エクセル管理の限界

「エクセルと人力で回している現場を仕組み化したい」というご相談をいただいたのは、日本有数の知名度を誇る私立大学のIT担当部署の方から。毎年決まった時期に複数回募集される留学生寮の申し込み管理システムを構築したいというご要望でした。リモート会議ツールでの事前ヒアリングやお伺いしての打ち合わせ、ご提案を経て、留学生寮の申し込み管理や入退寮管理のシステムを構築するプロジェクトがスタートしました。

現場の声を聞く、聞く、聞く

実際にシステムを使われるのは学生部の職員の皆様だったため、基本的な仕様をこちらで固めた後、細部の動作や画面イメージは、現場の職員の皆様と徹底的に議論をしながら進めていきました。現場の職員の皆様にイメージしていただきやすいよう、グラフィックソフトで作成したデザイン案をベースに議論したり、実際に動作する簡易システムをベースに議論したりといった工夫を行いました。システムに必ずしも詳しくない方が多数参加される場合、こういったビジュアルやプロトタイプをベースに議論を深めていくやり方が非常に効果的です。議論を重ねていく中で、当初の要望とは違った機能を実装した方が良いという結論になったものも多くありましたが、こうした良い意味での変更が生まれる提案力が私達の価値だと評価いただくことができました。

立ち上げ後の進化もしっかり対応

システムとしては留学生向けのもののため、日本語、英語両対応は必須。あわせて職員の方が管理するための専用の管理画面も構築を進めました。昨今のインターネット事情を鑑み、スマートフォンでも使いやすいよう、レスポンシブデザインを採用しました。

年度末という区切りがあったため、スピーディーな対応が求めらたプロジェクトも予定通りに納品され稼働を開始。ただ、システムは実際に使ってみると良い意味での追加要望が湧いてくるもののため、そういった追加要望にも柔軟かつスピーディーに対応していきました。さらには初期構築時にはシステム化の対象になっていなかったことも追加で要望いただき、まさに進化するシステムとして現場の業務負担をどんどんと軽減していくことに成功しています。

導入後の保守、運用もスピーディーかつ柔軟に

システムの保守運用を併せて担っており、軽微な修正であれば即日対応の即日修正というスピーディーな対応でサポートしています。保守運用契約の範囲内でこうした修正対応はもちろん、昨今脆弱性発見が多いサーバー周りのセキュリティ対応、負荷監視も行っています。

こういったお悩みをお持ちであればご相談ください

管理業務負担が大き過ぎる

学生寮のように、複数の施設、そしてそれぞれの部屋といった具合に、管理すべき対象が多くなると、それに比例して業務量も大きくなってしまいます。学生寮以外でも、予約管理、施設運営を行う業態であれば、同じような管理業務の量の多さや、その複雑さを、大きな負担と感じておられる方も多いのではないでしょうか。エクセルのファイル容量だけがどんどん膨れ上がり、秘伝のタレ化してしまっているところも多いと思います。一度エクセルファイル内の参照関数が壊れてしまうと、直せる人が限られるといった状況になっているとしたら、情報管理上のリスクも高い状態と言えます。

入居、退居の管理はもちろん、そこに付随する必要な情報収集まで、システム化したうえで情報入力を受け付けることで大幅に省力化することができます。管理者に集中していた負荷が、各入居者に分散し、二度手間が消えるイメージです。入居者に分散するといっても、入居者にとってはかたちは違えど行っていたような作業なので、トータルとしての手間は確実に減少するでしょう。

どの部屋に誰を入居させるか、また、人気がある物件であればどのように抽選を行うべきかも含めて機能開発ができるため、属人的で非効率だった業務を一掃することも可能です。「まだシステム化するほどではない」と考えられている方や「予算をつけるほどではない」と消極的な方でも、システム化することのメリットをすぐに実感していただけるのではないでしょうか。

利害関係者が複数いて管理が難しい

学生寮を管理している部署の職員と、入居する学生、というだけの登場人物であれば簡単なのですが、実際にはそこに寮長であったり、寮の管理会社が関与してくるケースが多くあります。もちろん、そういった利害関係者の立場の違いを一切無視し、同じログイン権限を使い回すということもできなくはありませんが、情報管理、セキュリティ上、立場が違うのであれば、機能の制限や、情報閲覧の制限を行うべきです。利害関係者を信頼しているかどうかに関係なく、余計なトラブルを起こさないために、システムの機能として情報統制を行うことが全体にとって間違いなく最善策です。

例えば寮長であれば、自身が管理している寮の情報しか閲覧、操作できないようにするなど、「関係のない情報は見せない、触らせない」が基本方針になります。見えないようにしているだけだと、URLを直接変更することで情報を見放題になってしまうので、悪意をもったアクセスも行えないように、機能レベルで制限を行うことも非常に重要です。

性善説でセキュリティを緩くしておくことはお勧めできません。悪意がたとえなくても、学生によるいたずらもあり得るでしょう。もちろん、利用者が特定されうるシステムなため、いたずらに対しては罰則で立ち向かうことはできるかもしれません。ただ、何もインシデントが起こらないのがベストです。何かがあったときにどうするかではなく、何かが起きないようにあらかじめ工夫しておくことをお勧めします。

ルール整備、仕組み化されていないものが多い

システム化はしたいと思いながらも、運用ルールが整備されきっていないために二の足を踏んでいるという方も多いのではないでしょうか。確かに、システム化する以上、どのようなルールで判断するのか、という部分は明確になっている必要があります。ただ、そういったルール整備はシステム化に関係なく行うべきものであるのも事実です。

システム化を行う際には、そうした未整備のルールについても、システム側としてどのように整備して欲しいかをリクエストすることも可能です。何もないところからの整備よりも、こうしたケースではどうしたら良いか、といった指針があるだけでも楽になる場合もあると思います。第三者の意見やきっかけがあることで、改めて業務プロセスの見直しが進み出す、ということもあるでしょう。

ルール整備の問題でシステム化を諦めるのはあまりにもったいない話です。多少荒削りな運用を行われている場合でも、システム化の過程を通じてルール整備を精緻化していくぐらいの心づもりで取り組まれるのも良いでしょう。システム刷新を契機に、業務フローの単純化や、無用なステップの廃止などを検討することをお勧めします。


当社では、信頼性が求められる案件はもちろん、発注者と使用者が異なるために要件定義がしにくい案件も得意です。ご相談はもちろん無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

» システム開発について