激しい局地戦

カーディーラー同士の競争が激しいことは、関係者でなくても容易に想像ができます。毎週のように折り込まれるチラシに、チラシをにぎわすキャンペーンやイベントの案内。ディーラーの数自体が増えた結果、どこのメーカーのどこのディーラーが何をしているかを追いかけるだけでも大変な状況になっています。国道沿いには各メーカーのディーラーが立ち並び、商売の激しさは見るまでもありません。

自動車販売において、ディーラーが担っている役割というのはとても大きなものがあります。メーカーが供給してくる自動車のラインナップには依存するものの、地域の需要をどれだけ取れるかは、ディーラーの経営手腕にかかっていると言えます。いかに来店を促し、試乗してもらい、関係性を構築していくかが重要であり、容赦ない淘汰が進む業界でもあります。

今回は、こうしたカーディーラー、自動車販売店がどのようなホームページを制作すれば、より多くの見込み客を獲得し、長期的な売上向上につなげていけるかについて考えてみたいと思います。早速、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 試乗予約をスマホで簡単に

見込み客を育成するのに最も一般的で有効な手段は試乗してもらうことだと思います。乗ってもらえれば車の良さがわかるというのももちろんですし、試乗中の会話でのセールスも含めるとこれほど重要なアクションはありません。そこで試乗車の予約をホームページから簡単に行えるようにしましょう。事前にどういった車種が予約できるかがわかると利便性が高まりますし、案内から試乗までがスムーズに行えます。

試乗車が各店舗に散らばっている場合や、前の予約の終了時間が読めない場合など、実現するために乗り越えるべき課題はたくさんありますが、「気軽に試乗できるなら乗ってみたい」というニーズを取り込むのは売上の底上げのために重要です。場合によっては、個人情報の取得を予約時には最低限にして、少しでもハードルを下げる工夫が必要かもしれません。一部車種に限定する場合や、試乗枠に余裕を持たせる等、工夫の仕方は幾通りもありますので、どこよりも試乗予約が殺到する店として邁進してみてはいかがでしょうか。

Point.2 ソーシャルメディアでの発信を強化

直接ホームページには関係ありませんが、今やFacebookやX(旧Twitter)のようなソーシャルメディアはホームページとセットで考えるべき時代になりました。既にFacebookやYoutubeチャンネルをはじめていても、日常の様子を紹介するだけではもったいないです。日々の様子を発信するだけではブログとたいして変わらず、拡散するというソーシャルメディアの特性を活かしきれていません。

ソーシャルメディアではお役立ちコンテンツを配信することを意識してみてください。車の購入前に知りたいこと、購入後に知りたいこと、トラブルの際に知りたいことなど、ディーラーの人間だからこそ詳しく書けるコンテンツがあるはずです。そうした情報を中立的に書くことができれば、既存客がシェアしてくれ、より多くの人の目に自店の存在をアピールすることができます。ソーシャルメディアの活用法については、メーカーによっては色々な制限があるかもしれませんが、できる範囲で、お店の存在が際立つような発信を心がけてみてください。メンテナンスの依頼が減るかも、という心配があるかもしれませんが、日々のメンテナンス情報であればそういったリスクも低く、かつ、見る側にとって身近で実行しやすいため、棲み分けが可能でしょう。

Point.3 想定ターゲットごとの不安点を丁寧に払拭

カーディーラーにはたくさんのお客さんが来店されると思います。ファミリーやシニアという言葉で片付けてしまうと終わってしまいますが、実際はもっと複雑で事情も違う人たちがこられます。そうした細かい属性に応じた情報発信を丁寧に行いましょう。

具体的には、バリアフリー対応の状況や、キッズが遊べるスペースの詳しい紹介、中国語や英語を話せるスタッフはいついるのか等、細かいですが、個別の事情にどこまで応えることができるのかをしっかりと発信するべきです。どこも横並びに見えるからこそ、こうした細かい差異化がじわじわと効いてきます。ひいては、スタッフのタレント化につながりますので、店舗力を高めていくためには重要なステップと言えるでしょう。

キッズスペースひとつとっても、今では設置されていること自体は当然なため、広さや、絵本やおもちゃの種類、遊具の有無など、自店だからこそアピールできるポイントを探してみてください。

チラシ+αの勝負

ある程度地域ありきの施策になるため、チラシという販促手段はカーディーラーにとって今後も無くなることはないでしょう。だからこそ、これからはチラシ外の施策のレベルが競合との差を生み出すと言えます。

チラシにしか力を入れていないお店と、チラシに加えて各媒体を活用している店と、どちらが5年先に残っているでしょうか。もしインターネットという場を若い担当者に丸投げであまり活用しきれていないのであれば、大きなてこ入れができる可能性があります。短期、中長期両方の売上向上につながりうるホームページ施策は十二分に可能です。是非検討してみてください。

開発スタッフのコメント
自動車離れが長く叫ばれていますが、一方で堅調な売上を見せている地域も多くあります。まだまだ生活の足は車という家庭も多く、車を持たない生活が成立するのは都市部だけ、という印象すら覚えます。こうした中で顧客基盤を確立し、競合から奪いつつも競合にとられないようにするのはしっかりとしたCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)が重要です。顧客との最初の接点であることが多いホームページはその重責を担っており、しっかりと作り込むだけの価値があると考えます。