個性化の時代

人口が増え続けていた昔、テーマパークが数多く生まれ、そのうちの多くは、平成や令和の時代になって閉鎖されていきました。今もなお生き残っているテーマパークは、鉄道系の母体をもったところか、大規模投資を成功させてきたテーマパークかのどちらかでしょう。それほど、テーマパークや遊園地にとっては難しい時代になってきました。

今となってはショッピングモールのような施設も競合になり得ますし、ますますターゲットの余暇の時間は少なくなってきています。スマートフォンのようなものも競合としてカウントすれば、生半可な差異化では足を向けてもらえない時代とも言えるでしょう。テクノロジーを使った体験型の施設も増えており、単純にアトラクションがあれば人が来る、という時代でもないようです。

一方で、直接の競合となるテーマパークや遊園地が減ったことで、チャンスも生まれています。アトラクションや広いスペースを活かしたイベントなど、他では提供し得ない価値があることも事実です。

今回はこうしたテーマパークや遊園地のホームページ制作や更新管理システムがどうあるべきかについて考えてみたいと思います。早速いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 運用の手間を減らし、質に注力

テーマパークのホームページのコンテンツにも質が求められる時代になってきました。以前であればお出かけ雑誌の取材対応さえしていれば、あとはその雑誌がお客さんを連れてきてくれましたが、競合も増え、直接ホームページが情報源として見られるようになった今、格好のプレゼンテーションの場として自分達のホームページを活用しない手はありません。

とはいえ、旧来ながらの運用体制では手間や各方面との調整でがんじがらめになっているところも多いでしょう。また、MovableTypeやWordpressのようなコンテンツ管理システムを導入したものの、使用している機能やプラグインの影響で、思うようにアップデートができず、使いにくさが残ってしまっているところも多いと思います。また、動作速度が遅かったり、表示速度に問題を抱えているケースも散見されます。そのような状態では、ユーザー体験も高いとは言えません。

ホームページで重要なのは中身です。その中身の質に注力するためにも、こうした運用の手間は軽減すべきです。それが仕組みの修正や入れ替えを伴うものであったとしても、次の10年を見据えた投資を行うべきだと思います。リニューアルはついつい後回しにされがちですが、運用面への寄与も含めると大きな効果を持ち得ます。今のシステム・仕組みにストレスを感じているのなら、刷新も視野にいれて検討してみてください。以前の担当者が不在であったり、古すぎて誰も把握できていなかったりする場合には、ひとつひとつ棚卸しをして、機能の取捨選択を行ってみてください。

Point.2 動画、写真のフル活用

ホームページ集客、WEB集客は、もはや自サイトだけで完結する時代ではなくなりました。新しいアトラクションを紹介する動画があるなら、Youtubeやその他ソーシャルメディアでの拡散を意識する必要がありますし、写真やキャラクターの拡散も効果的な場合があります。どの施策が高い効果を持つかはトライ&エラーな部分は大きいですが、ターゲット層がよく接触する媒体を意識しながら施策を展開していくことの先にしか結果はついてきません。

写真や動画はマーケティング施策上の資産です。こうした資産を担当者のパソコンに眠らせておくのはもったいなさ過ぎます。タイミング、演出、ストーリー、こうした肉付けを行い、積極的に活用してみてください。同時に、そうしたデジタル資産をスピーディーかつ低コストに制作していく体制作りも行ってください。長期的には人材育成の効果が必ず大きなリターンとしてかえってきます。こうした素材は積極的に自社のソーシャルメディア上で発信してください。数をこなせばこなすほど、そのコツをつかめてきて、効率的に、質の高いコンテンツ作りができるようになるはずです。

Point.3 マニアックなコンテンツを躊躇しない

テーマパークの施策ではひらかたパークの事例がよく話題にあがりますが、あれほど大胆でないにしろ、「ちょっとおもしろい」「ちょっとマニアック」なアプローチはどこのテーマパーク・遊園地でも可能だと思います。それがものすごく地域性の色濃いものでも良いでしょうし、キャラクターや有名人に頼った施策でも良いでしょう。ターゲットとなる層がおもしろいと感じるものであれば良いというぐらいの柔軟は考え方で、積極的なコンテンツ施策をとるべきです。

新しいアトラクションや設備を導入することは難しくても、新しいコンテンツや動画を配信することは可能なはずです。既存の設備で実施できるイベントも良いでしょう。発信力と企画力があれば、まだまだ戦える領域も多いはずです。ターゲットをより絞り込んだり、マニアックなコンテンツとコラボレーションしたりと、切り口はいくつもありえます。

設備で呼べないなら知恵で

次々に新しいアトラクションを導入していけるのは、ほんの一握りの大規模テーマパークだけだと思います。投資をし、減価償却しというプロセスの中で、矢継ぎ早に実行していけるのは知恵を絞ったマーケティング施策のみです。話題を作ることは無理でも、話題の種を生み出すことは十分に可能です。話題の種を生み出し、それを大きな話題へと育てていく、そういった地道かつ大胆なマーケティング活動の中心に、ホームページや自社メディアを徹底活用してみてください。

開発スタッフのコメント
テーマパークの運営は現場の比重が高く、広報やマーケティングといった活動は少人数の本部に負担が集中しがちです。少人数で現場を巻き込みながら回していくのも良いでしょうし、現場主体でマニアックな取り組みを行っていくのも良いでしょう。若い層を中心に、話題をいかにして作るか、ということに対しての意識はどんどんと高まっているため、自社の設備や強みをどう話題づくりに転じていくかのオリジナル方程式を作れたところが、生き残っていくように感じます。