働く女性を支援

女性がキャリアを積んだり、社会で重要な役割を担うようになってかなりの時間が経ちましたが、まだまだ働く女性を取り巻く環境は整備されているとは言えません。

少子化の進展と共に状況は緩和しているようにも見えますが、保育園の待機児童問題は毎年のように話題になりますし、特に都市部では、親も頼れない共働き家庭の悲鳴ばかり聞こえてくるように感じます。こういった状況を解消するために、ベビーシッターの派遣サービスも増えてきていますが、まだまだ充実度、価格等、課題は多いようです。福利厚生の一環として補助を行ったり、行政単位で補助が行われていたりするため、今後もまだまだチャンスが多い業界でもあります。

今回はこうしたベビーシッターの派遣サービス、マッチング・予約サービスのシステムについて考えてみたいと思います。複数の関係者が絡むシステムで、どういったポイントに気を付けて構築すべきか、早速整理してみましょう。

Point.1 本部スタッフ、保育スタッフ、利用者を一元管理

ベビーシッターの派遣サービスを運営する場合、本部の企画管理スタッフに加えて、協力してくれているベビーシッターのような保育スタッフ、そしてサービスの利用者という3タイプのユーザーが想定されます。効率性が高く、リアルタイム性を担保するのであれば、同じシステム上で一元管理するのがベストです。システムの規模は必然的に大きくなってしまうが、別々のシステムにわけて管理するよりは、それでもなお管理しやすいと考えます。

もちろん、セキュリティリスク等を考えて、全く同じURLや同じセキュリティ要件でアクセスできるようにする必要はありません。同じデータを参照するようにして、スタッフ用の管理画面や、ベビーシッター用の管理画面を意図的に分けて構築したりといったことも可能です。将来的にスマートフォンアプリを作成する予定があるのであれば、そのための機能を組み込んでおくことも重要です。API機能をつくっておけば、別システムからの呼び出しや連携にも柔軟に対応しやすくなります。

利用ユーザーによってできることを適切に制限することで、誤動作や情報流出のリスクを最小化することができます。当たり前に動き、当たり前に守られている状態を実現することはもはや現代のシステム構築において必須要件と言えるでしょう。

Point.2 ベビーシッターへのコミュニケーション強化

常に本部に待機しているベビーシッターを派遣するスタイルであればそれほど問題にはなりませんが、自宅待機の在宅ベビーシッターを派遣するスタイルの場合、確実かつ迅速に連絡がとれることが重要です。もちろん本部スタッフが電話をかけるという手間を惜しまなければ確実性があがりますが、それではいつまでたってもたくさんのマッチングをさばくことができません。

電話の自動発信、ショートメッセージの送信、メールの送信等、システムに担わせられることはいくらでもあります。主となるものをシステムにし、スタッフはそれの運用状況が適正化を監視・チェックする体制にできれば、少ないスタッフでも多くのマッチングをケアすることができます。ベビーシッターやスタッフのITリテラシーも考慮にいれて、連絡業務をシステムが担えるようにし、業務効率を高めましょう。

待機している人がスタンバイ状態なのか、離席しているのかも反映できるようにするのも一つです。働き方の多様化でベビーシッターの流動性が高まっている場合には、こうした臨機応変な対応ができることが強みになりえる場合があります。

Point.3 今すぐ申し込みに対応

ベビーシッターサービスの予約のうち、計画的な先の予約は問題が起こりにくいと思います。ベビーシッターのマッチングも余裕を持って行えますし、全てが予定通りに進む限り何の問題もありません。とはいえ、競合ひしめくなか、緊急性の高い需要も獲得していく必要があると思います。そういった時に、「どれぐらいまで直前予約を受け付けられるか」がサービスの強みにもなり得ますし、システムの真価が問われる局面ではないでしょうか。リスクを無視すればいくらでも受けられますが、予約したのに実際は利用できないというのは、顧客体験としては最悪のものになってしまうため、そうならないようにする必要があります。

事前にベビーシッターにいつでも出動できる状態を申請できる機能を設け、その人の活動範囲内の緊急予約であれば「今すぐ予約」ができるようにしましょう。対応できるベビーシッターがいないエリアではそのボタンが押せないようにし、ミスマッチが起こらないようにします。また、多少距離があっても対応できる場合は、利用者の住所とベビーシッターの住所から移動時間を算出し、「この時間以降であれば・・・」というかたちで緊急予約を受け付けてしまうのも一つの方法です。

どうしても緊急で必要な場合は、スタッフがベビーシッターを探すというイレギュラー対応をするのもありではありますが、そこはサービスの方針に準じて機能開発すべきです。このように。サービスの方針に完全にあわせられるのも独自システムの良さです。

利便性をどこまで高められるか

たくさんのベビーシッター派遣サービスがひしめく中、いかにサービスの質を高められるか、そしていかに便利にできるかが今後の淘汰を生き抜いていくために必要と思います。

人力での対応はいつか破綻します。仮に今はまわっていたとしても、本格的に成長段階に入ったときに崩壊し、せっかくの成長のチャンスがクレームの山に変化してしまっては元も子もありません。利用者含む関係者の利便性を高め、成長を下支えするシステム投資を、是非検討してみてください。

開発スタッフのコメント
突然の病気を筆頭に、共働き夫婦であればなおさらベビーシッターの有効活用なしに育児と仕事を両立しづらいのは今後も続くことが予想されます。会社の福利厚生としてこうしたサービス利用に補助金を出すところも増えてきており、スポットスポットでの利用は今後も増えていくのではないでしょうか。一方でベビーシッター系のサービスのトラブルがニュースになることもあるため、サービスの質とその安定感が問われる時代になっていると言えます。サービスの満足度を高めるのはもちろん、システム化を通じてトラブルを未然に防止する強い土台作りを行ってみてください。