予約管理にしても、施設管理にしても、何かしらのシステム導入を検討した際に問題となるのが「どういったかたちでシステムを準備するか」ではないでしょうか。昔はシステムというと大企業だけのもので、基本的にはすべて独自システム構築という形態でした。システムがこうして中小企業にも活用しやすいものとなるとは想像すらできない時代があったのも事実です。

そこにパッケージソフトの形態でカスタマイズして販売する企業が出てき、昨今ではさらにお手軽な月額レンタル、俗にASPサービスと呼ばれる業態も普及してきています。クラウドという言葉が普及するにつれ、ASPサービスの種類も増え、今では各業種向けの専門サービスが複数ひしめき合う状態になっています。SaaSという言葉を聞き慣れている方も多いのではないでしょうか。

このような中で、果たして自社はどういった方法でシステムを準備すべきなのか。いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 「とりあえず」「安く」なら月額系サービス

まだ事業を開始したばかりでリスクやコストを最小限にしたい場合であれば、月額利用系のASPサービスを利用することをお勧めします。中にはレンタルなのに月額コストがとても高いものもありますが、それでも独自構築する場合に比べると、短期的には安くなります。また、契約期間の縛りが短めであれば、撤退した時の被害も最小限にできるメリットがあります。

ただ、こうした月額課金であっても、初期カスタマイズ費として多額の費用を請求されたり、契約の縛りが厳しく、実質的に機動力をそがれたりしてしまう場合は注意が必要です。また、長期的に利用し続けるにはどんどんコストパフォーマンスが悪くなっていきますので、多少赤字がでても数年は継続していく、という事業であれば割高になる場合も少なくありません。リスクを抑えられるということは、その分の費用が価格にのっているというのが世の常ですので、事業計画と照らし合わせて、本当に割安なのか検討してみてください。

また、月額課金サービスの制約により、自社のビジネスモデルの成長スピードがスローダウンしないかもチェックしてみてください。特殊な要件がなく、問題ない場合には良いのですが、「この部分が人力対応になる」「この部分のミスがふえる」という問題をはらんでいると、成長スピードに悪影響を及ぼす場合があります。そうした場合には、シンプルでも最初から独自システムを検討したほうが良い場合もあるでしょう。もちろん、段階的に検討することも可能ですので、最初は月額利用のSaaSサービスを利用して、自社に何が必要かが明確になってから独自システム化を検討するのも良いでしょう。

Point.2 「徹底効率化」なら独自システム構築

一般的に、月額で利用できるサービスや、パッケージソフトのようなものは、どうしても最大公約数的な機能設計になるため、不要な機能が多く画面が使いづらかったり、自社が必要な機能が足りなかったりと、かゆい所に手が届かない仕様になっていることがよくあります。自社向けにカスタマイズすることはもちろん可能ですが、カスタマイズ費は全く別の見積もりになり、費用も決してお値打ちではありません。

自社が特殊な要件を抱えているという場合や、完全に自社の都合にフィットしたシステムにしたいという場合は、独自システムの構築が間違いなくベストです。必要なものを追加できるという以上に、不要なものを削ることで操作性が高まりますし、思った以上にコスト差が発生しない場合もあります。独自システムの構築費以上に人件費を下げる余地があるのであれば、有力な選択肢として検討してみてください。

ただ、独自システムは自社ですべてをコントロールできるかわりに、勝手に新しい機能が追加されたりはしません。機能を追加するのもすべて自分たち次第ですので、変化する市場環境にあわせて継続的にシステムを育成していく覚悟が必要です。また、システムは生き物です。作りっぱなしでは中長期的に問題になる場合があります。定期的なメンテナンスや運用保守が行える体制が整っているか、それを依頼できる予算を確保できているかのチェックも必要でしょう。

Point.3 「強み」にしたいなら独自システム構築

独自システムはその名の通り、世界中どこにもない、あなたの会社だけのものです。それはすなわちシステムが強みになることを意味し、他の会社が真似をしようとしてもなかなか追いつけない状態をつくることできることを意味します。

月額利用のASPやレンタル系のシステムでは、誰でもそのサービスを利用すれば同じ機能を利用でき、同じ業務効率を実現することができます。これでは競合と差はつきませんし、最悪の場合、競合に差をつけられてしまう可能性もあります。システム以外の部分での勝負になるため、そこで会社として劣ってしまうと、なかなかその差を埋めるのは大変です。

「あそこの会社はどうやってるんだ!?」と競合に驚かれるようなシステムが理想です。何でもシステム化できるわけではありませんが、人力の部分とシステムの部分をうまく組み合わせることで、競合よりも効率的な業務フローは構築することができます。もう一歩競合に差をつけるために投資したいという場合は、独自システム構築を有力な選択肢として検討してみてください。ITの活用が不可避な昨今のビジネス環境で、システム中心に強みを構築していくのは理にかなっていると言えます。

会社、時期、常にベストな選択肢は変化

どういったシステムを採用すべきかは、会社の規模や業態、そして成長ステージによっても変化します。1年前は非現実的だった選択肢が、今はベストな選択肢になるということも珍しくありません。大切なのは、システムはよくわからないからと思考放棄をせず、攻めの視点でシステム導入を考えることです。

当社は「強みになるシステムを創る」ことをモットーにしています。もし攻めの視点でシステム導入を検討されているなら、お気軽にご相談ください。