脱セクショナリズム

従来の、科目ごとに医者にかかる時代から、ペインクリニックのように特定の症状を横断的に司る形態が認知されるようになってきました。

一昔前までは少数だったペインクリニックも、意欲的な麻酔医の増加と、それを求める患者数の増加により、今では主要な駅には必ずあるといった状況になってきたように感じます。需要の大きな地域には、同じ駅前に複数のペインクリニックがあるという状況も珍しくありません。同時にペインクリニック自体の認知度も高まっています。

競合数の増加はイコール、競争の激化につながります。既に開業されている方も、これから開業される方にとっても、いかにして地域の中でよい意味で目立ち、支持されていくかが大きな課題ではないでしょうか。リピート傾向が強いとはいえ、継続的に新規患者を獲得していかなければ、なかなか予約数は安定しません。

今回はこうしたペインクリニック特有の事情も考慮にいれながら、いかにしてホームページ施策を考え、実行していくべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point1. 麻酔以外への精通もアピール

ペインクリニックを開業する以上、麻酔に関しては専門医だと思います。ホームページでは当然「院長あいさつ」や「院長プロフィール」といったページで親近感を醸成し、専門性をアピールする必要があるため、そうした麻酔医としての経歴も記載されていると思います。

その一方で、麻酔以外のことには言及されていないケースを見かけます。もちろん、専門医であるのは麻酔なので、控えめにいえば正しいのかもしれませんが、患者さんが求めているのはあくまで自分の抱えた痛みの治療であり、「麻酔にだけ詳しい」という印象を与えてしまっているとしたらもったいなさすぎます。

例えば腰痛であれば整形外科的な知識をアピールすべきでしょうし、頭痛やその他の痛みでは内科的な経験をアピールする必要があるかもしれません。それが学会活動や、各種セミナー活動でも構いません。麻酔にとどまらない知識をしっかりとアピールすることで、「この人なら私の痛みを解決してくれそう」と思ってもらえる中身作りを心がけてみてください。

場合によってはより特定の疾患に精通した専門医や専門家とのコラボレーションも良いかもしれません。特定の曜日に診察や相談会を開催したりするのも良いでしょう。自分たちの強みをアピールしつつも、連携体制にも言及することで、より安心感を訪問者に持ってもらえるでしょう。

Point2. 診察の流れをメニュー別に提示

ペインクリニックでは、他のクリニックと違い、安静時間を伴う治療があります。そうしたことは初診の方にはなかなか伝わらないため、各治療方法ごとにどういった流れで治療が行われるかをしっかりと発信しましょう。

中身としてはほぼ同じものがいくつもできることになりますが、あくまで「自分のケース」を知りたいのが訪問者の心理です。治療したいこと別に、想定される治療の流れを写真入りで掲載し、費用感や所要時間も可能な限りあわせて掲載してみてください。あらかじめどういう流れで治療が行われるかがわかれば、安静時間の過ごし方も事前準備ができます。注意事項等もわかりやすくまとめておけばより良いでしょう。安静時間を過ごす場所の写真も、遠くから全体を撮った1枚だけでなく、個別のベッドや椅子の様子がわかるような写真も用意できるとなお良いでしょう。

Point3. エリアを絞った効率的な露出戦略

ペインクリニックの大半は駅前立地と思いますので、何かしらの看板施策は既に実行されているかもしれません。他にも地域冊子への広告出稿などもよくある施策ですが、検索連動型広告への出稿は是非お勧めします。

商圏の地域名とペインクリニックを連想する言葉で検索している人に広告を露出させることができ、非常に効率的に集客を行うことができます。加えて、地域指定でも見込み客に対して露出することができますので、あわせて行うと効果的です。最寄駅への看板掲示と同じく、場所と紐づくからこそインターネット上の集客も効果が高まります。

広告は落ち着いてから、ではなく、最初のスタートダッシュで投資すべきです。いかに早く自然拡大の母数を確保するかがその後のクリニック経営の安定化に重要ですので、筋肉質な広告戦略をバランス良く組み上げてみてください。また、効果があった出稿にはさらに投資額を増やすなどして、メリハリのある広告運用を行うことをおすすめします。ほったらかしでの運用でも最近はリスティング広告側がある程度の最適化を行ってくれますが、より細かく行うのであれば専任の担当者や外部の運用業者の活用も視野にいれてみてください。

専門型と横断型のせめぎあい

まだまだクリニックの主流は専門型医院です。内科、整形外科、耳鼻咽喉科と、「どこに疾患があるか」で細分化されているのがまだまだ一般的です。一方で、昨今のかかりつけ医の流れもあり、総合的に診断し治療する横断型もこれから勢力を増していくことは間違いありません。

「痛み」という軸で横断するペインクリニックはその最右翼です。このチャンスを逃さずに、確実に患者さんの支持数の増加につなげてみてください。

開発スタッフのコメント
痛みを抱えていない人よりも、痛みを抱えている人のほうが高齢になればなるほど多くなります。そうした背景を味方にして成長してきたのがペインクリニックですが、同時に競争による淘汰がはじまっています。こうした中ではホームページやインターネット集客にも継続的に投資を行う必要があるのは言うまでもありません。とはいえ、そうした積極的な集客に及び腰な医院も多いため、それほど集客の競争度合いは厳しくないことも多いです。これを好機と捉え、できる範囲ででもインターネット集客を強化してみてください。