甘い時間を提供するビジネス

アイスクリームビジネスは根強い人気があります。寒い寒い冬でも確実に集客に成功しているところも多く、ジェラートやアメリカからの新規参入も含め、業界のプレイヤーの入れ替わりもあり、非常にホットな業界の一つだと思います。

大手チェーンが積極的な出店戦略で都市部や郊外のモールにお店を次々に立ち上げる中で、小規模チェーンやこだわりのお店も奮闘しています。大手チェーン対こだわり系の構図は今後もしばらく続いていくことが予想されます。市場の入れ替わりも激しく、おしゃれにオープンしたお店が気づいたら閉店していたということもよくある話です。デザートマーケット自体は大きいものの、コンビニスイーツのレベルアップもあり、一筋縄ではいかないというのも事実でしょう。

今回のテーマは、こうしたアイスクリーム店、ジェラートショップのホームページ制作についてです。どのようにインターネットを活用すれば大手チェーンと戦っていけるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 ホームページの土台はWordpressでコストカット

今まで何度も登場していますが、情報の更新があって積極的な情報発信を行っていきたい場合、Wordpress一択になると思います。特に予算の縛りが大きい小規模なお店の場合、独自システムを構築することよりもいかにそれなりの機能を安く導入するかが重要になってきます。システム投資で浮かしたお金を販売促進のキャンペーン費用や、ホームページに掲載する写真素材、新商品開発に回すことの方が優先順位が高いと思います。コストを浮かせるところは浮かせるというメリハリ運用を心がけましょう。

一方で、ホームページ更新を担うスタッフの時間は絶対に確保するようにしてください。複数人で分担でもいいですし、ある程度専任で取り組む担当者を決める方法も問題ありません。作って終わり、ではないのでホームページです。鮮度高く情報を発信していくための人材面の投資は怠らないことをおすすめします。

Instagramに振り切ったシンプルな運用も良いのですが、Instagramのアカウントを持っていない層には厳しく、広く情報発信するという位置付けを考えると物足りません。できれば、広く発信しうるホームページをベースに置きつつ、そこにソーシャルメディアでの発信を組み合わせていくのをお勧めします。

Point.2 商品、素材のこだわりはストーリー仕立てで展開

こだわり系のお店の場合、何かしら語れるこだわりがあると思います。それが商品のレシピであったり、素材そのものであったり、色々あると思いますが、そういったこだわりを語るには、たった1ページでは足りません。

よくあるパターンとしては1ページでそういったこだわりをさらーっと語っているところが多いですが、これではもったいなさすぎます。大手チェーンとの差異化はこのこだわりのレベルが圧倒的に違うことを示す必要がありますので、こだわっているポイントを徹底的にわかりやすく説明すべきです。感覚としては、説明するというよりも、プレゼンテーションするという方がイメージに近いかもしれません。こんなに長いのか、というぐらいの量で問題ありません。冗長なのは困りものですが、書けることがあるならしっかりと伝えるのをおすすめします。

画像や、時にオーナーが直接語りかける動画を準備し、ホームページを訪れた人が思わずファンになり、誰かに教えたくなるレベルでの情報提供が必要です。動画はクオリティの高いものが作れれば最高ですが、素人レベルでは十分に共感を呼びます。大切なのは演出ではなくて中身です。コストを抑えるのであれば、スマートフォンで撮影した動画をパソコンに付属している動画編集ソフトで多少の調整をする程度で十分です。

最初にどかっと作ってしまうのも良いでしょうし、季節ごと、新商品ごとに、そうしたドキュメンタリーチックな動画でアピールしていくのも良いでしょう。

Point.3 ファンクラブを開設し、試食会などを優先告知

立地や名前、テレビCMなどで集客できる大手チェーンと違い、一人一人のファンを蓄積していくことがとても重要です。そのためにファンクラブを開設し、ホームページ上で登録できるようにしましょう。

ファンクラブといっても、メールマガジンに多少の仕掛けが施されたものをイメージしてください。メールアドレスを登録すれば新商品の試食会などのお知らせが優先的に送られてくるというものです。お知らせの内容は常にファンクラブのメンバーにとってお得なことに限定して運用してください。全体の雰囲気も、少しポップ目なぐらいがちょうど良いかもしれません。

また、さらにファンクラブの効果を有効化するには、ゲーミフィケーションの考え方を活かしてバッジやレベルを設定し、試食会参加者や、お店での購入などに応じてステータスが変化するようにするのもおもしろいと思います。どこまでの仕掛けを用意するかは、予算と運用にかけられる人的リソースを勘案して最終決定しましょう。ファンクラブがベースとなって、お店を支えてくれるサポーターが一人でも増えていく仕組みづくりが重要です。

家消費との終わらない戦い

かつてショップを全国に展開していたハーゲンダッツが全てのショップを閉め、カップ販売に特化したのは驚きでした。その一方でサーティワンは店舗網を積極拡大し、コンビニやスーパーでの家消費に特化したアイスクリーム市場と、イートインや多少のテイクアウトを想定したショップ型の市場とが真っ向から戦っている状況です。

この戦いは決して終わる戦いではありません。常に参入と退出が繰り返され、生き残るのはファンの多いブランドやショップだけだと思います。いかにファンを育成し蓄積していけるか、この一点を忘れずにホームページを企画してみてください。

開発スタッフのコメント
冷蔵庫の大型化やテイクアウト需要の伸びもあり、アイスクリーム市場はまだまだ堅調です。とはいえ、大手チェーン店やコンビニアイス、スーパーでの値引きアイスなど、競争は激しいことは言うまでもありません。自社をいかにユニークな存在して認知してもらえるか、そして、他にはない関係性を顧客と築けるかが、この激しい競争を生き抜くために求められているのではないでしょうか。