オーダーメード以外の選択肢の提供

留学生寮の管理には多くの業務が伴います。理想論をいえば、そうした業務をすべて踏まえて上で作り上げるオーダーメード型のシステムですが、どうしても初期投資としての費用が大きくなってしまいます。そうした予算を正当化できるほど管理部屋数が多い場合や、複雑な業務フローを伴っている場合はオーダーメード型のシステム開発をお勧めしていますが、管理部屋数がそこまで多くなかったり、比較的にシンプルな運用フローだったりする場合には、ある程度の汎用性を許容できる場合があります。

そうした場合に有力な選択肢になるのが、月額費用だけで利用できるクラウドサービスです。ただ、大学事務局の留学生寮管理にフィットする選択肢は少なく、結局はExcelやAccessを駆使して職員が人力で対応している、という現場が多いのが実状でした。そうした方々に現実的な選択肢を提供すべく、今まで複数の留学生寮管理システム構築で培ったノウハウを基に、クラウドサービスとしての留学生寮入退寮管理システムの構築がスタートしました。

充実した基本機能と、設定制御の共存

留学生寮の入退寮を管理する業務は、基本的な流れはどこも似通っています。募集期間内に申し込みを受け付け、審査し、入寮者を選定。その後は入寮日の確認や退寮日の確認を行っていくという流れです。こうした基本的な流れは設定無しで利用できるようにする一方で、大学によっては異なりうる項目を設定制御にすることを重視しました。

例えば留学生の生活をサポートする役割を持ったRA(DA)などを採用している場合、そうした方々には報酬を支払うための銀行口座情報を追加で取得する必要がありますし、報告書を提出させているのであればそういったファイルを提出できる機能も必要になります。ただ、こうした機能が不要な運用であれば邪魔なだけになるため、設定のON/OFFをできるようにすることで、機能を使う/使わないの選択が行えるようにしました。また、そういった設定のON/OFFが募集によって異なる場合も考慮し、ある母集団のときはON、普段はOFFといったことが簡単に行えるよう、募集パターンを登録できるようにしています。

黒子に徹してブランディングにも配慮

サービス利用者は通常でもブランディング上の影響が少ない専用のサブドメインが割り当てられますが、さらに高度なブランディングを行えるよう、自前のドメインでもアクセスできるようにしました。DNSのCNAMEレコードが設定できることが条件にはなりますが、大学共通のドメインとの統一性を持たせることで、「外部サービスを使用している感」を低減できるように配慮しています。

加えてSMTP情報を登録することで、自前のメールサーバーからメール送信を行えるようにもなっています。昨今、迷惑メールフィルタをかいくぐって相手の受信トレイに届けるのがますます難しくなっていますが、大学側の送達性の高いメールサーバーを利用できる場合には、その恩恵に預かることができるようになっています。

積極的な機能開発体制

クラウドサービスは複数の利用者が共用するため、個別の事情に対しての機能開発は消極的になるのが一般的ですが、機能追加を積極的に行える体制を構築しました。たとえそれがたった一つの入力欄の追加であっても、全体の利益になると判断されるものについては積極的な機能強化を行っています。

機能強化だけでは画面がどんどんとわかりにくく、また、その機能を利用しない人にとっては目障りになるリスクがあるため、あくまで設定管理できるようにするなど、機能追加の際のフローについては細心の注意を払っています。クラウドサービスでありながら専用サービスの使い心地に少しでも近づけることをあきらめない姿勢と体制が、サービスの進化を支えています。

» クラウド留学生寮管理システム Dormfor

こういったお悩みをお持ちであればご相談ください

クラウドサービスをはじめたい

定期課金(サブスクリプション)のビジネスモデルが一般的となり、便利な機能をクラウドサービスとして提供する企業が増えてきました。そうしたクラウドサービスにビジネスチャンスを感じている方も多いのではないでしょうか。定期課金は典型的な積み上げ型のモデルのため、収益が安定化しやすいメリットがあるのは大きな魅力の一つでしょう。

私たちは最終的なシステムの開発だけを請け負うことももちろんできますが、企画段階からお手伝いすることも可能です。企画段階から関与することで、マーケティング的な視点での拡がりはもちろん、システム面でのポイントを抑えることも容易になります。また、サービスの成長にあわせた投資計画や開発計画も精度高く立てられるようになるため、サービス立ち上げ期にありがちな様々な無駄を削ぎ落とすことができます。クラウドサービスは作りきりのシステムではなく、常にメンテナンスと進化が求められるものでもあります。立ち上げに全力をあげるのは当然ですが、その後の展開も視野にいれて、体制作りを行う必要があるのは言うまでもありません。

また、サービスが当初の構想通りに成長するとも限りません。時には軌道修正も必要になるかもしれません。むしろ、最初に作ったままで、当初の想定通りに成長するほうが珍しいかもしれません。そうした時に小回りの利くパートナーとして、成功の確率を高めることに貢献できればと思います。

テナント型のシステムを開発したい

大規模なシステムではなくても、直接利用者と結びつくシステムではなく、システム提供者→テナント→利用者、といった構造のサービスを提供したいという方も多いのではないでしょうか。BtoBサービスでは多い構造のため、システムとしてはそこまで珍しいものではありませんが、セキュリティやデータの持ち方等、通常のシステムとは異なる部分も多く存在しています。

URL一つにしても、サブドメインでアクセスできるようにするのか、パスを区切ることで分化させるのか等、考慮すべきことはいくつもあります。また、システム提供者としての管理画面や、サポート権限でのアクセスをどう実現するかについても様々な方向性があり、自社の要件にあわせて適切なものを選定していく必要があります。もちろん、複数のテナントが一つのシステムに同居するがゆえのセキュリティ対策も高いレベルで必要になるでしょう。

サービスの想定規模によっては負荷対策をどう行うのか、データベースは分割するのか、共存なのか、スケールアウトまたはスケールアップをどう見越しておくのか等も重要な視点になってきます。システム開発力が重要なのはもちろんですが、こうしたテナント型システム特有の事情を考慮できるかどうかが、永く活躍するシステムにできるかどうかを左右すると言えます。

自社システムをサービス化したい

すでに業務システムをお持ちで、その機能や使い心地に満足されている場合、そのシステムを外販できないか、と思われたことがあるかもしれません。実際に、自社で使っているものをサービス化している例は世の中に多く存在し、自らが利用者でもあるためにきめ細かいサービス設計が可能という利点があるのも事実です。ドッグフーディングという言葉が海外では使われたりしますが、自社で使っているからこそ、便利で使いやすいシステムが出来上がるという考え方は、非常に納得のいくものでもあります。

一方で、自社でしか使わないシステムと、他の企業も使う可能性のあるシステムは、似たようで全く異なるものです。処理の多くは共通化できるかもしれませんが、ベースの部分での再設計が必要なため、そのまま転用というわけにもいきません。最初の段階からそうした外販を見越した設計になっていない限り、作り直しに近いレベルでの開発投資が多くなることがほとんどです。

とはいえ、多くの開発投資を必要としても、その後に大きな売上が見込めるのであれば投資する価値はあります。潜在顧客の数やアプローチ方法に見通しが立っているのであれば、一度ビジネス上のシミュレーションを行うことをお勧めします。どのレベルの費用、どのレベルの利用者であれば黒字化するのかといった経営レベルでの話も含めてお手伝いすることが可能ですので、取り組みの確度如何に関わらず、ご相談いただければと思います。


当社では、クラウドサービスの開発を、パートナー企業として支援することが可能です。ご相談はもちろん無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

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