風通しの良い組織が求められる潮流

企業の成長と、企業組織の強さは、切っても切り離せない関係と言えます。成長する組織は、やはり成長する要素を持っており、その要素の一つが適切かつ的確な人材評価の仕組みではないでしょうか。人材評価が適切に行われれば、評価基準に沿った人材が育成されることにつながるため、組織全体での人材レベルが自然と向上していきます。

360度評価に代表される、様々な手法が編み出されている領域ですが、その基盤自体をシステム化する動きも活発です。昨今ではAIを活用して退職率を下げようとする試みもあり、今後も様々な展開が予想されます。

今回は、こうした人材評価や面談、レビューを支援するシステムについて考えてみたいと思います。どのような仕組みにすれば、働く人も、管理する人もハッピーな状態にできるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 情報の公開/非公開を柔軟にする

こうした人材評価システムを考える際に重要になるのは、現在の人事制度との親和性です。人事制度としてオープンな社風を目指しているのに、人材評価システムがその逆の性質をもっていては意味がありません。制度と評価は常にシンクロしながら組織の成長を支えるべきです。

例えば誰かに対する評価であれば、会社の方針的に全社的に公開、というところもあれば、それはさすがにちょっと、ということもあると思います。さらには、部署単位や階層単位というわけでもなく、あの人とあの人にだけ公開・共有したい、といったケースもあると思います。

こうした、誰が評価し、誰が何を書き残し、それを誰が見ることができるか、といった情報の交通整理は柔軟にできるようにすることをお勧めします。この部分は会社の社風や方針に依存するため、その方針にあわせた情報統制を行ってください。

Point.2 前向きな機運が高まる仕掛けをほどこす

人材評価と書いてしまうと、減点法のようなネガティブな側面もありますが、基本的にはより上を目指していくための前向きなものであるべきです。上司から部下、部下から上司、同僚から同僚といった、それぞれの評価の流れの中でも、自然とポジティブな議論が行われるような設計にすべきです。

例えば日常的な感謝を「いいね」のように付与できるようにし、それをレビューの際に振り返るのも良いでしょうし、評価の際の質問を工夫するのも一つでしょう。また、仕事人として、一人間として、色々な側面で評価を分けるというのも有効かもしれません。評価自体は評価者によってどうしてもばらつきが出るものですが、前向きなムード作りはそれに関係なく実施可能です。「いいね」の評価が大量に行われて多少のインフレ気味になっても良いでしょう。後ろめたいものではなく、前向きにお互いを評価する雰囲気作りを重視してみてください。

Point.3 目標、評価、戦略を蓄積、視覚化する

人材評価のシステムは、ある一定の人事考課の時期だけしか使われないものであってはもったいなさすぎます。日々、レビュー内容をもとに行動すべきですし、必要であれば、個人としての行動指針や目標を更新していくべきです。導入したときだけ活用されたものの、その後は閑古鳥がないているという事態にならないようにしなければなりません。

出退勤等、既存のシステムと統合して導線をスムーズにするのも一つですが、それが難しい場合は、システムから定期的な通知を送り、自身の行動を省みるようなきっかけを提供するのもお勧めです。あまり頻度が高いとうっとおしいだけですが、前回のレビューの内容や、現状の進捗などを添えて通知すれば、擬似的なコーチングの効果を期待できます。

過去の目標設定とレビューは同じ場所に蓄積していくべきでしょうし、自分自身での振り返りはいつでもすぐに行えるような画面設計やデータ設計にすることをおすすめします。

ずっと働きたくなる環境作りを

人材評価は、給与算定のための事務的な手続きにとどまりません。部署への不満、会社への不満はもちろん、その人の周囲で起こっている課題を発見するまたとない機会です。人材評価システムを軸にした組織全体での前向きなコミュニケーションが、強い組織を作る礎になります。その時かぎりになりやすい紙やエクセルでの管理に決別し、集中管理と多機能化による組織活性を図ってみてください。

開発スタッフのコメント
働き方にもトレンドがあるように、人材評価の手法や面談手法にもトレンドがあります。いずれにしても人と人とが話し、相互に理解を深め、目標に向けて努力していくという部分ではそこまで大きくずれないのではないでしょうか。こうした人事レビューや評価の振れ幅を小さく、かつ継続的なものにするためにも、支援システムの構築は有効です。評価する側もされる側もストレスなく使えるシステム作りを目指してみてください。