も多いと思います。こうしたアフターフォローの管理を紙ベースや別のエクセルファイルで行っていると、どうしてもミスが起こりがちです。買う側も、いつまでも紙の保証書を保管しないといけないとなると、非常に面倒という印象を与えてしまいます。

販売管理システムにアフターフォローを管理する機能を設けることでこうしたミスを未然に防止しましょう。顧客毎にアフターフォローの内容や修理対応の履歴、問い合わせ対応の履歴などを紐付け残せるようにしておきます。こうしておくことで、誰がいつ問い合わせを受けても統一された正確な対応を行うことができます。もう、注文明細を保管してもらう必要もなくなりますし、そういった紙を同梱する必要もなくなります。小さな工夫ですが、梱包時の手間が一つ減るのはメリットと言えるでしょう。

アフターフォローは満足度を左右する部分だけに、ミスを防止するのはもちろん、相手の期待を上回れるオペレーションを築けるようにしっかりと準備しましょう。

Point.3 納品事例を積極的に掲載

通販サイトに商品写真として掲載されているものは、商品だけの写真かモデルルームのような場所で撮影された写真だと思います。それだけでも十分に購買意欲を刺激する可能性はありますが、できる限り色々なパターンを見てイメージを膨らませたいと思うのが利用者心理です。

そこで過去に購入してくれた顧客にお願いし、納品事例ということで実際の設置された様子の写真を送付してもらいます。納品事例写真集をサイト内に設け、その商品が愛用されていることとどのように設置されているかを伝えます。自社ホームページに掲載するのが手間はかかるものの一番ですが、よりソーシャルメディア側に寄せるのであれば、X(旧Twitter)やInstagramで特定のタグをつけて投稿してもらうのを許容するのも良いでしょう。

納品事例には品番でタグをつけておき、該当の商品詳細ページから1クリックで移動してこれるように配慮しておきます。たくさんの納品実例の中から自分の好みや部屋の雰囲気にあったイメージを見つけてもらうことで、購買意欲をさらに高める効果が期待できるのではないでしょうか。

さらに協力的な顧客には、納品インタビューのようなかたちで、より詳しい話や写真を取材させてもらうのも良いでしょう。熱量のあるインタビュー記事は非常に説得力があるため、少しずつでも蓄積していけると良いと思います。

顧客基盤を徹底的に固める

人口の減少に伴い、インテリア関連の市場も明るい未来が待っているわけではありません。そこで重要になるのはいかにリピートを大切にし、そこから拡がる紹介効果を高められるかだと思います。

そのためのアフターフォローであり魅力的な商品開発です。新規を獲得する努力はもちろん重要ですが、顧客基盤から拡がっていく好循環を構築できるかがビジネスの成長スピードに大きく影響するのではないでしょうか。システムとそこから生み出される仕掛けの数々を駆使して、この難題に取り組んでいってください。

開発スタッフのコメント
インテリアの核になることも多いソファだけに、予算も大きく、その需要を様々な会社が取り合っています。競合と一言にいっても、非常に多様な業態のお店がすべて競合になってしまうため、集客から商品提案まで、専門店ならではの高いレベルが求められるのは言うまでもありません。他と同じことをしていると間違いなく埋もれてしまうため、競合よりも半歩、できれば一歩先行く施策を積極的に採用してみてください。