異種格闘技の様相

近年はマッサージ店の増加や、ストレッチを軸にした健康増進業態、その他ヨガ等、従来からの健康路線業態の増加もあり、整骨院のマーケットは異種格闘技の様相を呈しています。もともとの数が非常に多いところに、新規開業も続いており、ますます競争環境は激しくレッドオーシャンと呼べるでしょう。高齢化を背景に市場はまだまだ大きいとはいえ、それ以上に店舗数の拡大が激しく、顧客の奪い合いは激しさを増すばかりです。

腰痛を治したいというニーズに対してもたくさんのソリューションが存在する中、単純に待っているだけではなかなか集客しきれない状態が続いている方も多いのではないでしょうか。

市場環境が激しくなることは一見マイナスに見えますが、市場が盛り上がってきていることでもありチャンスでもあります。この盛り上がりを自分達の追い風に変えるために何ができるのかいくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 ターゲットごとの内容充実

整骨院のホームページを見ていると、色々な治療に対してすごい、とだけ謳っているホームページをまだまだ見かけます。施術の技術はある程度共通化できるものなのかもしれませんが、これでは他の専門化した競合院や競合業態に比べると見劣りしてしまいます。

腰痛なら腰痛、首なら首、肩なら肩と、施術メニューごとに、しっかりとした内容で専門性をアピールしてください。もし特に強いメニューがあるのであれば、それだけを際立たせるのももちろん有効です。ホームページでそれを表現しきれないのであれば、別の専門施術用のホームページを立ち上げるのも有効です。領域ごとに専門サイトを立ち上げることで、より狭いターゲットに対して深いメッセージをうてるようになり効果が高まります。また。特化したサイトに十分なコンテンツを用意することができれば、SEO的にも非常に有用です。

Point.2 施術者のアピール

どういった施術があるかも大切ですが、どういった人が施術するのかもとても大切です。最近勢いを増すチェーン店ではどうしても手薄になりがちな施術者アピールですので、しっかりアピールできれば大きなチャンスになり得ます。

院長の経歴をまずしっかりとアピールしてください。どういった経験を積んでいて、日々どういった努力をしていて技術を磨いているのかが誰にでも伝わるように平易な言葉で書きましょう。資格や勉強会等、裏付けとなるものがあるなら掲載しましょう。その際、修了証のような視覚に訴えるものがあるのであればホームページや院内に積極的に掲示するようにしましょう。一見、輝かしく見えないような経歴でも、本物感が伝わるのであれば問題ありません。見せ方でプロフェッショナル感を高めることができる場合があるので、情報掲載には積極的になるべきです。

働いているスタッフも同様にタレント化が可能であれば取り組むべきです。得意な領域は人それぞれ異なるでしょうし、趣味や経歴も異なると思います。そうしたものはすべて個性であり、貴重な資産です。

Point.3 地域一番店への執着

上記のような土台作りはもちろん大切ですが、近隣商圏の中で一番店であることへ徹底的にこだわってください。お店の内装や規模を変更することは難しいかもしれませんが、評判や情報発信の充実度、お店の利便性など、地域で一番をとることで集客や口コミに直結する要素がいくらでもあります。

日々の施術に追われているとこうした競合意識がどうしても下がりがちですが、常に利用者の頭の中では多種多様な選択肢との比較が行われていることを忘れないでください。少しでも油断すればすぐに競合に奪われてしまいますし、一度去ってしまった利用者は決して戻ってきません。今も通ってくれている人が「やっぱりここが一番だね」と思ってくれ、これから来るであろう見込み客が「ここがこのへんなら一番よね」と感じてもらえる店作りへの執着を忘れないでください。

客数が増えていくと同時に、既存客の快適さを下げない努力も行ってください。集客増は同時に既存客の店離れを引き起こしてしまいがちです。予約のとりやすさや院内での快適さなど、客数増とあわせて対策と投資を行って同時に解消していくべきです。時には常連さんや新規のお客さんにお店がどうしていくべきかを尋ねる機会があってもいいかもしれません。グループインタビューのような形式ばったものでももちろん良いでしょうし、雑談の中でさりげなく尋ねるのでも良いでしょう。

良い店は残るという絶対ルール

冒頭で多種多様な業態が常にうまれていることをお伝えしましたが、健康に対する需要は衰えるどころか増え続けています。それはこの人口減の時代に珍しい領域でもあります。このチャンスをものにできるかどうか、新しい試みも含めて今一度集客施策を検討してみてください。